31 / 48
31
しおりを挟む
次の日から生徒会メンバーの特訓が始まった⋯⋯
これも調子に乗ったジンのせいだ!
⋯⋯でもな~
彼らの気持ちや意気込みを聞いてしまえば反対も出来なかったんだよね。
『異界の使者様にお願いがあります。どうかお願いします。どんなにキツくても耐えます。私たちを鍛えて下さい』
『『『お願いします』』』
4人にまた頭を下げられた。
『な、なんだよいきなり』
『私たちには何に変えても守りたい人がいます。でも⋯⋯私は、私たちは弱い⋯⋯です。⋯⋯強くなりたい。強くなって彼女を守ってあげたい。お願いします。私たちを鍛えてください』
『『『お願いします』』』
リオネル殿下、ラシュベル様、グレン様は分かる。でもレオニール様までお願いするのは誰のため?
⋯⋯ズキッと胸が痛いのは、フィオナの記憶があるから?それとも私が⋯⋯
それまでも『憧れる』だとか『カッコイイ』だとか言われ、持ち上げられて気分が高揚していたジンは私とサラに相談もなくその場で引き受けてしまった。
まあ、サラも反対しなかったし、私も彼らの気持ちを知ってしまえば断る理由もない。
その日は彼らの適正をサラが確認して、翌日からそれぞれに合った特訓をすることになった。のだけど⋯⋯サラはそんなに甘くない。
本来サラは後衛に適した系統の魔法が得意だけど体術もかなりの腕前で、結局は剣術は主にジン、体術はサラ、魔法はジンとサラが分担して教えるのだ。
教える⋯⋯優しく言えばそうなんだけど、最終的には全てを身体に叩き込むのだ。
私?私は自主練だよ。
黙々と魔物を屠っている。魔法だけ、剣技だけと縛りはあるけれどね。
もちろんダンジョンでだ。
彼らの特訓もダンジョン内で行っている。
今は80階のボスがいた広い部屋⋯⋯部屋と言うには広すぎるが、そこで彼らは毎日鍛えられている。
その間に私は1階~80階までを行ったり来たりしている。
で、今日も息も絶え絶えの3人と何とか立っているレオニール。
でも、この1ヶ月近くで確実に4人は強くなっている。
夏季休暇はまだ残り1ヶ月ある。
これからどれくらい伸びるのか楽しみではある。
が!リオネル殿下は王族だよ?
公務とか執務とかあるよね?毎日ダンジョンに潜っていて大丈夫なんだろうか?
それにラシュベル様だって、宰相の父親から学ぶこともあるだろうに⋯⋯
グレン様は⋯⋯まあ彼は学園卒業後は騎士団に入るらしいからいいか。
てか、この3人はまだ私がフィオナだって気付いていなさそうなんだよね。
当然ちゃあ当然かな。
彼らの特訓に私は一切携わってないからね。
でもレオニール様は⋯⋯確実に気付いている。
何も言わなくても目が言っているもの。
そして今日、彼らから聞いたという話をサラが教えてくれた。
彼らもまた、婚約者を狙ったのは無効化を使える人物だと思っていることを⋯⋯
これも調子に乗ったジンのせいだ!
⋯⋯でもな~
彼らの気持ちや意気込みを聞いてしまえば反対も出来なかったんだよね。
『異界の使者様にお願いがあります。どうかお願いします。どんなにキツくても耐えます。私たちを鍛えて下さい』
『『『お願いします』』』
4人にまた頭を下げられた。
『な、なんだよいきなり』
『私たちには何に変えても守りたい人がいます。でも⋯⋯私は、私たちは弱い⋯⋯です。⋯⋯強くなりたい。強くなって彼女を守ってあげたい。お願いします。私たちを鍛えてください』
『『『お願いします』』』
リオネル殿下、ラシュベル様、グレン様は分かる。でもレオニール様までお願いするのは誰のため?
⋯⋯ズキッと胸が痛いのは、フィオナの記憶があるから?それとも私が⋯⋯
それまでも『憧れる』だとか『カッコイイ』だとか言われ、持ち上げられて気分が高揚していたジンは私とサラに相談もなくその場で引き受けてしまった。
まあ、サラも反対しなかったし、私も彼らの気持ちを知ってしまえば断る理由もない。
その日は彼らの適正をサラが確認して、翌日からそれぞれに合った特訓をすることになった。のだけど⋯⋯サラはそんなに甘くない。
本来サラは後衛に適した系統の魔法が得意だけど体術もかなりの腕前で、結局は剣術は主にジン、体術はサラ、魔法はジンとサラが分担して教えるのだ。
教える⋯⋯優しく言えばそうなんだけど、最終的には全てを身体に叩き込むのだ。
私?私は自主練だよ。
黙々と魔物を屠っている。魔法だけ、剣技だけと縛りはあるけれどね。
もちろんダンジョンでだ。
彼らの特訓もダンジョン内で行っている。
今は80階のボスがいた広い部屋⋯⋯部屋と言うには広すぎるが、そこで彼らは毎日鍛えられている。
その間に私は1階~80階までを行ったり来たりしている。
で、今日も息も絶え絶えの3人と何とか立っているレオニール。
でも、この1ヶ月近くで確実に4人は強くなっている。
夏季休暇はまだ残り1ヶ月ある。
これからどれくらい伸びるのか楽しみではある。
が!リオネル殿下は王族だよ?
公務とか執務とかあるよね?毎日ダンジョンに潜っていて大丈夫なんだろうか?
それにラシュベル様だって、宰相の父親から学ぶこともあるだろうに⋯⋯
グレン様は⋯⋯まあ彼は学園卒業後は騎士団に入るらしいからいいか。
てか、この3人はまだ私がフィオナだって気付いていなさそうなんだよね。
当然ちゃあ当然かな。
彼らの特訓に私は一切携わってないからね。
でもレオニール様は⋯⋯確実に気付いている。
何も言わなくても目が言っているもの。
そして今日、彼らから聞いたという話をサラが教えてくれた。
彼らもまた、婚約者を狙ったのは無効化を使える人物だと思っていることを⋯⋯
1,132
あなたにおすすめの小説
私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
忖度令嬢、忖度やめて最強になる
ハートリオ
恋愛
エクアは13才の伯爵令嬢。
5才年上の婚約者アーテル侯爵令息とは上手くいっていない。
週末のお茶会を頑張ろうとは思うもののアーテルの態度はいつも上の空。
そんなある週末、エクアは自分が裏切られていることを知り――
忖度ばかりして来たエクアは忖度をやめ、思いをぶちまける。
そんなエクアをキラキラした瞳で見る人がいた。
中世風異世界でのお話です。
2話ずつ投稿していきたいですが途切れたらネット環境まごついていると思ってください。
婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました
Blue
恋愛
幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
双子の妹を選んだ婚約者様、貴方に選ばれなかった事に感謝の言葉を送ります
すもも
恋愛
学園の卒業パーティ
人々の中心にいる婚約者ユーリは私を見つけて微笑んだ。
傍らに、私とよく似た顔、背丈、スタイルをした双子の妹エリスを抱き寄せながら。
「セレナ、お前の婚約者と言う立場は今、この瞬間、終わりを迎える」
私セレナが、ユーリの婚約者として過ごした7年間が否定された瞬間だった。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる