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オーギュスト王国編
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「エ~ン⋯ギリアン様ぁ~」
助けが来たとばかりにべティーは涙を流しギリアン殿下に向かって走り出した。(凄いな、さっきまではオロオロするだけで泣き出す気配もなかったのに自由自在に泣けるんだ)
そして、抱き着こうとして阻止された。
阻止したのは前回べティーの腰巾着で、私を目の敵にしていたジョシュア・ルーデル伯爵子息。騎士団長の息子だけあって鍛えてるからゴツイ体格をしている。
その彼がべティーを止めて、冷たい視線をべティーに向けたまま腕を捻りあげている。もちろん軽くでしょうけれど。
痛い!離して!違うの!話を聞いて!と繰り返すべティーの声がうるさい。ま、誰も相手をしないけれどね!
それより前回と目の前のジョシュアが同一人物だとはとても思えない。
だって彼はべティーの嘘を信じ、私を断頭台まで引き摺って行った人だから。
それが今は何?鋭い目つきでべティーを見下ろしている。
大体ギリアン殿下も、このジョシュアもそんな冷たい目をべティーに一度も向けたことはなかった。それは私に向けられものだった。
彼らはいつも甘く蕩けるような眼差しをべティーに向けていたことしか記憶にない。
⋯⋯やっぱり色々おかしい。
一つ目、ミラドール公爵家に義母とべティーが迎え入れられていないこと。
二つ目、私に全く関心のなかったお父様が、今回は優しいし、愛されているような気がする⋯⋯前回、甘えることも許されなかったからか、どう受け止めればいいのか分からないのよね。
4歳でお父様の元を離れる時は、態度も精神年齢も反抗期の子供のようだったお父様が、今は年齢に相応しい立派な大人になっていた。
三つ目、ギリアン殿下とジョシュアのべティーへの態度。もしかしたら前回とは違う態度を取っている腰巾着が他にも居るのかもしれない。でも、それは何で?
私が疑問を一つ一つ頭に浮かべている間に、リズベットがこの騒ぎの原因をギリアン殿下に説明を終えていた。
それに私を除く三人は自己紹介まで済ませてたいようで、『早くお前もやれ』とレイに小さな声で催促された。
「はじめましてミラドール公爵が長女リリーシアと申します。以後お見知りおきを」
はぁ~心の中でため息を着く。
会わなくて済むなら二度と会いたくなかった。
今はどうあれ、前回の彼らはべティーの嘘を信じ私を殺したのだ。
「君が⋯⋯リリーシア。僕のいとこの?」
「そうですわ。⋯⋯あとはお任せしてもよろしいでしょうか?このままでは初授業に遅れてしまいます」
早くこの場から去りたい。
同じ空気すら吸いたくない。
てか、べティーをどうにかしろ!
二度と私たちに関わってこさせないで!
ついでにギリアン殿下もジョシュアもね!
私はあの日々を忘れていないからね!
婚約者だった私に向けた嫌悪感を隠そうともしない軽蔑した眼差し⋯⋯向けられた者の身にもなってみろ!
それから!今も騒いでいるべティーを静かにさせろ!
ギリアン殿下の返事を聞く前に礼をとって背を向けた。視線でリズベットたちを促す。
彼女たちも小さく頷いて、失礼にならない程度の礼をとって付いてきてくれた。
だからギリアン殿下が呟いた声を聞くことはなかった。
『あの子が僕の婚約者になるはずだった子なのか⋯⋯』
助けが来たとばかりにべティーは涙を流しギリアン殿下に向かって走り出した。(凄いな、さっきまではオロオロするだけで泣き出す気配もなかったのに自由自在に泣けるんだ)
そして、抱き着こうとして阻止された。
阻止したのは前回べティーの腰巾着で、私を目の敵にしていたジョシュア・ルーデル伯爵子息。騎士団長の息子だけあって鍛えてるからゴツイ体格をしている。
その彼がべティーを止めて、冷たい視線をべティーに向けたまま腕を捻りあげている。もちろん軽くでしょうけれど。
痛い!離して!違うの!話を聞いて!と繰り返すべティーの声がうるさい。ま、誰も相手をしないけれどね!
それより前回と目の前のジョシュアが同一人物だとはとても思えない。
だって彼はべティーの嘘を信じ、私を断頭台まで引き摺って行った人だから。
それが今は何?鋭い目つきでべティーを見下ろしている。
大体ギリアン殿下も、このジョシュアもそんな冷たい目をべティーに一度も向けたことはなかった。それは私に向けられものだった。
彼らはいつも甘く蕩けるような眼差しをべティーに向けていたことしか記憶にない。
⋯⋯やっぱり色々おかしい。
一つ目、ミラドール公爵家に義母とべティーが迎え入れられていないこと。
二つ目、私に全く関心のなかったお父様が、今回は優しいし、愛されているような気がする⋯⋯前回、甘えることも許されなかったからか、どう受け止めればいいのか分からないのよね。
4歳でお父様の元を離れる時は、態度も精神年齢も反抗期の子供のようだったお父様が、今は年齢に相応しい立派な大人になっていた。
三つ目、ギリアン殿下とジョシュアのべティーへの態度。もしかしたら前回とは違う態度を取っている腰巾着が他にも居るのかもしれない。でも、それは何で?
私が疑問を一つ一つ頭に浮かべている間に、リズベットがこの騒ぎの原因をギリアン殿下に説明を終えていた。
それに私を除く三人は自己紹介まで済ませてたいようで、『早くお前もやれ』とレイに小さな声で催促された。
「はじめましてミラドール公爵が長女リリーシアと申します。以後お見知りおきを」
はぁ~心の中でため息を着く。
会わなくて済むなら二度と会いたくなかった。
今はどうあれ、前回の彼らはべティーの嘘を信じ私を殺したのだ。
「君が⋯⋯リリーシア。僕のいとこの?」
「そうですわ。⋯⋯あとはお任せしてもよろしいでしょうか?このままでは初授業に遅れてしまいます」
早くこの場から去りたい。
同じ空気すら吸いたくない。
てか、べティーをどうにかしろ!
二度と私たちに関わってこさせないで!
ついでにギリアン殿下もジョシュアもね!
私はあの日々を忘れていないからね!
婚約者だった私に向けた嫌悪感を隠そうともしない軽蔑した眼差し⋯⋯向けられた者の身にもなってみろ!
それから!今も騒いでいるべティーを静かにさせろ!
ギリアン殿下の返事を聞く前に礼をとって背を向けた。視線でリズベットたちを促す。
彼女たちも小さく頷いて、失礼にならない程度の礼をとって付いてきてくれた。
だからギリアン殿下が呟いた声を聞くことはなかった。
『あの子が僕の婚約者になるはずだった子なのか⋯⋯』
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