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閑話
クリストフ・レポート 10(書籍六巻前半ダイジェスト)
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これはクリストフの回顧録である。
※これはクリストフから見た物語のダイジェストになります。クリストフ視点のため、メインストーリーでない部分が中心であったり、物語中に無いシーンが含まれていたりします。また、クリストフがその時点で知りえない情報は含まれていません。
※文中の『バカ』『バカリーダー』『リーダー』『ディーさん』は全てディートリヒのことです。また『陰険グリフォン』「残虐グリフォン』などは全てグリおじさんのことです。
●月●日
オレたちはロアたちと一緒に、母国であるネレウス王国に来ていた。
あの城塞迷宮の冒険から、もう三か月は過ぎている。
あの冒険でロアは見習い職の万能職から本当の冒険者になり、しっかりと実績を重ねていた。
今回のネレウス行きは、コラルドさんの依頼だ。
ロアたちが実績を積み重ねていくのを見て、コラルドさんが護衛の仕事も経験しておいた方が良いと考えて依頼をしてくれたのだ。
オレたちももちろん、その仕事に同行することになった。
ただ、オレたち望郷のメンバーにとってはそれだけではない。
城塞迷宮行きの際、オレたちは母国の女王ととある取引をしていた。
その取引の条件の中に、ネレウス王国までロアを連れて行くというものが含まれていたのだ。
条件といっても、実際は女王にリーダーがハメられたというのが正しいだろう。
考えが足りなくて書類仕事が嫌いなバカリーダーが、満足に書類を読まないのを見越して仕組まれていたに違いない。バカがその思惑通りにチェックをしないでサインした結果だった。
そのせいで、オレたちはどうやってロアをネレウス王国に連れて行くか悩んでいたのだ。
そこにコラルドさんの依頼の話が出て、オレたちは大喜びで飛び付いたのだった。
そうでなければ、今でもオレたちはどうやってロアを連れて行こうか頭を悩ませていたことだろう。
まあ、タイミングが良すぎて裏工作の臭いがプンプンしているが、選択肢が無いのだから気にしても仕方ない。
バカリーダーはまったく気が付いて無さそうだけどな。
とにもかくにも、そうしてオレたちはネレウス王国に来ているのだった。
●月●日
国境を越えてネレウス王国に入ってから数日後には、オレたちは王都に到着した。
王都は海に面した街だ。
ロアは初めて見る海に興奮していたし、オレたちも故郷に帰ってきたことで浮かれていた。
だがそこで、問題が持ち上がった。
オレたちは、ほとんどの王都の宿の出入り禁止を食らっていた。コラルドさんが泊まるような高級宿は全滅だろう。
いや、宿屋だけではない。飲食店や色町のほとんどから出入り禁止を食らっている。
すべて、バカリーダーのせいだ。
バカリーダーは酔うと昔の、残虐だった頃の性格が蘇る。
そして、暴れる。
しかも、リーダーはネレウス王国内では上から数えた方が早いくらいには腕が立つので、被害が大きい。
何度も暴れてくれたせいで、宿屋や飲食店のギルドに噂が回り、実際に行ったこともない店まで出入り禁止にされている。
ぶっちゃけ、オレは昔のリーダー……ディーさんのことも嫌いじゃないのだが、それでも暴れる悪癖は何とかして欲しいと思う。
後処理が面倒だし、オレたちや周囲の人たちにかけられる迷惑も半端ない。
そんな問題を抱えたまま、オレたちは王都へ入る門の前に差し掛かった。
そして、そこにいたのはコルネリアの姉のエミーリア様だった。
エミーリア様はコルネリアの実姉だが、侯爵家に養子に入ったため貴族としての地位も高い。しかも、近衛騎士副長で職務上の権力もある。
オレには雲の上と言って良いほどの人だ。
リーダーとは同じ人から剣を習っていたから旧知だが、オレとの関係は薄い。
一応、何度か話したことはあるが顔見知り程度だ。
エミーリア様は……その、なんというか、リーダーとは相性が悪い。リーダーを毛嫌いしている。
それなのに溺愛しているコルネリアがバカリーダーにくっ付いて国外に出て行くことになったから、かなり恨まれているらしい。
エミーリア様はオレたちが宿を取れない話を聞いていたらしく、自宅である侯爵家の屋敷にオレたちを招待してくれた。
