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第一章、婚約破棄
街の外へと
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街はまだ人が少なかった。
涼しい早朝にランニングする人が何人かいるが、それ以外の目的で外に出ている人はほとんどいない。
トワイト達は、人気がない道を通り、門の前に来た。
「…街はこんな感じなのですね…初めて見たわ」
「あまり外に出させてくださらなかったですからね。」
「ええ。パンの良い匂いもしていて、お腹が空いてきたわ。」
トワイトとロバートは昨日からほとんど食べていないので流石に空腹になってきた。
それはうさぎも同じで、元気を無くしてきていた。
「ラビィちゃんにもミルクをあげなければ死んでしまうわ…」
「私が買ってきましょう。少し戻ったところにパン屋も動物専門のお店もあります。」
「お願いするわ。」
「では、トワイト様はここのベンチで待っていて下さい。」
「ええ。」
ロバートは大通りを走って店に向かった。
「はぁ……私達、これからどこに向かえばいいのかしら。」
うさぎを撫でながらそう思った。
パカッパカッ、パカッ、パカッ………
「そこの者、城はどこから向かえばいい。」
トワイトはそう尋ねてきた男性を見るに、はっとした。
「え…っと、ここの大通りを真っ直ぐ行き……」
「おや、誰かと思えばトワイト王女に似ているな。声、髪色が。」
「人違いです。」
「すまんすまん。そんな訳ないよな。」
バレるかと思い、焦ったがなんとか誤魔化せた。
「え?トワイト様?トワイト様はお城を抜け出したと国王が言っていたが…」
通りすがりのおじさんがそう言った。
「城を抜け出した……?トワイト王女が?では…あなたが…」
「違います!!私はここの街に住んでいる住人です!」
「ほう……そうとは思えんが。」
「何を言っているんです!人違いです!ルシ子爵…!………あ……」
トワイトは、つい、名前を口にしてしまった。
しまった!と、思った。
「大変だ……みんな!トワイト王女を見つけたぞ!」
おじさんはそう叫んで街を練り歩いた。
「くっ………!!嫌だ……城に帰りたくない…!!」
「トワイト様!?」
声がして、大通りを見ると、ロバートが向かって来ていた。
涼しい早朝にランニングする人が何人かいるが、それ以外の目的で外に出ている人はほとんどいない。
トワイト達は、人気がない道を通り、門の前に来た。
「…街はこんな感じなのですね…初めて見たわ」
「あまり外に出させてくださらなかったですからね。」
「ええ。パンの良い匂いもしていて、お腹が空いてきたわ。」
トワイトとロバートは昨日からほとんど食べていないので流石に空腹になってきた。
それはうさぎも同じで、元気を無くしてきていた。
「ラビィちゃんにもミルクをあげなければ死んでしまうわ…」
「私が買ってきましょう。少し戻ったところにパン屋も動物専門のお店もあります。」
「お願いするわ。」
「では、トワイト様はここのベンチで待っていて下さい。」
「ええ。」
ロバートは大通りを走って店に向かった。
「はぁ……私達、これからどこに向かえばいいのかしら。」
うさぎを撫でながらそう思った。
パカッパカッ、パカッ、パカッ………
「そこの者、城はどこから向かえばいい。」
トワイトはそう尋ねてきた男性を見るに、はっとした。
「え…っと、ここの大通りを真っ直ぐ行き……」
「おや、誰かと思えばトワイト王女に似ているな。声、髪色が。」
「人違いです。」
「すまんすまん。そんな訳ないよな。」
バレるかと思い、焦ったがなんとか誤魔化せた。
「え?トワイト様?トワイト様はお城を抜け出したと国王が言っていたが…」
通りすがりのおじさんがそう言った。
「城を抜け出した……?トワイト王女が?では…あなたが…」
「違います!!私はここの街に住んでいる住人です!」
「ほう……そうとは思えんが。」
「何を言っているんです!人違いです!ルシ子爵…!………あ……」
トワイトは、つい、名前を口にしてしまった。
しまった!と、思った。
「大変だ……みんな!トワイト王女を見つけたぞ!」
おじさんはそう叫んで街を練り歩いた。
「くっ………!!嫌だ……城に帰りたくない…!!」
「トワイト様!?」
声がして、大通りを見ると、ロバートが向かって来ていた。
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