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悪夢編
第十七話 終幕
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そんなアンナの様子をザクロは一瞥するが、すぐに興味が無さそうに視線をロベルへと戻す。
「まあ、そこの人間はどうでもいいが、交渉は決裂だな」
冷たい声に、ロベルがビクリと震える。視線がキョロキョロと忙しなく動き、逃げ道を探る。
そんなロベルの様子を気にもせず、ザクロは手を持ち上げ、告げた。
「死ね」
瞬間、ザクロの影が爆発的な速さで伸びる。それは途中で実体化し、鋭い錐状の先端で突き刺そうとロベルへ殺到する。
ロベルはそれを必死の形相で避け、階段、柱、壁へと縦横無尽に飛び回る。そのせいで、階段は破壊され、柱は折れて二階の通路が落ち、壁に大穴が開く。
「ちょ、ちょっと! 室内なんだから、もっと気を使って戦いなさいよ!」
ネモは弾かれてきた瓦礫を慌てて避け、サミュエルを抱き上げて避難する。ザクロはそんなネモを一瞥し、鼻で嗤っただけで周囲に気を配ることはしなかった。
ふ~ん? そんな態度取るんだ~? とネモの額に青筋が浮かぶ。
よっしゃ、覚えてろよ、といずれやり返すことを心に決め、サミュエルを安全な場所へ降ろす。そして、ポーチから新たに試験管を数本取り出し、戦場へと駆け戻った。
ロベルは必死になってザクロの追撃から逃げ回っていた。
ネモがザクロに何を言っても奴は聞き入れないだろう。そのため、共闘というのはありえない。
それに、あれだけロベルが必死になって逃げるのだから、悪魔同士なら精神体を殺せるのだろう。けれど、このまま任せても良いのかどうか、不安がよぎる。何故なら、悪魔は狡猾だからだ。
もし、ロベルの精神体を殺さず、入れ物だけ壊したとしたら? 自由になり、精神世界に逃げ込んだロベルを使役しないという保証は? ザクロがロベルを使って、ネモやあっくんを害さないという保証は?
そして、それら全ての疑問の答えは、『保証は無い』だ。
悪魔同士は基本的に強者に従うことに抵抗も躊躇いも無い。従わなければ死ぬからだ。故に、ザクロがロベルを使う可能性を潰しておきたかった。そのため、今、確実にネモがロベルを仕留める必要があった。
ネモは試験管をロベルにどんどん投げつけていく。ロベルはそのどれも容易く避ける。それよりも、ザクロの追撃の方が圧倒的に厄介なようで、ネモが遠投ではロベルに聖水をかけるのは無理だと判断したらしく、ザクロの方にほとんどの意識を裂いている。
それでもネモはどんどん試験管を投げ、それは容易に避けられ、聖水がかからないように弾かれる。
試験管が床に落ち、割れ、聖水が床を濡らす。
それが、いくつも、いくつも……
聖水の水たまりが出来た場所に、ロベルが足をつきそうになり、空中で慌てて糸を吐き出したその時だった。
ネモは魔力を紡ぎ、告げる。
「《噴霧》」
それは、一瞬だった。
爆発するかのように、聖水が一気に水蒸気となってロベルを襲う。
「ぎゃあぁあぁぁぁぁぁぁ!!」
絶叫。
溶ける。
溶ける。
溶ける。
脚が、胴が、頭が……
この世から、消える。
気が狂いそうな一瞬の恐怖のなか、最後に残った目で見たのは、迫りくる、黒く、鋭い、影の――
魔物の体から血が噴き出す。
それは、実体を持たない筈のロベルの命の水のようだった。
そして、痛みなど感じる暇も無く、残っていたロベルの意識は粉々になり――この世から消え去ったのだった。
***
ドサリ、と魔物の死骸が地に落ちる。そこに、悪魔の気配は欠片も感じられない。
ネモはほっと息をつき、そして改めて気合を入れてもう一人の悪魔――ザクロに向き直る。
「……お疲れさま」
一応そう声を掛けるが、ザクロは冷然とした目でネモを見るばかりで、それに応えようとはしなかった。
まあ、そういう態度になるだろうな、とは思った。
なにせ、ネモこそがカーバンクルというチート幻獣のあっくんと無理やり下僕契約を結ばせた張本人である。さぞ恨みに思っていることだろう。
ネモだって、この悪魔のことは嫌いだし、出来る限り関わり合いになりたくない。嫌ってくれてまったく構わないが、今、攻撃されたらたまったもんじゃない。
実際、ネモは少しばかり身の危険を感じていた。ザクロは、実体化させた己の影を未だにゆらゆらと揺らし、こちらを見ていたのだ。
あれは、明らかな脅しだろう。
いざとなればあっくんを召喚すればいいが、それでもタイムラグがある。そのタイムラグが問題だった。
けれど、ネモは怯えなど欠片も見せず、自然体でザクロを見返す。
「そのゆらゆら揺らしてるやつ、さっさと仕舞ったら? こんな聖水だらけの所で、ケンカしたいなら別だけど」
ザクロがネモを殺そうとしなかった――否、殺せずにいたのは、そのせいだった。先程のロベルとの戦いで、床は聖水によってあちこちが濡れている。それは、悪魔のザクロにとって地雷原といっても過言では無かった。
ザクロ程のランクの悪魔ならばあの聖水で死ぬことは無い。けれど、精神体に傷を負うのは間違いなかった。ザクロは忌々しげに舌打ちし、実体化させた影を引っ込める。
そうやって睨み合っていると、ふと、遠くから声がするのに気づいた。
「――ゃま……、サ……エルぼ……ま! あああ、サミュエル坊ちゃま!」
「きゅっきゃ~!」
必死の形相で走って来たのはケイトだった。その走り方は半年間操られ続け、体の自由が無かったせいか、ぎこちない。その彼女の後ろから駆けてくるのはあっくんだ。ケイトを守って、というネモのお願いを聞いて、彼女をも守るために後を追ってきたのだろう。
ケイトはこちらに気付いたのか、視線をこちらに合わせて叫ぶ。
「サミュエル坊ちゃまは――⁉」
「大丈夫、無事よ」
そうしてサミュエルを避難させた方を指させば、そちらを見て、見つけた。
「坊ちゃま!」
ケイトはすぐさまサミュエルへ駆け寄り、壁に体を預けて眠っているサミュエルに声を掛ける。
「坊ちゃま! サミュエル坊ちゃま!」
肩を掴み、揺らす。すると、小さく声がもれ、薄っすらと目が開いた。
サミュエルは目を何度か瞬かせ、茫洋と視線を彷徨わせる。そして、彷徨わせていた視線を目の前にいるケイトに視点を定め、ぼんやりとした様子でこぼす。
「奥様……? ……あれ? ちがう……、ケイトだ。えっと……、あれ? どういう……?」
目を何度も瞬かせ、目をこすり、首を傾げる。
長い夢を見ていたのだろうか? それにしては現実的すぎる、と洗脳されていた半年の記憶に混乱するサミュエルに、ケイトはたまらずボロボロと涙をこぼす。
「嗚呼……、良かった……。坊ちゃま……、元に……!」
ロベルが死んだことで、ケイトの操り人形状態は解け、サミュエルの洗脳も解けたのだ。ケイトはそのままサミュエルを抱きしめ、良かった、良かったと繰り返し言い続けた。
ケイトにとって、長い、長い悪夢だった。
大切な主家の三男坊がおかしな女に目を付けられて、悪魔の力まで使って攫われたのだ。現場を偶然見かけ、咄嗟に割って入ったが、自分も一緒に攫われてしまった。
そして、大切な坊ちゃまの記憶を改竄、洗脳され、遠い異国の地で憎い誘拐犯の女にとって都合の良いおままごとが始まった。
