異世界召喚された俺は勇者を目指した

はるまき

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森小屋の中で-①-

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瞼をゆっくり開くと、ぼんやりと視界が広がっていき、知らない天井が映った。

(木の天井だ‥‥‥)

所々の模様が人や動物の顔のようにも思えた。

その場所は小さな木製の小屋のようで、森の中にひっそりと佇んでいた。

机も椅子も全て木製でナチュラルな空間だ。

マットレス硬めの質素なベットから起き上がると空中にはシチューの美味しそうな香りが漂っていて、ぐぅ。と腹の虫が返事をした。


「起きたか?食え」
「いいのか?じゃあ遠慮なく‥‥‥」

皿いっぱいによそわれた暖かいシチューからは湯気が立っている。

俺はスプーン並々に掬い取ると、即座にそれを頬張った。

「うまい!!!!!」

貪る。蕩ける。じわりと体の内側に広がっていく温もりと絶妙なスパイスのシチューに軽く3杯はお代わりしたら、なんだか微妙な顔をされた。


対面には先程の子供もとい、命の恩人が座わっている。

「どうして、俺を助けたんだ」
「ん?」

隼人の口周りは汚れている。

「人を助けるのに理由なんているのか?」

身長130 cmくらいの小柄な彼はドスの効いた声で喋る。深緑のローブを羽織り、中にはベストを着ていた。

(RPGの強者が言う台詞だ…現実世界で初めて聞いた。)

「それとも、土のベットの方が寝心地良かったか?」
「いや、そういう訳じゃない。本当にありがとう」
「俺は、龍神 隼人。良ければ名前を教えてくれないか?」
「ユルド=クラークだ」
「ユルド、宜しくな」

俺が手を差し出すとユルドも手を伸ばした。握手をする頃には外で感じた殺気のようなものも消えていた。

「それにしても、お前は俺のこの姿を見ても驚かないのか?」
「なんでだ?」

ユルドの姿を見て驚け、といっても小学校
2~3年くらいの身長と、くすんだ緑の髪と尖った耳、それと‥‥‥特徴的な緑と赤のオッドアイとローブの上からでも分かる細マッチョな筋肉くらいだろうか。

「確かに、俺の国では緑の髪なんて見た事ないけど、珍しいのか?」

俺が答えると、ユルドはハァ。と短い溜息をついてやれやれと言った仕草をした。

「緑髪なんて何処にでもいるだろ、シティエルフも森のエルフも、緑色だし‥‥‥」
「じゃあ、その珍しいオッドアイか?‥‥‥綺麗だな」
「この瞳が綺麗‥‥‥だって?」

ハッハッハ、はーっ、、、ハハハ、、は、

ユルドは突如高らかに笑い出した。腹が痛いとばかりに苦しそうに腹を抑えて笑い続けている。

「そんな事、初めて言われたな」
「隼人、お前のこと気に入ったよ」

よく分からないがお気に召して貰えたようだ。

「俺はエルフとドワーフのハーフなんだ」
「ハーフ?」

エルフとかドワーフとか元の世界で聞いたことのある名詞にやっぱ薄々感づいてたけど異世界にやって来たんだなと改めて思う。

「この世界じゃ、エルフとドワーフのハーフなんて禁忌の対象なんだぜ。子供でも知ってるくらいにな」
「こんなに物事を知らないなんて、お前は勇者か、もしくは記憶喪失だろうな」
「勇者って‥‥‥なんだ?」

ユルドは考え込むように顎に手を当てた。

「異世界召喚の儀によってこの世界に呼ばれた者のことだ」
「異世界召喚‥‥‥」
「じゃあ世界には沢山の勇者がいるのか?」
「‥‥‥俺は数える程度しか知らないな」

ユルドは険しい口調で続けた。

「異世界召喚術を行える者はこの世界で1人しかいない。ーー創造神シヴァを祀るクレアーレ教団の最高司祭ティアナだ」
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