婚約破棄された悪役令嬢は執事に溺愛され、真実の愛を知る。

さかまる

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第二章、悪役令嬢

夕食

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「リア、そんなにほお張ってはいけませんよ。お行儀よく、ああ、ソースを溢しているじゃないの…すみません、布巾をくださらない?」

「かしこまりました。」

夕食では家族皆が楽しそうにお喋りをして食べている。
いつもその中心にいるのは姉夫婦の娘、リリアーナ。
活発な子で姉夫婦も目が話せないようだ。

リアは溢したハンバーグソースを悲しそうに見つめている。

くすっと笑える光景にトワイトは微笑んでいた。

「そうでした、国王、お聞きしたいことがあるのですが…今日は執事の人数が少ないようで…何か仕事でもさせているのですか?集計にやや手こずっておりまして…」

ロゼリアの旦那、エルドレッドは国王にそう尋ねた。

トワイトは、確かに今日はロバートの姿を見ていないと思った。
いつもは朝も起こしてくれるのだが、今日は他のメイドが来てくれていたのだ。

国王は、少し決まりが悪いような表情を浮かべ、こう言った。

「あ、ああ、執事か。実は数人解雇したのだ。連絡していなくてすまない。」

席が近い国王とエルドレッドは二人だけが聞こえるほどの声の大きさで話していたが、聞き耳を立てていたトワイトは驚き、つい席を立ってしまった。

「えっ!!どういうことですか?」

国王は驚いて向かい側の席のトワイトの方を向いた。

「こら、トワイト、貴方は本当にいつも気品のない行動を…」

女王はトワイトを叱ったがトワイトは聞く耳を持たない。

「執事を数人解雇とは、ロバートも含まれているのですか?」

「あ、ああ。…そうだ。代わりはいくらでもつけてやる。ロバートに限った、なにか問題でもあるのか?」

あるに決まっているでしょう。トワイトはそう言いたかったのをぐっと飲み込み、席に座った。

ロゼリアとリアは席に座ったトワイトの様子を伺っていた。ロゼリアは同情するような表情をしていた。

急な知らせに頭が追いついていなかった。

幼い頃からお世話をしてくれていた人に会えなくなり、自分の生きている意味をまた一つ失って谷底へ落とされた気分だとトワイトは思った。

ロバートだけが生きがいになったトワイトは急な別れに夕食も喉を通らなくなった。

そのままトワイトは席を立ち、自室へ戻った。メイドが後を追ってきたが、部屋には入らないよう指示し、扉を閉めた。


「私から幸せを奪っていくのは誰なの…?

私はそういう運命の元に生まれた不幸な人なの?

私は幸せになってはいけないの?」

結婚なんてしなくていい。
ロバートが近くにいてくれればそれでよかった。

そんなトワイトの思いはまた一つ砕けていった。

「私が……悪いの?」
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