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よう!にいちゃん!ここは初めてか!
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ファーライト号は物流拠点惑星に到着した。
そしてあっさりと、ハルヤは船を下ろされた。
「ここが冒険者ギルドかぁ~」
『なんですかそれ?斡旋協会ですよ?』
ハルヤの言葉に、すかさず管理用端末417号ことシイナが突っ込みを入れる。
シイナは宇宙船の中でハルヤと会話をしている内に、やたらと気安く話すようになった。
ハルヤの個人端末として適応していった結果だろう。
ビリヤードの球そっくりの癖して、動きで感情のようなものまで表現するようになってきた。
シイナは餞別代りに、ハルヤに譲渡されることになった。
シイナはファーライト号に古くから使用されていた管理用端末のため、そろそろ入れ替え時期だったそうだ。
どうせ廃棄するならと、ハルヤに譲られることとなったのだった。
なんでも管理用端末はそれほど高価な物ではないらしい。
一般人でも買える金額だと言うから、ハルヤの感覚に置き直すと、中古のパソコンを知り合いにタダで譲る程度のものなのだろう。
それはともかく。
船を降りたハルヤとシイナは、斡旋協会の前にいた。
斡旋協会とは、期間限定の仕事を斡旋してくれて、ついでに簡易的な身元保障をしてくれる場所である。
星間移動が当たり前のこの世界だが、統一した身元保証制度が存在していない星も多い。
そういった星から来た人間たちのために、こういった公共の施設が存在するのだった。
つまるところ、ファンタジー世界の冒険者ギルドそのものだ。
もちろんモンスターを狩る仕事を斡旋しているわけではなく、適性を調べてそれに合わせた普通の仕事を見つけてくれるのだった。
「とりあえず、入りますか」
『とりあえず、行きましょう』
身体強化もサイボーグ化もされていないハルトの肉体は、この世界のほぼ平均程度。
『世界で一番強い人類』のはずなのに情けないことこのうえない。
この世界の人間の多くは、自分たちの身体に改造を加えている。特に宇宙船に乗って別の惑星に行くような仕事をしている者は、生体強化などの各種改造を加えているのが当たり前だった。
ハルトも生体強化しようかと考えたが、他銀河……本当は異世界がだ……から来た人間には実績がないため適応できる保証が無いらしい。
まずはアレルギーや拒絶反応の検査をしてから、耳朶などの最悪腐り落ちても影響のない部分に生体強化処理を行って数年過ごして影響を確かめ、それから本番の生体強化処理を行うことになるそうだ。
先の長い話である。
まだまだ身体能力チートは味わえそうにない。
「オレ……何ができるんだろう?」
チート無双できない。せっかくの冒険者ギルドなのに……。
ハルトはまた大きくため息をつくと、左右に開く自動ドアをくぐりながら項垂れた。
「よう!にいちゃん!ここは初めてか!」
「え!!?」
自動ドアを抜けた瞬間、野太い声を頭上から浴びせかけられた。
ハルトがゆっくりと上を向くと、巨体がハルトに影を落としていた。
「えっと……」
巨体が頭上の光源を遮っているためよく見えないが、巨体は半機械化された異様なほど長身の男らしい。男が少し体を動かす度に、小さな機械が動く時計のような音がした。
ここにきてテンプレかよ……と、ハルトは頭の中で毒づいた。
冒険者ギルドでのテンプレと言えば、初心者がガラの悪い男に絡まれるというのがある。いわゆる、初心者狩りだ。
間違いなくそういった場面だろう。
ハルトのチート能力が役に立つものだったなら、ノリノリで真っ向から受けて立つところだろう。
しかし、ハルトはこの世界では普通レベルの存在でしかない。
こんな見るから科学的に強化されまくった存在とは戦えるわけがないのだ。
『はい!ハルト様は初めて来ました』
「あ、シイナさん、待って!」
ハルトがどう答えるべきかと頭を振り絞って悩んでいる間に、シイナがあっさりと答えてしまった。
ハルトは慌てたが、答えてしまった以上はどうしようもない。
首をすくめて、暴言が来るかいきなり殴られるかと身構えた。
「そうか!なら床の赤い矢印に従って進んでくれ」
スッと巨体が横に動き、ハルトの視界が開ける。
予想外の出来事に、ハルトは口を開けて呆けてしまった。そのまま、ハルトの元を離れていく巨体の半機械化の男を見つめてしまう。
『どうされたました?』
「いや……なんだったんだろう?」
『初めて来た人への案内役ですね。窓口までの付き添いもしてくれますよ?お願いしますか?』
「……いや、必要ない……と思う」
巨体の男は斡旋協会の人間だったらしい。
ハルトが男を見ていると、入ってくる全員に声を掛け、質問されたら丁寧に答えて場合によっては案内や相談まで受けていた。
見かけによらず……と言っては失礼だが、かなり親切な人のようだ。
ハルトはこの世界でも外見で人を判断するのは止めようと心に誓ったのだった。
「赤の矢印ね。行きますか……」
