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第4話 いざクエストへ!
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家を出た後。現在、俺たちは近くの『はじまりの森』でクエストの討伐対象であるガメガメを狩っていた。どうもこの森でガメガメが大量繁殖しているらしく、このままだと行商人などの通行に影響が出てくるとのこと。クエスト難易度はA~FのうちのD。下から3番目なので、中堅どころだとパパッとクリア出来るものだ。
ガメガメは大きい個体だとちょっとした山レベルの大きさがあるモンスターで、見た目は亀、動きも亀みたいに遅い。ただ、固い甲羅や皮膚のせいで生半可な攻撃だと全くダメージが通らない防御力が頭おかしいモンスターだ。攻撃は基本的に噛みつきしかしてこないが、亀の首の可動範囲に立つのは非常に危険だ。首だけは異常に動かすのが早いので、あっという間にパックリと食われて死んでしまう。
そんなモンスター相手に俺はかなり苦戦しつつ大剣で戦っていた。まだ一匹も倒せていないし、正直、ダメージが通らなさすぎてしんどい。
ユニークスキルを使うことができれば、ガメガメくらいだったら難なく討伐できるんだが……あれはそもそも普段使いできるレベルで気軽に使えるものではないのと、シエナさんがいるということで緊急事態の時以外は使わないという方針に決めたのだ。
結果として、素の俺は強くないのでガメガメ相手に手こずっているというような状況になっていた。
対するシエナさんはジョブは魔術師だったのだが、予想通り滅茶苦茶強く、魔術をポンポン放ち一撃でガメガメを沈めていた。しかも、大きさや耐久力がそれぞれ違うガメガメに対して、ちょうど一撃で倒せるような魔術を各個選んで撃っているので、かなりの手練だと思う。
(シエナさん強すぎるだろ……。俺なんて片手で捻り潰されるかも、とか思ってたけど、比較するのがおこがましいレベルだわ……)
彼女の強さ、そして戦いっぷりに見惚れつつ俺はガメガメとしては最小サイズの個体をようやく一匹倒した。
数時間後。
俺たちは『はじまりの森』で大量繁殖していたガメガメを粗方狩り尽くしたので、モンスターを討伐したときにドロップする石を回収した後、街に帰還した。
疲れすぎて今すぐ家に返ってお布団ダイブをかましたいところだが、クエスト完了をギルトに報告する必要があったので、街の中心部に構えているギルドに向かう。
ギルドの中に入ると、俺たちと同じようにクエストを終えた冒険者達が受付でドロップ石を換金してもらい、ウハウハ顔になっていた。
俺はよく分かっていないのだが、モンスターからドロップする石はエネルギーの塊らしく、この石を使って街頭の明かりを灯したり、病気を治す薬とかも作っているらしい。
ちなみに強いモンスターから得られる石になればなるほど、内包されているエネルギーも桁違いに増えるらしく、買取価格もその分跳ね上がる。そのため、冒険者として強くなればなるほどクエストの危険度は上がるが、お金持ちになれるとのこと。今の俺には縁遠い話である。
俺たちも空いている窓口に向かい、クエスト完了報告とドロップ石を換金してもらう。
「エリックです。ガメガメ討伐クエストを完了しました。討伐数は50匹で、これがドロップ石です。全て換金でお願いします」
「エリック様ですね。承知いたしました。少しお待ち下さい」
そういって受付嬢は石を持って奥の方に向かった。クエスト完了に伴う書類作成と、換金作業をしてくれているのだ。
彼女の諸々の作業が終わる前に、決めなければいけないことがあったのでシエナさんに話を振る。
「シエナさん。クエストの達成報酬と石を換金したお金の分配についてなんですけど、均等分配ではなくて出来高制で良いですか?」
一般的に、冒険者がパーティーを組んだときの金銭の分配の仕方としては均等分配と出来高制のどちらかが適用される。パーティメンバーが同じような実力者の場合、均等分配を取るのだが、俺たちの場合はシエナさんと俺で実力差がありすぎる。
今回のクエストの場合、ガメガメ討伐数は俺が2匹、シエナさんが48匹だった。これで均等分配は暴動が起きてしまうだろう。
そう思って出来高制を提案したのだが、シエナさんは『いやいや』と待ったをかける。
「今回は私が無理を言ってクエストに連れて行ってもらっていますし、それにエリック様は私の契約者です。この場合、均等分配が一般的なはずです」
「それはそうなんですけど、流石にあそこまでおんぶに抱っこされて半分貰うのは暴利すぎると思うんですよ。俺が非常に申し訳なくなるので出来れば貰ってほしいです」
「そ、そこまで仰るなら……」
ということで、シエナさんが折れる形となり、分配方法は出来高制となった。今後も一緒にクエストを受けたときは同じ分配方式にしよう。
しばらくすると受付嬢が戻ってきて、クエスト達成報酬等が入った袋を持ってきてくれた。彼女が渡してきた明細書を見ると、今回俺たちが手に入れた総額は100万ゴールドだった。そこから俺とシエナさんでそれぞれお金を分ける。俺は4万ゴールド、シエナさんは96万ゴールドだ。
二人の差が激しすぎると思うかもしれない。だが正直、イレギュラーを除くといつもの俺は一回のクエストで平均5000ゴールドを稼ぐような冒険者だったのでこれでもホクホク顔なのだ。ちなみに、4万ゴールドあれば俺が今住んでいる宿の一ヶ月分の家賃が支払える。俺としては結構な大金だ。
そんな大きいお金を手持ちで持ちたくないため、俺はいつものごとくギルドが運営している銀行口座に預金してくれと受付嬢に頼む。
この口座にお金を入れておけば、例えば街中で買物をしたときに冒険者カードをレジに置いている水晶にかざすと、自動的に俺の口座からお金が引き落とされるという便利機能が使えるのだ。冒険者カードはネックレスみたいな形で首にいつもかけているので忘れることもないし、スられる可能性も低い。なので、大抵の冒険者はこの便利機能を大いに活用している。
シエナさんも俺と同じように銀行に預け、しっかりと振込が完了したことを通帳で確認する。
(……よし。問題なし! 順調にお金が溜まっていっているなぁ。これならいずれ豪華な一軒家を購入するのも夢じゃないかもだ!)
貯金額が増えているのを見てほっこりしていたのだが、ここで1つ疑問が浮かぶ。シエナさんと奴隷市場で契約したのに、お金が引き落とされていなくね? と。
奴隷と契約するのはただではなく、かなりのお金がかかる。正直、シエナさんレベルの人であれば俺の全資産を投入しても足が出るレベルだろう。なのに、俺の口座からはお金が減っていない。
これはどういうことだろうと思ったが、ギルド内でそれを聞くのは流石にどうかと思ったので、家に帰ってどこかのタイミングで聞くことにした。
ガメガメは大きい個体だとちょっとした山レベルの大きさがあるモンスターで、見た目は亀、動きも亀みたいに遅い。ただ、固い甲羅や皮膚のせいで生半可な攻撃だと全くダメージが通らない防御力が頭おかしいモンスターだ。攻撃は基本的に噛みつきしかしてこないが、亀の首の可動範囲に立つのは非常に危険だ。首だけは異常に動かすのが早いので、あっという間にパックリと食われて死んでしまう。
そんなモンスター相手に俺はかなり苦戦しつつ大剣で戦っていた。まだ一匹も倒せていないし、正直、ダメージが通らなさすぎてしんどい。
ユニークスキルを使うことができれば、ガメガメくらいだったら難なく討伐できるんだが……あれはそもそも普段使いできるレベルで気軽に使えるものではないのと、シエナさんがいるということで緊急事態の時以外は使わないという方針に決めたのだ。
結果として、素の俺は強くないのでガメガメ相手に手こずっているというような状況になっていた。
対するシエナさんはジョブは魔術師だったのだが、予想通り滅茶苦茶強く、魔術をポンポン放ち一撃でガメガメを沈めていた。しかも、大きさや耐久力がそれぞれ違うガメガメに対して、ちょうど一撃で倒せるような魔術を各個選んで撃っているので、かなりの手練だと思う。
(シエナさん強すぎるだろ……。俺なんて片手で捻り潰されるかも、とか思ってたけど、比較するのがおこがましいレベルだわ……)
彼女の強さ、そして戦いっぷりに見惚れつつ俺はガメガメとしては最小サイズの個体をようやく一匹倒した。
数時間後。
俺たちは『はじまりの森』で大量繁殖していたガメガメを粗方狩り尽くしたので、モンスターを討伐したときにドロップする石を回収した後、街に帰還した。