ケイトもまた洗脳を受けたが、気力で芯の部分までは侵すことを許さなかった。けれど、体の自由は無かった。ケイトが配置されたおままごとの役は、意地悪な女主人だ。使用人役に据えられた坊ちゃまをいたぶるのは辛かった。
しかし、その『意地悪な女主人』設定の中でなら、行動に少しばかり己の意思を混ぜられるのに気付いたのは、ひと月もたたない頃だった。
手始めに、コックに扮した悪魔の料理を投げ捨てた。捨てた料理は、スープだ。あのスープは味が悪いのはもちろんだが、それ以上にそれを食べた後は己の意識を保つのが難しくなる厄介なものだった。だから、横暴さを笠に、こんなまずいものは食べられない、と捨てた。
悪魔はケイトのそんな振る舞いを許した。きっと、奴は面白がっていたのだろう。ケイトが必死になって意識を繋ぎ止め、抗い、苦しむ姿を……
最初はスープにだけ入っていた薬だろう何かは、悪魔は気まぐれに他の料理のも混ぜた。だから、ケイトは悪魔の作る料理をあまり食べないように気を付けた。安心して食べられるのは、外部から買っているパンや嗜好品くらいだった。
誘拐犯の女がサミュエルに差し出す手作りのお菓子や食料も、何が入っているか分からないため、出来る取り限り取り上げて来た。
ずっとずっと、ケイトは戦い続けた。
そうして、食べられず、長きにわたる孤独な戦いからのストレスで、ケイトは窶れていった。
つらかった。孤独だった。けれど、諦めなかった。
『意地悪な女主人』という操り人形のなか、外部の人間をお茶に誘い、ヒントを出し、SOSを発信し続けた。
悪魔はケイトの足掻きを嘲り、愉快そうに見ていたが、ケイトはついに賭けに勝った。
誘拐犯の女は氷の檻に閉じ込められ、悪魔の姿は無く、醜い大蜘蛛の躯が転がり、ケイトとサミュエルの洗脳は解けた。
「ケイト、なんだか随分痩せたね? えっと、僕、ちょっと、今、混乱してて……」
「はい。大丈夫ですよ、坊ちゃま。ゆっくり考えて下さい。もう、大丈夫ですから……」
そう言って、ケイトはサミュエルを抱きしめながら、涙を流し続けた。
「まあ、そこの人間はどうでもいいが、交渉は決裂だな」
冷たい声に、ロベルがビクリと震える。視線がキョロキョロと忙しなく動き、逃げ道を探る。
そんなロベルの様子を気にもせず、ザクロは手を持ち上げ、告げた。
「死ね」
瞬間、ザクロの影が爆発的な速さで伸びる。それは途中で実体化し、鋭い錐状の先端で突き刺そうとロベルへ殺到する。
ロベルはそれを必死の形相で避け、階段、柱、壁へと縦横無尽に飛び回る。そのせいで、階段は破壊され、柱は折れて二階の通路が落ち、壁に大穴が開く。
「ちょ、ちょっと! 室内なんだから、もっと気を使って戦いなさいよ!」
ネモは弾かれてきた瓦礫を慌てて避け、サミュエルを抱き上げて避難する。ザクロはそんなネモを一瞥し、鼻で嗤っただけで周囲に気を配ることはしなかった。
ふ~ん? そんな態度取るんだ~? とネモの額に青筋が浮かぶ。
よっしゃ、覚えてろよ、といずれやり返すことを心に決め、サミュエルを安全な場所へ降ろす。そして、ポーチから新たに試験管を数本取り出し、戦場へと駆け戻った。
ロベルは必死になってザクロの追撃から逃げ回っていた。
ネモがザクロに何を言っても奴は聞き入れないだろう。そのため、共闘というのはありえない。
それに、あれだけロベルが必死になって逃げるのだから、悪魔同士なら精神体を殺せるのだろう。けれど、このまま任せても良いのかどうか、不安がよぎる。何故なら、悪魔は狡猾だからだ。
もし、ロベルの精神体を殺さず、入れ物だけ壊したとしたら? 自由になり、精神世界に逃げ込んだロベルを使役しないという保証は? ザクロがロベルを使って、ネモやあっくんを害さないという保証は?