所詮テンプレはテンプレに過ぎず、現実には無いんだなと、ハルトはどこか虚しさを感じるのだった。
そしてあっさりと、ハルヤは船を下ろされた。
「ここが冒険者ギルドかぁ~」
『なんですかそれ?斡旋協会ですよ?』
ハルヤの言葉に、すかさず管理用端末417号ことシイナが突っ込みを入れる。
シイナは宇宙船の中でハルヤと会話をしている内に、やたらと気安く話すようになった。
ハルヤの個人端末として適応していった結果だろう。
ビリヤードの球そっくりの癖して、動きで感情のようなものまで表現するようになってきた。
シイナは餞別代りに、ハルヤに譲渡されることになった。
シイナはファーライト号に古くから使用されていた管理用端末のため、そろそろ入れ替え時期だったそうだ。
どうせ廃棄するならと、ハルヤに譲られることとなったのだった。
なんでも管理用端末はそれほど高価な物ではないらしい。
一般人でも買える金額だと言うから、ハルヤの感覚に置き直すと、中古のパソコンを知り合いにタダで譲る程度のものなのだろう。
それはともかく。
船を降りたハルヤとシイナは、斡旋協会の前にいた。
斡旋協会とは、期間限定の仕事を斡旋してくれて、ついでに簡易的な身元保障をしてくれる場所である。
星間移動が当たり前のこの世界だが、統一した身元保証制度が存在していない星も多い。
そういった星から来た人間たちのために、こういった公共の施設が存在するのだった。
つまるところ、ファンタジー世界の冒険者ギルドそのものだ。
もちろんモンスターを狩る仕事を斡旋しているわけではなく、適性を調べてそれに合わせた普通の仕事を見つけてくれるのだった。
「とりあえず、入りますか」
『とりあえず、行きましょう』
身体強化もサイボーグ化もされていないハルトの肉体は、この世界のほぼ平均程度。
『世界で一番強い人類』のはずなのに情けないことこのうえない。
この世界の人間の多くは、自分たちの身体に改造を加えている。特に宇宙船に乗って別の惑星に行くような仕事をしている者は、生体強化などの各種改造を加えているのが当たり前だった。
ハルトも生体強化しようかと考えたが、他銀河……本当は異世界がだ……から来た人間には実績がないため適応できる保証が無いらしい。
まずはアレルギーや拒絶反応の検査をしてから、耳朶などの最悪腐り落ちても影響のない部分に生体強化処理を行って数年過ごして影響を確かめ、それから本番の生体強化処理を行うことになるそうだ。
先の長い話である。
まだまだ身体能力チートは味わえそうにない。
「オレ……何ができるんだろう?」
チート無双できない。せっかくの冒険者ギルドなのに……。
ハルトはまた大きくため息をつくと、左右に開く自動ドアをくぐりながら項垂れた。
「よう!にいちゃん!ここは初めてか!」
「え!!?」
自動ドアを抜けた瞬間、野太い声を頭上から浴びせかけられた。
ハルトがゆっくりと上を向くと、巨体がハルトに影を落としていた。
「えっと……」
巨体が頭上の光源を遮っているためよく見えないが、巨体は半機械化された異様なほど長身の男らしい。男が少し体を動かす度に、小さな機械が動く時計のような音がした。
ここにきてテンプレかよ……と、ハルトは頭の中で毒づいた。
冒険者ギルドでのテンプレと言えば、初心者がガラの悪い男に絡まれるというのがある。いわゆる、初心者狩りだ。
間違いなくそういった場面だろう。
ハルトのチート能力が役に立つものだったなら、ノリノリで真っ向から受けて立つところだろう。
しかし、ハルトはこの世界では普通レベルの存在でしかない。
こんな見るから科学的に強化されまくった存在とは戦えるわけがないのだ。
『はい!ハルト様は初めて来ました』
「あ、シイナさん、待って!」
ハルトがどう答えるべきかと頭を振り絞って悩んでいる間に、シイナがあっさりと答えてしまった。
ハルトは慌てたが、答えてしまった以上はどうしようもない。
首をすくめて、暴言が来るかいきなり殴られるかと身構えた。
「そうか!なら床の赤い矢印に従って進んでくれ」
スッと巨体が横に動き、ハルトの視界が開ける。
予想外の出来事に、ハルトは口を開けて呆けてしまった。そのまま、ハルトの元を離れていく巨体の半機械化の男を見つめてしまう。
『どうされたました?』
「いや……なんだったんだろう?」
『初めて来た人への案内役ですね。窓口までの付き添いもしてくれますよ?お願いしますか?』
「……いや、必要ない……と思う」
巨体の男は斡旋協会の人間だったらしい。
ハルトが男を見ていると、入ってくる全員に声を掛け、質問されたら丁寧に答えて場合によっては案内や相談まで受けていた。
見かけによらず……と言っては失礼だが、かなり親切な人のようだ。
ハルトはこの世界でも外見で人を判断するのは止めようと心に誓ったのだった。
「赤の矢印ね。行きますか……」
所詮テンプレはテンプレに過ぎず、現実には無いんだなと、ハルトはどこか虚しさを感じるのだった。
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