疲れすぎて今すぐ家に返ってお布団ダイブをかましたいところだが、クエスト完了をギルトに報告する必要があったので、街の中心部に構えているギルドに向かう。
ギルドの中に入ると、俺たちと同じようにクエストを終えた冒険者達が受付でドロップ石を換金してもらい、ウハウハ顔になっていた。
俺はよく分かっていないのだが、モンスターからドロップする石はエネルギーの塊らしく、この石を使って街頭の明かりを灯したり、病気を治す薬とかも作っているらしい。
ちなみに強いモンスターから得られる石になればなるほど、内包されているエネルギーも桁違いに増えるらしく、買取価格もその分跳ね上がる。そのため、冒険者として強くなればなるほどクエストの危険度は上がるが、お金持ちになれるとのこと。今の俺には縁遠い話である。
俺たちも空いている窓口に向かい、クエスト完了報告とドロップ石を換金してもらう。
「エリックです。ガメガメ討伐クエストを完了しました。討伐数は50匹で、これがドロップ石です。全て換金でお願いします」
「エリック様ですね。承知いたしました。少しお待ち下さい」
そういって受付嬢は石を持って奥の方に向かった。クエスト完了に伴う書類作成と、換金作業をしてくれているのだ。
彼女の諸々の作業が終わる前に、決めなければいけないことがあったのでシエナさんに話を振る。
「シエナさん。クエストの達成報酬と石を換金したお金の分配についてなんですけど、均等分配ではなくて出来高制で良いですか?」
一般的に、冒険者がパーティーを組んだときの金銭の分配の仕方としては均等分配と出来高制のどちらかが適用される。パーティメンバーが同じような実力者の場合、均等分配を取るのだが、俺たちの場合はシエナさんと俺で実力差がありすぎる。
今回のクエストの場合、ガメガメ討伐数は俺が2匹、シエナさんが48匹だった。これで均等分配は暴動が起きてしまうだろう。
そう思って出来高制を提案したのだが、シエナさんは『いやいや』と待ったをかける。
「今回は私が無理を言ってクエストに連れて行ってもらっていますし、それにエリック様は私の契約者です。この場合、均等分配が一般的なはずです」
「それはそうなんですけど、流石にあそこまでおんぶに抱っこされて半分貰うのは暴利すぎると思うんですよ。俺が非常に申し訳なくなるので出来れば貰ってほしいです」
「そ、そこまで仰るなら……」
ということで、シエナさんが折れる形となり、分配方法は出来高制となった。今後も一緒にクエストを受けたときは同じ分配方式にしよう。
しばらくすると受付嬢が戻ってきて、クエスト達成報酬等が入った袋を持ってきてくれた。彼女が渡してきた明細書を見ると、今回俺たちが手に入れた総額は100万ゴールドだった。そこから俺とシエナさんでそれぞれお金を分ける。俺は4万ゴールド、シエナさんは96万ゴールドだ。
二人の差が激しすぎると思うかもしれない。だが正直、イレギュラーを除くといつもの俺は一回のクエストで平均5000ゴールドを稼ぐような冒険者だったのでこれでもホクホク顔なのだ。ちなみに、4万ゴールドあれば俺が今住んでいる宿の一ヶ月分の家賃が支払える。俺としては結構な大金だ。
そんな大きいお金を手持ちで持ちたくないため、俺はいつものごとくギルドが運営している銀行口座に預金してくれと受付嬢に頼む。
この口座にお金を入れておけば、例えば街中で買物をしたときに冒険者カードをレジに置いている水晶にかざすと、自動的に俺の口座からお金が引き落とされるという便利機能が使えるのだ。冒険者カードはネックレスみたいな形で首にいつもかけているので忘れることもないし、スられる可能性も低い。なので、大抵の冒険者はこの便利機能を大いに活用している。
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奴隷と契約するのはただではなく、かなりのお金がかかる。正直、シエナさんレベルの人であれば俺の全資産を投入しても足が出るレベルだろう。なのに、俺の口座からはお金が減っていない。
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