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オーギュスト王国編
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少し前までワーグナー先生に憧れ、心酔していたレイとマリエルも食堂での先生の発言からか、医務室を訪ねることはなくなった。
そのせいか、最近ではワーグナー先生の方から声を掛けられることが多くなったようだ。
『レイドリックくん、この間痛めた腕の調子はどう?』
『マリエルさん、悩みごとは解決したのかな?』
こんな感じで大した内容ではないし、保健室の先生?養護教諭って言う方が正しいかな?取り敢えず、ワーグナー先生の態度は今までと変わらないんだけどね。
もちろん私とリズベットにも明るく優しい声で挨拶してくれる。
当然私たちも笑顔で返すわ。
でもね、私を見る目だけは⋯⋯なんと言うかその目がね、前回では数え切れないくらい⋯⋯いいえ、ずっと、ずっと周りから向けられていた目と同じなんだよね。
だから気付いたの。
ワーグナー先生は何故か私のことが嫌いなんだってことが。
でも、彼女に嫌われるようなことをした記憶はないんだよね。
どこかで粗相をしたにしても勘違いだと思う。
だって私は編入してくるまで、マシェリア王国に居たんだし、まだこの国の社交の場にも出たこともない。
うん、記憶を探っても思い当たる節はないね。
ま、ワーグナー先生の勘違いだとしてもあんな目を向けられたら、もう信用はできないわ。
◇◇◇◇◇
べティーは、と言えばあの日以来私たちが彼女に絡まれることはなくなった。
それまではべティーのことをよく思っていなかった生徒たちの中には、見方を変えた人たちもいたようで、何かしらべティーを気にかけて声をかける生徒をよく見かけるようになった。
前回の恨みはあれど、私に関わって来ないのであれば、別に仕返しをしようとは思っていない。
当然、許してあげられるほど私はできた人間でもないし、優しい人間でもないことは自覚している。
もっと言えば、視界にべティーの姿を映すのも嫌だ。
さらに言えば、私と同じ痛みや絶望、それに孤独を味あわせてやりたい気持ちもある。
でもそれは、ここに通う生徒たちも先生たちも全員にも言えるから⋯⋯
私は恨みを忘れていない。けれど誰かの命を奪いたいとも思っていない。
だって、いまは私を信じて大切に思ってくれる人たちがいるから。
この世界に転生してから今が一番幸せだと言えるから⋯⋯
だからいいんだ。
ヒソヒソとされても。
悪意ある噂が流れていても。
教科書がなくなっても。
体操服が破られていても。
以前とは違う視線を向けられても。
日が経つほどに前回を思い出すことが増えたとしても⋯⋯
結局、彼等は変わらないんだね。
そんなのここに編入する前から分かっていたよ。
だから爪の先ほども期待なんかしていなかったもの。
気にしない。気にしない。
心の中でそう何度も繰り返していても、他者からの悪意を向けられ続ければ心は深く暗いところに沈んでいく。
そんな状況が続くなか冬季休暇に入った。
そのせいか、最近ではワーグナー先生の方から声を掛けられることが多くなったようだ。
『レイドリックくん、この間痛めた腕の調子はどう?』
『マリエルさん、悩みごとは解決したのかな?』
こんな感じで大した内容ではないし、保健室の先生?養護教諭って言う方が正しいかな?取り敢えず、ワーグナー先生の態度は今までと変わらないんだけどね。
もちろん私とリズベットにも明るく優しい声で挨拶してくれる。
当然私たちも笑顔で返すわ。
でもね、私を見る目だけは⋯⋯なんと言うかその目がね、前回では数え切れないくらい⋯⋯いいえ、ずっと、ずっと周りから向けられていた目と同じなんだよね。
だから気付いたの。
ワーグナー先生は何故か私のことが嫌いなんだってことが。
でも、彼女に嫌われるようなことをした記憶はないんだよね。
どこかで粗相をしたにしても勘違いだと思う。
だって私は編入してくるまで、マシェリア王国に居たんだし、まだこの国の社交の場にも出たこともない。
うん、記憶を探っても思い当たる節はないね。
ま、ワーグナー先生の勘違いだとしてもあんな目を向けられたら、もう信用はできないわ。
◇◇◇◇◇
べティーは、と言えばあの日以来私たちが彼女に絡まれることはなくなった。
それまではべティーのことをよく思っていなかった生徒たちの中には、見方を変えた人たちもいたようで、何かしらべティーを気にかけて声をかける生徒をよく見かけるようになった。
前回の恨みはあれど、私に関わって来ないのであれば、別に仕返しをしようとは思っていない。
当然、許してあげられるほど私はできた人間でもないし、優しい人間でもないことは自覚している。
もっと言えば、視界にべティーの姿を映すのも嫌だ。
さらに言えば、私と同じ痛みや絶望、それに孤独を味あわせてやりたい気持ちもある。
でもそれは、ここに通う生徒たちも先生たちも全員にも言えるから⋯⋯
私は恨みを忘れていない。けれど誰かの命を奪いたいとも思っていない。
だって、いまは私を信じて大切に思ってくれる人たちがいるから。
この世界に転生してから今が一番幸せだと言えるから⋯⋯
だからいいんだ。
ヒソヒソとされても。
悪意ある噂が流れていても。
教科書がなくなっても。
体操服が破られていても。
以前とは違う視線を向けられても。
日が経つほどに前回を思い出すことが増えたとしても⋯⋯
結局、彼等は変わらないんだね。
そんなのここに編入する前から分かっていたよ。
だから爪の先ほども期待なんかしていなかったもの。
気にしない。気にしない。
心の中でそう何度も繰り返していても、他者からの悪意を向けられ続ければ心は深く暗いところに沈んでいく。
そんな状況が続くなか冬季休暇に入った。
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