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異世界召喚の夜
しおりを挟む“此度世界は混沌に曇り、救済の光は届かず。
創造神の名の下に古の契約に則り、我汝を召喚せん。いでよーーー”
頭の中に声が響いた気がした。
目覚めると‥‥どこか知らない場所に居た。
「ここは一体‥‥どこだ?」
静寂な夜、薄手のパーカーだと少し肌寒い空気。
鳥肌が立ち、嫌な気配と心細さで震えそうだった。
グルォーグルォーと怪しく喚くフクロウ。目の前には真っ暗闇が広がっている。
暗い森の中にひとりぼっちの男性。
彼の名は龍神 隼人、18歳の大学生だ。
何故、自分が此処に来たのか、此処が何処なのか、全く見当もつかない。
突然こんな所に連れてこられて、寂しさと悲しさが込み上げてくる。
(家に帰りたい‥‥‥!!)
先程まで、自宅のベッドのふかふかの布団で寝ていたはずなのに。
(‥‥夢‥か?)
あまりにも生々しすぎるような夢、景色はクリアだし、寒気もする。
「痛っ!!!!」
隼人は自身の頬を思い切り、抓ってみたが、ここは現実世界のようで、痛みを感じただけだった。
おかげで、じんじんと違和感を感じる。
「とりあえず‥‥‥っと」
ここに留まっていても仕方ない思ったのか、彼はズボンに付着した土を払うと歩を進めた。
闇を照らす月、辺りを光で照らしてくれる。
隼人の目には気のせいかいつも見慣れている月よりも大きくみえた。
「本当に‥なんも見えないのな‥‥」
辛うじて見えるのは足元と数歩先だけ。
木々の間には深い闇が広がり、先が見えなかった。
あれから数十分は経過していた。
時間を確かめる物を持っていないので、正確に調べる手段がない。
時折、グーギュルルとかぅー‥だとか不気味な音が聞こえる。
獣の鳴き声だ。今、彼の前に飛び出してきたら命はないだろう。
(獣に襲われたら終わりだ‥‥かといって火もないし、野宿もできない。‥一体どうすれば!?)
と隼人が悩んでいる時だった。
「おい、そこで何をしている?」
いきなり、真後ろで声がした。
低く、警戒するような音色。
びっくりした隼人だったが、不思議と叫び声は出なかった。
全くもって、気配を感じなかった。
声の主に対し、今までに感じたことがないくらいの恐怖を覚えた。
尋常ではない冷や汗をかき、ゆっくりと振り返ると‥‥‥‥
尖った耳をした子供が立っていた。
怪しく輝く瞳、くすんだ緑色の髪、眼光は鋭く輝き、隼人を睨みつけている。
少年だか少女だか、判別のつかない風貌をしたそれは、薄汚いフードを被っていた。
「えっと‥‥俺は‥‥」
凄まじい威圧だ。まるで喉元に刃物を突きつけられているように。
この人には絶対に勝てないと直感が告げていた。
ぐぎゅるるるるる!!
そんな緊迫とした状況だったのに、俺の腹は盛大に虫が鳴いた。
「貴様‥‥腹が減っているのか?」
「は‥い‥そのようで‥‥」
途端に視界が霞んだ。アレ可笑しいな、飯なら先程口にしたはずなのに。
どうして‥‥‥こんなに‥‥腹が減っているんだ‥。
そのまま俺の視界はブラックアウトした。
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