そして、それら全ての疑問の答えは、『保証は無い』だ。
悪魔同士は基本的に強者に従うことに抵抗も躊躇いも無い。従わなければ死ぬからだ。故に、ザクロがロベルを使う可能性を潰しておきたかった。そのため、今、確実にネモがロベルを仕留める必要があった。
ネモは試験管をロベルにどんどん投げつけていく。ロベルはそのどれも容易く避ける。それよりも、ザクロの追撃の方が圧倒的に厄介なようで、ネモが遠投ではロベルに聖水をかけるのは無理だと判断したらしく、ザクロの方にほとんどの意識を裂いている。
それでもネモはどんどん試験管を投げ、それは容易に避けられ、聖水がかからないように弾かれる。
試験管が床に落ち、割れ、聖水が床を濡らす。
それが、いくつも、いくつも……
聖水の水たまりが出来た場所に、ロベルが足をつきそうになり、空中で慌てて糸を吐き出したその時だった。
ネモは魔力を紡ぎ、告げる。
「《噴霧》」
それは、一瞬だった。
爆発するかのように、聖水が一気に水蒸気となってロベルを襲う。
「ぎゃあぁあぁぁぁぁぁぁ!!」
絶叫。
溶ける。
溶ける。
溶ける。
脚が、胴が、頭が……
この世から、消える。
気が狂いそうな一瞬の恐怖のなか、最後に残った目で見たのは、迫りくる、黒く、鋭い、影の――
魔物の体から血が噴き出す。
それは、実体を持たない筈のロベルの命の水のようだった。
そして、痛みなど感じる暇も無く、残っていたロベルの意識は粉々になり――この世から消え去ったのだった。
***
ドサリ、と魔物の死骸が地に落ちる。そこに、悪魔の気配は欠片も感じられない。
ネモはほっと息をつき、そして改めて気合を入れてもう一人の悪魔――ザクロに向き直る。
「……お疲れさま」
一応そう声を掛けるが、ザクロは冷然とした目でネモを見るばかりで、それに応えようとはしなかった。
まあ、そういう態度になるだろうな、とは思った。
なにせ、ネモこそがカーバンクルというチート幻獣のあっくんと無理やり下僕契約を結ばせた張本人である。さぞ恨みに思っていることだろう。
ネモだって、この悪魔のことは嫌いだし、出来る限り関わり合いになりたくない。嫌ってくれてまったく構わないが、今、攻撃されたらたまったもんじゃない。
実際、ネモは少しばかり身の危険を感じていた。ザクロは、実体化させた己の影を未だにゆらゆらと揺らし、こちらを見ていたのだ。
あれは、明らかな脅しだろう。
いざとなればあっくんを召喚すればいいが、それでもタイムラグがある。そのタイムラグが問題だった。
けれど、ネモは怯えなど欠片も見せず、自然体でザクロを見返す。
「そのゆらゆら揺らしてるやつ、さっさと仕舞ったら? こんな聖水だらけの所で、ケンカしたいなら別だけど」
ザクロがネモを殺そうとしなかった――否、殺せずにいたのは、そのせいだった。先程のロベルとの戦いで、床は聖水によってあちこちが濡れている。それは、悪魔のザクロにとって地雷原といっても過言では無かった。
ザクロ程のランクの悪魔ならばあの聖水で死ぬことは無い。けれど、精神体に傷を負うのは間違いなかった。ザクロは忌々しげに舌打ちし、実体化させた影を引っ込める。
そうやって睨み合っていると、ふと、遠くから声がするのに気づいた。
「――ゃま……、サ……エルぼ……ま! あああ、サミュエル坊ちゃま!」
「きゅっきゃ~!」
必死の形相で走って来たのはケイトだった。その走り方は半年間操られ続け、体の自由が無かったせいか、ぎこちない。その彼女の後ろから駆けてくるのはあっくんだ。ケイトを守って、というネモのお願いを聞いて、彼女をも守るために後を追ってきたのだろう。
ケイトはこちらに気付いたのか、視線をこちらに合わせて叫ぶ。
