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5・制服と我が身を守れ、新入生の女子達よ
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「知っているものは今更だが、知らぬものもあると思い、我々から軽く説明させていただこう!」
そうして一緒に来た三年生が黒板に大きく『報国院男子高等学校について』と書き記した。
「報国院は、我が校から一キロ強、歩いて十五分程度の場所にある男子高等学校である!全寮制であり、我が校とも交流の歴史は深い!」
へえ、と芙綺は思った。
雅が言った。
「ワイの従兄も兄貴も、報国院のOBや」
「そうなんだ」
「割と女の子はウィステリア、男の子だったら報国院、は定番やな」
「へぇ」
なんだかちょっと面白いな、と思って話を聞く。
先輩は続けた。
「よって、もし彼氏が欲しければ、しかるべき手続きを取れば安全に彼氏を紹介できるシステムも存在する」
どよどよっと教室内がどよめいた。
そりゃそうだ、入学初日にいきなり彼氏だなんだと言われれば普通の女子高生はびっくりする。
「そして、更に!報国院ではわがウィステリアの女子を助けなければならないという決まりも存在する」
更にどよどよっとどよめいた。
「本当なの?雅」
「あーまじでござる。報国院はモテ部というのもあるくらいに、女子を助ける事にはうるさいんでござる」
まじか、と芙綺はびっくりした。
「所がである!その決まりを周知しているのは報国院の二、三年生のみであり、現在、一年生にまで教育は行き届いていないのである!」
そりゃそうだ、ウィステリアの入学式が今日なら報国院だって似たようなものだろう。
初日でいきなり学校のルールを把握して講堂なんか無理に決まっている。
「よって、今月末まで、ウィステリアの一年生は、制服でのお出かけは決してしないように、心がけてほしい!なぜなら、あまりに可愛すぎて、ナンパされまくりな上に一年生ならわかりゃしねえと、他校の男子が寄って来るからである!」
頷く他の先輩が怒鳴った。
「これは校則ではない!禁止も学校からはされていない!だが、先輩達から代々、受け継がれてきたウィステリアの知恵である!」
成程、と一年生らは納得した。
確かに、入学したてて浮かれている自覚はどの新入生にもあるだろう。
そんな時に妙な男に引っかかったり引っかけられたりはちょっとかなり嫌だ。
「下手したら襲われる事もあり得る。諸君らは用心すべきである!」
さすがにそこまで言われると、浮かれて出かけたいと言う気持ちも段々おさまってきて、新入生らは、帰ろうか、という空気になる。
さて、そんな時、ある新入生が挙手した。
「はーい先輩!」
「発言を許可する!」
「私はすでに報国院の彼氏がいてぇ、今日も迎えに来てくれているんですけどどーでしょーか」
「彼氏は何年生だ!」
「二年生でーす!鳩クラスでーす!」
「許可する!くれぐれも気を付けるべし!」
「はーい!ありがとうございまーす!」
えー、彼氏いるんだ、いいなー、と声が上がる。
「いいか、彼氏がいるのであれば、そしてすでに報国院の二年生以上であれば何の問題もない!だが!そうでない諸兄らはくれぐれも制服で出歩かないように!あくまで今月中の話しである!」
本当ならうきうきと出かけたかったのだが、先輩達にここまで言われたら仕方がない、と一年生らは納得した。
「では諸君らが聞き訳が良い事を祈る!」
「我々の用事は以上である!大人しく聞いてくれた乙女らには感謝である!」
そう言うと、敬礼して出て行った。
あっけにとられた一年生はなぜか、拍手で先輩達を見送ったのだった。
「なんだろうねあれ。親切な先輩なのは判ったけど」
「でもまあ、注意してくれたんならありがたい、のかな?」
次々に首を傾げる一年生らに、再び教室の扉ががらりと開くと、ふんわりした雰囲気の、髪がくるくるした可愛い先輩が現れた。
「こんにちわぁ、新入生のみなさーん。あのねえ、ちょっとお話があるんだけどぉ、今月はー、制服でのおでかけはぁ」
「あ、さっき別の先輩が演説して行きました。制服で今月は出かけるなって」
「あら?そうなの?だったら大丈夫かぁ。ごめんごめん~、ホントみんな気を付けてねぇ」
ほんわかした先輩だなあ、さっきもこのくらいの説明で良かったのに、と思っていると、ふんわり先輩はにっこり笑顔で言った。
「あのねえ、制服可愛いからって浮かれちゃってさ、ナンパについてってぇ、結局、ヤバめの男に捕まってあっという間に妊娠して学校辞めちゃったコとか毎年ぜーったいにいるからぁ、お出かけは本当にだめよぉ?制服、すぐ脱がされちゃうよぉ?」
じゃあねぇええ、とふんわり先輩は決してふんわりしていない捨てセリフを残して教室を去った。
(制服脱がされるって)
一体、いつの意味なんだろうと一瞬考えたが、皆、絶対にすぐにおうちに帰ろう、と思ったのだった。
そうして一緒に来た三年生が黒板に大きく『報国院男子高等学校について』と書き記した。
「報国院は、我が校から一キロ強、歩いて十五分程度の場所にある男子高等学校である!全寮制であり、我が校とも交流の歴史は深い!」
へえ、と芙綺は思った。
雅が言った。
「ワイの従兄も兄貴も、報国院のOBや」
「そうなんだ」
「割と女の子はウィステリア、男の子だったら報国院、は定番やな」
「へぇ」
なんだかちょっと面白いな、と思って話を聞く。
先輩は続けた。
「よって、もし彼氏が欲しければ、しかるべき手続きを取れば安全に彼氏を紹介できるシステムも存在する」
どよどよっと教室内がどよめいた。
そりゃそうだ、入学初日にいきなり彼氏だなんだと言われれば普通の女子高生はびっくりする。
「そして、更に!報国院ではわがウィステリアの女子を助けなければならないという決まりも存在する」
更にどよどよっとどよめいた。
「本当なの?雅」
「あーまじでござる。報国院はモテ部というのもあるくらいに、女子を助ける事にはうるさいんでござる」
まじか、と芙綺はびっくりした。
「所がである!その決まりを周知しているのは報国院の二、三年生のみであり、現在、一年生にまで教育は行き届いていないのである!」
そりゃそうだ、ウィステリアの入学式が今日なら報国院だって似たようなものだろう。
初日でいきなり学校のルールを把握して講堂なんか無理に決まっている。
「よって、今月末まで、ウィステリアの一年生は、制服でのお出かけは決してしないように、心がけてほしい!なぜなら、あまりに可愛すぎて、ナンパされまくりな上に一年生ならわかりゃしねえと、他校の男子が寄って来るからである!」
頷く他の先輩が怒鳴った。
「これは校則ではない!禁止も学校からはされていない!だが、先輩達から代々、受け継がれてきたウィステリアの知恵である!」
成程、と一年生らは納得した。
確かに、入学したてて浮かれている自覚はどの新入生にもあるだろう。
そんな時に妙な男に引っかかったり引っかけられたりはちょっとかなり嫌だ。
「下手したら襲われる事もあり得る。諸君らは用心すべきである!」
さすがにそこまで言われると、浮かれて出かけたいと言う気持ちも段々おさまってきて、新入生らは、帰ろうか、という空気になる。
さて、そんな時、ある新入生が挙手した。
「はーい先輩!」
「発言を許可する!」
「私はすでに報国院の彼氏がいてぇ、今日も迎えに来てくれているんですけどどーでしょーか」
「彼氏は何年生だ!」
「二年生でーす!鳩クラスでーす!」
「許可する!くれぐれも気を付けるべし!」
「はーい!ありがとうございまーす!」
えー、彼氏いるんだ、いいなー、と声が上がる。
「いいか、彼氏がいるのであれば、そしてすでに報国院の二年生以上であれば何の問題もない!だが!そうでない諸兄らはくれぐれも制服で出歩かないように!あくまで今月中の話しである!」
本当ならうきうきと出かけたかったのだが、先輩達にここまで言われたら仕方がない、と一年生らは納得した。
「では諸君らが聞き訳が良い事を祈る!」
「我々の用事は以上である!大人しく聞いてくれた乙女らには感謝である!」
そう言うと、敬礼して出て行った。
あっけにとられた一年生はなぜか、拍手で先輩達を見送ったのだった。
「なんだろうねあれ。親切な先輩なのは判ったけど」
「でもまあ、注意してくれたんならありがたい、のかな?」
次々に首を傾げる一年生らに、再び教室の扉ががらりと開くと、ふんわりした雰囲気の、髪がくるくるした可愛い先輩が現れた。
「こんにちわぁ、新入生のみなさーん。あのねえ、ちょっとお話があるんだけどぉ、今月はー、制服でのおでかけはぁ」
「あ、さっき別の先輩が演説して行きました。制服で今月は出かけるなって」
「あら?そうなの?だったら大丈夫かぁ。ごめんごめん~、ホントみんな気を付けてねぇ」
ほんわかした先輩だなあ、さっきもこのくらいの説明で良かったのに、と思っていると、ふんわり先輩はにっこり笑顔で言った。
「あのねえ、制服可愛いからって浮かれちゃってさ、ナンパについてってぇ、結局、ヤバめの男に捕まってあっという間に妊娠して学校辞めちゃったコとか毎年ぜーったいにいるからぁ、お出かけは本当にだめよぉ?制服、すぐ脱がされちゃうよぉ?」
じゃあねぇええ、とふんわり先輩は決してふんわりしていない捨てセリフを残して教室を去った。
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