侯爵家の屋敷に移動し、やっと落ち着けると思った途端にまたひと悶着があった。
やっぱり出かけた先でロアたちから目を離してはいけない。
必ず何かやらかしてくれる。
今回は陰険グリフォンは関わっておらず、ロアと双子の魔狼だけだったのは不幸中の幸いだろうか。
ロアたちがやらかした相手は、剣聖でありエミーリア様の義祖父である前侯爵様だった。
剣聖は剣を極めた物に与えられる称号で、他の剣聖から認められてなれる実力を伴ったものだった。
ネレウス王国内では、今は前侯爵様しかいない。
リーダーは残虐だった性格を改善させるためにこの前侯爵様に預けられ、剣の修行を通して性格の矯正をされたのだが……結果、今のバカリーダーが出来上がったことから前侯爵様の性格を察して欲しい。
要するに、バカリーダーと似たようなもの、もしくはそれ以上のバカということだ。
前侯爵様は、ロアのことを勝手に侯爵家の敷地に侵入した子供だと思ったらしい。
そこで、ちょっと脅して追い出してやろうと思ってロアに斬りかかった。
結果は、惨敗。
怪しげな……たぶん陰険グリフォンがロアに掛けて置いたものだろう、不思議な魔法に返り討ちに合い、前侯爵様は双子の魔狼に押えつけられた。
この件は、前侯爵様が謝罪してくれて収まった。
客であるロアを侵入者と勘違いした自分が悪かったと言ってくれたのだ。そうでなければ、剣聖であり前侯爵である人物を傷付けたのだから、大問題になっていただろう。
リーダーと同じく、前侯爵様が理不尽なことは嫌う性格で助かった。
その夜。
オレはある人物に会いに行った。
王都に入る少し前から、オレたちは監視されていたらしい。
そのことをグリおじさんや双子の魔狼から教えてもらい、監視している目的を聞くために行ったのだ。
会った相手は同僚にして上司。
しかもまたもや貴族としてもお偉いさん。
さらには、この国の暗部にまで恐れられている人間だった。
一見、人当たりが良くて怖い人物には見えないが、この国では敵対してはいけない人間の上位ランクに入っている。
……監視の目的は、オレたちにはあまり関係ないものだった。そのまま放置しておいても大丈夫だろう。
少なくとも、あの人が語ってくれた内容の限りは。
それにしても、シアナちゃんは結婚するのか……。
※これはクリストフから見た物語のダイジェストになります。クリストフ視点のため、メインストーリーでない部分が中心であったり、物語中に無いシーンが含まれていたりします。また、クリストフがその時点で知りえない情報は含まれていません。
※文中の『バカ』『バカリーダー』『リーダー』『ディーさん』は全てディートリヒのことです。また『陰険グリフォン』「残虐グリフォン』などは全てグリおじさんのことです。
●月●日
オレたちはロアたちと一緒に、母国であるネレウス王国に来ていた。
あの城塞迷宮の冒険から、もう三か月は過ぎている。
あの冒険でロアは見習い職の万能職から本当の冒険者になり、しっかりと実績を重ねていた。
今回のネレウス行きは、コラルドさんの依頼だ。
ロアたちが実績を積み重ねていくのを見て、コラルドさんが護衛の仕事も経験しておいた方が良いと考えて依頼をしてくれたのだ。
オレたちももちろん、その仕事に同行することになった。
ただ、オレたち望郷のメンバーにとってはそれだけではない。
城塞迷宮行きの際、オレたちは母国の女王ととある取引をしていた。
その取引の条件の中に、ネレウス王国までロアを連れて行くというものが含まれていたのだ。
条件といっても、実際は女王にリーダーがハメられたというのが正しいだろう。
考えが足りなくて書類仕事が嫌いなバカリーダーが、満足に書類を読まないのを見越して仕組まれていたに違いない。バカがその思惑通りにチェックをしないでサインした結果だった。
そのせいで、オレたちはどうやってロアをネレウス王国に連れて行くか悩んでいたのだ。
そこにコラルドさんの依頼の話が出て、オレたちは大喜びで飛び付いたのだった。
そうでなければ、今でもオレたちはどうやってロアを連れて行こうか頭を悩ませていたことだろう。
まあ、タイミングが良すぎて裏工作の臭いがプンプンしているが、選択肢が無いのだから気にしても仕方ない。
バカリーダーはまったく気が付いて無さそうだけどな。
とにもかくにも、そうしてオレたちはネレウス王国に来ているのだった。
●月●日
国境を越えてネレウス王国に入ってから数日後には、オレたちは王都に到着した。
王都は海に面した街だ。
ロアは初めて見る海に興奮していたし、オレたちも故郷に帰ってきたことで浮かれていた。
だがそこで、問題が持ち上がった。
オレたちは、ほとんどの王都の宿の出入り禁止を食らっていた。コラルドさんが泊まるような高級宿は全滅だろう。
いや、宿屋だけではない。飲食店や色町のほとんどから出入り禁止を食らっている。
すべて、バカリーダーのせいだ。
バカリーダーは酔うと昔の、残虐だった頃の性格が蘇る。
そして、暴れる。
しかも、リーダーはネレウス王国内では上から数えた方が早いくらいには腕が立つので、被害が大きい。
何度も暴れてくれたせいで、宿屋や飲食店のギルドに噂が回り、実際に行ったこともない店まで出入り禁止にされている。
ぶっちゃけ、オレは昔のリーダー……ディーさんのことも嫌いじゃないのだが、それでも暴れる悪癖は何とかして欲しいと思う。
後処理が面倒だし、オレたちや周囲の人たちにかけられる迷惑も半端ない。
そんな問題を抱えたまま、オレたちは王都へ入る門の前に差し掛かった。
そして、そこにいたのはコルネリアの姉のエミーリア様だった。
エミーリア様はコルネリアの実姉だが、侯爵家に養子に入ったため貴族としての地位も高い。しかも、近衛騎士副長で職務上の権力もある。
オレには雲の上と言って良いほどの人だ。
リーダーとは同じ人から剣を習っていたから旧知だが、オレとの関係は薄い。
一応、何度か話したことはあるが顔見知り程度だ。
エミーリア様は……その、なんというか、リーダーとは相性が悪い。リーダーを毛嫌いしている。
それなのに溺愛しているコルネリアがバカリーダーにくっ付いて国外に出て行くことになったから、かなり恨まれているらしい。
エミーリア様はオレたちが宿を取れない話を聞いていたらしく、自宅である侯爵家の屋敷にオレたちを招待してくれた。
侯爵家の屋敷に移動し、やっと落ち着けると思った途端にまたひと悶着があった。
やっぱり出かけた先でロアたちから目を離してはいけない。
必ず何かやらかしてくれる。
今回は陰険グリフォンは関わっておらず、ロアと双子の魔狼だけだったのは不幸中の幸いだろうか。
ロアたちがやらかした相手は、剣聖でありエミーリア様の義祖父である前侯爵様だった。
剣聖は剣を極めた物に与えられる称号で、他の剣聖から認められてなれる実力を伴ったものだった。
ネレウス王国内では、今は前侯爵様しかいない。
リーダーは残虐だった性格を改善させるためにこの前侯爵様に預けられ、剣の修行を通して性格の矯正をされたのだが……結果、今のバカリーダーが出来上がったことから前侯爵様の性格を察して欲しい。
要するに、バカリーダーと似たようなもの、もしくはそれ以上のバカということだ。
前侯爵様は、ロアのことを勝手に侯爵家の敷地に侵入した子供だと思ったらしい。
そこで、ちょっと脅して追い出してやろうと思ってロアに斬りかかった。
結果は、惨敗。
怪しげな……たぶん陰険グリフォンがロアに掛けて置いたものだろう、不思議な魔法に返り討ちに合い、前侯爵様は双子の魔狼に押えつけられた。
この件は、前侯爵様が謝罪してくれて収まった。
客であるロアを侵入者と勘違いした自分が悪かったと言ってくれたのだ。そうでなければ、剣聖であり前侯爵である人物を傷付けたのだから、大問題になっていただろう。
リーダーと同じく、前侯爵様が理不尽なことは嫌う性格で助かった。
その夜。
オレはある人物に会いに行った。
王都に入る少し前から、オレたちは監視されていたらしい。
そのことをグリおじさんや双子の魔狼から教えてもらい、監視している目的を聞くために行ったのだ。
会った相手は同僚にして上司。
しかもまたもや貴族としてもお偉いさん。
さらには、この国の暗部にまで恐れられている人間だった。
一見、人当たりが良くて怖い人物には見えないが、この国では敵対してはいけない人間の上位ランクに入っている。
……監視の目的は、オレたちにはあまり関係ないものだった。そのまま放置しておいても大丈夫だろう。
少なくとも、あの人が語ってくれた内容の限りは。
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