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第二章
「そういったことは言わない方がいいぞ?幸せが逃げて、トラブルが起こるフラグになる」
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「あの程度の防具でこれほどまでに喜んでくれるとはな。感謝されるのは気持ちいい!武器も作ってやるか!過剰な武器はいかんから、実力に合わせて成長する武器など面白いかもしれん」
マッドゴーレムとともに散らばっていく初心者パーティーを眺めながら、ナイは平然と不穏な発言をする。
使用者に合わせて成長する武器な聞いたこともないが、ナイが言うからには作れるのだろう。
「それで、オレたちはどうするんだ?」
「ふむ。今日はみなに防具を試させるのが目的であったからな。そのためにこの平原を選んだが、アルベルトがすることがなかったか。まあ、ここのところ訓練続きだったのだから、ゆっくりしておればいいのではないか?」
そう言いながらもナイはアルベルトに身体を摺り寄せた。
アルベルトはそれを自然に受け入れ、ゆっくりと黒髪を撫でていく。
初心者パーティーたちがこちらを振り向き、眉をしかめているが、アルベルトは気が付かない。
アルベルトとしては、これはあくまで自分が飼っている猫に対しての行動だった。
ナイは猫だ、自分に飼われている飼い猫に過ぎない。彼女が仕掛けてくる過剰なほどのスキンシップはすべてアルベルトを飼い主として見ているせいで、男性に対する行動ではない。
アルベルトはそう思い込んでいた。
自分自身も騙せるほどそう思い込み、信じ切って疑問すら持たなくなっていた。
おかげでこうやって人目に触れる場所で触れ合うのも平気だ。
くつろいでいる時は膝の上に乗せているし、外出の時も肩に乗せたり抱きかかえていることが多くなった。キスされようが鼻先を舐められようが気にしない。
寝るときはもちろん一緒で、股の間で寝られてもドキドキすることもない。ちなみに起き抜けの元気な場所に寝惚けたナイに猫パンチを食らって泣きそうになったが、それも笑って許してしまえた。
ただ、交尾しようと言われると、まだ顔を赤くして慌ててしまうのだが……。
ナイの方はというと、本能に従って好き勝手やっているだけだ。
特に何も考えていない。
少し今まで感じたことがない感情がわいてきている気がするが、それは成り行きに任せることにしていた。
元々周囲を気にする正確ではないため、人前でアルベルトに密着したり舐めたりすることに抵抗はなかった。
そもそも、猫であれば普通の行動だろう。
他の者たちからどのように見えようが、アルベルトとナイにとってはあくまで飼い主と飼い猫の関係。
心躍る恋愛ではなく、心落ち着くなごみの時間だった。
初心者パーティーの面々が思い思いの場所でマッドゴーレムと戦闘訓練を始めたので、アルベルトは柔らかな草が生えているあたりに座り込みその姿を眺める。
当然のようにナイが膝の上で丸まり、眠り始めた。
「平和だな……」
「む?」
アルベルトの小さな呟きに、ナイが反応した。
「そういったことは言わない方がいいぞ?幸せが逃げて、事件が起こる呼び水になる」
膝の上から、上目づかいの金色の瞳がアルベルトを見つめた。
「確かにな」
アルベルトは今までの経験から同意する。
不幸というのは、幸せを感じた時にやってくるものだ。
彼の人生でもいつだってそうだった。
「ほら、貴様がそういうことを言うから、事件の足音が聞こえてきたぞ」
ナイの言葉と同時に、遠くから馬の蹄の音が聞こえてきたのだった。
マッドゴーレムとともに散らばっていく初心者パーティーを眺めながら、ナイは平然と不穏な発言をする。
使用者に合わせて成長する武器な聞いたこともないが、ナイが言うからには作れるのだろう。
「それで、オレたちはどうするんだ?」
「ふむ。今日はみなに防具を試させるのが目的であったからな。そのためにこの平原を選んだが、アルベルトがすることがなかったか。まあ、ここのところ訓練続きだったのだから、ゆっくりしておればいいのではないか?」
そう言いながらもナイはアルベルトに身体を摺り寄せた。
アルベルトはそれを自然に受け入れ、ゆっくりと黒髪を撫でていく。
初心者パーティーたちがこちらを振り向き、眉をしかめているが、アルベルトは気が付かない。
アルベルトとしては、これはあくまで自分が飼っている猫に対しての行動だった。
ナイは猫だ、自分に飼われている飼い猫に過ぎない。彼女が仕掛けてくる過剰なほどのスキンシップはすべてアルベルトを飼い主として見ているせいで、男性に対する行動ではない。
アルベルトはそう思い込んでいた。
自分自身も騙せるほどそう思い込み、信じ切って疑問すら持たなくなっていた。
おかげでこうやって人目に触れる場所で触れ合うのも平気だ。
くつろいでいる時は膝の上に乗せているし、外出の時も肩に乗せたり抱きかかえていることが多くなった。キスされようが鼻先を舐められようが気にしない。
寝るときはもちろん一緒で、股の間で寝られてもドキドキすることもない。ちなみに起き抜けの元気な場所に寝惚けたナイに猫パンチを食らって泣きそうになったが、それも笑って許してしまえた。
ただ、交尾しようと言われると、まだ顔を赤くして慌ててしまうのだが……。
ナイの方はというと、本能に従って好き勝手やっているだけだ。
特に何も考えていない。
少し今まで感じたことがない感情がわいてきている気がするが、それは成り行きに任せることにしていた。
元々周囲を気にする正確ではないため、人前でアルベルトに密着したり舐めたりすることに抵抗はなかった。
そもそも、猫であれば普通の行動だろう。
他の者たちからどのように見えようが、アルベルトとナイにとってはあくまで飼い主と飼い猫の関係。
心躍る恋愛ではなく、心落ち着くなごみの時間だった。
初心者パーティーの面々が思い思いの場所でマッドゴーレムと戦闘訓練を始めたので、アルベルトは柔らかな草が生えているあたりに座り込みその姿を眺める。
当然のようにナイが膝の上で丸まり、眠り始めた。
「平和だな……」
「む?」
アルベルトの小さな呟きに、ナイが反応した。
「そういったことは言わない方がいいぞ?幸せが逃げて、事件が起こる呼び水になる」
膝の上から、上目づかいの金色の瞳がアルベルトを見つめた。
「確かにな」
アルベルトは今までの経験から同意する。
不幸というのは、幸せを感じた時にやってくるものだ。
彼の人生でもいつだってそうだった。
「ほら、貴様がそういうことを言うから、事件の足音が聞こえてきたぞ」
ナイの言葉と同時に、遠くから馬の蹄の音が聞こえてきたのだった。
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