「サミュエル坊ちゃまは――⁉」
「大丈夫、無事よ」
そうしてサミュエルを避難させた方を指させば、そちらを見て、見つけた。
「坊ちゃま!」
ケイトはすぐさまサミュエルへ駆け寄り、壁に体を預けて眠っているサミュエルに声を掛ける。
「坊ちゃま! サミュエル坊ちゃま!」
肩を掴み、揺らす。すると、小さく声がもれ、薄っすらと目が開いた。
サミュエルは目を何度か瞬かせ、茫洋と視線を彷徨わせる。そして、彷徨わせていた視線を目の前にいるケイトに視点を定め、ぼんやりとした様子でこぼす。
「奥様……? ……あれ? ちがう……、ケイトだ。えっと……、あれ? どういう……?」
目を何度も瞬かせ、目をこすり、首を傾げる。
長い夢を見ていたのだろうか? それにしては現実的すぎる、と洗脳されていた半年の記憶に混乱するサミュエルに、ケイトはたまらずボロボロと涙をこぼす。
「嗚呼……、良かった……。坊ちゃま……、元に……!」
ロベルが死んだことで、ケイトの操り人形状態は解け、サミュエルの洗脳も解けたのだ。ケイトはそのままサミュエルを抱きしめ、良かった、良かったと繰り返し言い続けた。
ケイトにとって、長い、長い悪夢だった。
大切な主家の三男坊がおかしな女に目を付けられて、悪魔の力まで使って攫われたのだ。現場を偶然見かけ、咄嗟に割って入ったが、自分も一緒に攫われてしまった。
そして、大切な坊ちゃまの記憶を改竄、洗脳され、遠い異国の地で憎い誘拐犯の女にとって都合の良いおままごとが始まった。
ケイトもまた洗脳を受けたが、気力で芯の部分までは侵すことを許さなかった。けれど、体の自由は無かった。ケイトが配置されたおままごとの役は、意地悪な女主人だ。使用人役に据えられた坊ちゃまをいたぶるのは辛かった。
しかし、その『意地悪な女主人』設定の中でなら、行動に少しばかり己の意思を混ぜられるのに気付いたのは、ひと月もたたない頃だった。
手始めに、コックに扮した悪魔の料理を投げ捨てた。捨てた料理は、スープだ。あのスープは味が悪いのはもちろんだが、それ以上にそれを食べた後は己の意識を保つのが難しくなる厄介なものだった。だから、横暴さを笠に、こんなまずいものは食べられない、と捨てた。
悪魔はケイトのそんな振る舞いを許した。きっと、奴は面白がっていたのだろう。ケイトが必死になって意識を繋ぎ止め、抗い、苦しむ姿を……
最初はスープにだけ入っていた薬だろう何かは、悪魔は気まぐれに他の料理のも混ぜた。だから、ケイトは悪魔の作る料理をあまり食べないように気を付けた。安心して食べられるのは、外部から買っているパンや嗜好品くらいだった。
誘拐犯の女がサミュエルに差し出す手作りのお菓子や食料も、何が入っているか分からないため、出来る取り限り取り上げて来た。
ずっとずっと、ケイトは戦い続けた。
そうして、食べられず、長きにわたる孤独な戦いからのストレスで、ケイトは窶れていった。
つらかった。孤独だった。けれど、諦めなかった。
『意地悪な女主人』という操り人形のなか、外部の人間をお茶に誘い、ヒントを出し、SOSを発信し続けた。
悪魔はケイトの足掻きを嘲り、愉快そうに見ていたが、ケイトはついに賭けに勝った。
誘拐犯の女は氷の檻に閉じ込められ、悪魔の姿は無く、醜い大蜘蛛の躯が転がり、ケイトとサミュエルの洗脳は解けた。
「ケイト、なんだか随分痩せたね? えっと、僕、ちょっと、今、混乱してて……」
「はい。大丈夫ですよ、坊ちゃま。ゆっくり考えて下さい。もう、大丈夫ですから……」
そう言って、ケイトはサミュエルを抱きしめながら、涙を流し続けた。
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