城下町ガールズライフ

川端続子

文字の大きさ
6 / 20

6・美少女も美少年も目の保養に必要なのです

しおりを挟む
 雅と芙綺は一緒に学校を出て、ウィステリアの寮のあるほうへ向かう。

 ウィステリア女学院の正門を出れば、目の前はバス停がある。
 その横を抜け、グラウンドをはさんだ道を進む。

 まっすぐ続く道の先は神社があり、ウィステリアの寮はそのすぐ傍だ。
 そして雅の自宅も、とても近かった。

「本当に目の前じゃん」
「そうなんよ。このアクセスならそりゃウィステリア選ぶっしょ」
「わかる!」

 多分、チャイムが鳴っても走れば間に合うのじゃないかと思う距離だ。

「美少女はどーすんの?寮に帰ってなんかすんの?」
「うーん、特に用事はないんだけど。おひるごはん食べるくらいかな?」
「じゃあさ、あとからうちに遊びに来たら?」

 雅の誘いに「いいの?」と芙綺は驚く。

「別にいいよ。お近づきにうちでおやつ、食べようぜ!あ、寮って出られるんだっけ?」
「わかんないけど、聞いてみる。もし駄目だったら連絡入れるし」
「わかった!じゃあ一回帰るね」
「うん。バイバーイ!」

 あとでね、と二人は一旦別れた。


 芙綺が寮に帰ると、同じ一年生の子らも帰って来ていた。

 先輩達は今日は休みなので、部活に行ったり、寮で過ごしていたりと様々だ。
 昼食は各自で、となっているが食堂に準備してあるので芙綺は一人、昼食を取った。
 寮の中は割と賑やかで、それぞれが自由に動いている。

(寮から出かけるのって、確かOKだった気がする)

 行き先をボードに書いてさえいれば、特に問題ないと入寮の説明会では聞いた覚えがあるのだが。


 食事を終えたあと、芙綺は三年生の先輩に尋ねた。
 すると、「問題ないよ」との事だった。

 良かった、と胸を撫でおろす芙綺に先輩が尋ねた。

「でも、小早川さんは確か周防すおうからだったよね?どこに出かけるの?」
「今日、仲良くなった友達の家です。寮の前って」
「それってひょっとして、木戸さんの事?雅でしょ?」

 別の先輩から尋ねられ、芙綺は「そうです」と答えた。

「あー、木戸さんとこね、判った判った。問題ないよ、マジで寮の真ん前の家だから。習い事一緒だったから知ってるの。雅っちによろしく」
「わかりました。伝えておきます」

 ぺこり、と頭を下げて芙綺は寮の食堂を出て行った。


 芙綺が出て行った後の食堂で、ウィステリアの先輩達はため息をつく。

「小早川さん、マジで美少女だね。めっちゃかわいいわあ」
「目の保養、マジで目の保養だって」
「2回も言った。でもファッションは割とふつーだったね。可愛いかと思ったのに」
「なんかサッカー経験者らしいよ。ウィステリアに来たのもその辺もあってって」
「えー、でもうちサッカー部ないじゃん」

 ウィステリアは運動部が盛んなのだが、サッカー部は確か存在しない。

「なんでだろーね。新設とかすんのかな」
「さあねえ。でも、あんだけ美少女だったら、報国院でも相当話題かっさらうんじゃないのかな」

 先輩達が話していると、「そうだ!」と誰かが手を打った。

「報国院の入学式って昨日なんですけど、テレビで取材受けてたんですよ!そこに出てたのがすっごい美少年でぇ」
「そうそう!ロミオ君も出ていたから絶対見たほうが良いって!」
「えっ、マジなの?見たい!」
「モニターで見ようよ~、いま誰も使ってないでしょ?」

 食堂にあるモニターはかなり大きく、寮生は自由に使って良い事になっている。

「ねえみんな~報国院の入学式の奴見よう~ロミオ様も出てたらしいよ~」

 二年生以上からははしゃぐ声が聞こえ、一年生らは何のことだろう?と首を傾げるが、すぐに理解することになるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...