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悪夢編
プロローグ
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空は曇天。
暗く、重い雲が立ち込める。
風が強く吹き、コートが音を立ててはためく。
強風に目を細め、足早に歩くのは、白銀の髪の少女――『不老の秘薬』を飲んで年を取らなくなった、錬金術師のネモだ。
「ヤバイわ。これは、もうすぐ降って来るわね……」
「きゅいっ」
遠くに雷鳴が聞こえてきて、空を見上げてネモは眉間に皺を寄せる。異世界に転生し、不老となって旅を続けてピー年。移動中に嵐と出くわすのは久しぶりだった。
ネモはマジックバックを探り、肩に乗る相棒のあっくんがそれを覗き込む。
「町までまだ距離があるのよね……。レインコートを着たとしても、風があるからなぁ……」
そうぼやきつつも、マジックバックからレインコートを取り出し、さっと身に着ける。風で捲られそうになるフードを深くかぶり、手で押さえていると、あっくんがフードの中に避難してきた。
「あっくん、どこか木の洞とかに避難しといて、私が街に着いたら召喚するっていう手もあるけど、どうする?」
「きゅきゅいっ」
ネモの言葉に、あっくんはちょろりと首筋から顔を出して首を横に振った。
「そう? じゃあ、ちょっと頑張りましょうか」
「きゅいっ」
曇天に雷鳴、そして強風とくれば、これはもう立派な嵐だ。
ここが森や山とかであれば洞窟などの雨宿りが出来る場所を探すのだが、ここは中途半端に町に近いせいか、生憎と目の前に広がるのはだだっぴろい草原である。
しかし、草原の向こうには収穫を終えた麦畑が見え、今日中にはどうにか町に着くだろう。
「これはもう、濡れるのを覚悟しないとね……。町に着いたら、あったかいものをたくさん食べましょうね、あっくん!」
「きゅいっ!」
あっくんの元気がいい返事をもらい、微笑んだその時、ポツリ、とレインコートが雨粒を弾いた。
ポツ、ポツ、と降って来た小さい雨粒が段々と大きくなり、程なくして土砂降りとなった。強風と共に横殴りの雨は容赦なく道行くちっぽけな旅人を打つ。
ネモは風に飛ばされないように気を付けながら、フードを押さえ、一歩一歩町へと歩き始めた。
暗く、重い雲が立ち込める。
風が強く吹き、コートが音を立ててはためく。
強風に目を細め、足早に歩くのは、白銀の髪の少女――『不老の秘薬』を飲んで年を取らなくなった、錬金術師のネモだ。
「ヤバイわ。これは、もうすぐ降って来るわね……」
「きゅいっ」
遠くに雷鳴が聞こえてきて、空を見上げてネモは眉間に皺を寄せる。異世界に転生し、不老となって旅を続けてピー年。移動中に嵐と出くわすのは久しぶりだった。
ネモはマジックバックを探り、肩に乗る相棒のあっくんがそれを覗き込む。
「町までまだ距離があるのよね……。レインコートを着たとしても、風があるからなぁ……」
そうぼやきつつも、マジックバックからレインコートを取り出し、さっと身に着ける。風で捲られそうになるフードを深くかぶり、手で押さえていると、あっくんがフードの中に避難してきた。
「あっくん、どこか木の洞とかに避難しといて、私が街に着いたら召喚するっていう手もあるけど、どうする?」
「きゅきゅいっ」
ネモの言葉に、あっくんはちょろりと首筋から顔を出して首を横に振った。
「そう? じゃあ、ちょっと頑張りましょうか」
「きゅいっ」
曇天に雷鳴、そして強風とくれば、これはもう立派な嵐だ。
ここが森や山とかであれば洞窟などの雨宿りが出来る場所を探すのだが、ここは中途半端に町に近いせいか、生憎と目の前に広がるのはだだっぴろい草原である。
しかし、草原の向こうには収穫を終えた麦畑が見え、今日中にはどうにか町に着くだろう。
「これはもう、濡れるのを覚悟しないとね……。町に着いたら、あったかいものをたくさん食べましょうね、あっくん!」
「きゅいっ!」
あっくんの元気がいい返事をもらい、微笑んだその時、ポツリ、とレインコートが雨粒を弾いた。
ポツ、ポツ、と降って来た小さい雨粒が段々と大きくなり、程なくして土砂降りとなった。強風と共に横殴りの雨は容赦なく道行くちっぽけな旅人を打つ。
ネモは風に飛ばされないように気を付けながら、フードを押さえ、一歩一歩町へと歩き始めた。
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