最初からここに私の居場所はなかった

kana

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オーギュスト王国編

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結果的にギリアン殿下と私の婚約はお父様がしっかり断ってくれていたし、前回のお父様の言動は私を嫌っていたからではなく、魅了に掛かっていたからだと言うことがわかった。

それに⋯⋯私は生まれる前からお父様に愛されていたことも知れた。
ずっと許せないと思ってきたのに⋯⋯
恨んでいたのに⋯⋯
それが魅了のせいだと知ってしまえば⋯⋯
今、目の前にいるのお父様から向けられる瞳に、私の名を呼ぶ声に、私に触れる手に、私への愛に気付いてしまえば⋯⋯
もう、憎み続けることは無理だ。
だってそれは私がずっと渇望していたものだったから。



私とお父様が今までの距離を詰めるかのようにほのぼのとした時間を過ごしていた頃、学院ではギリアン殿下の『婚約話が上がっている』発言が生徒たちの間で形を変えながら広まっていた。
『ギリアン殿下とミラドール公爵令嬢に婚約話が上がっている』→『ギリアン殿下とミラドール公爵令嬢が婚約した』→『親の権力を使って無理やり婚約者になった』→『ギリアン殿下は嫌がっている』と、まるでが我儘を言って嫌がるギリアン殿下を親の権力を使って強引に婚約したかのように放課後には変わっていたそうだ。
授業が終わり帰ってきたリズベットが教えてくれた。

『それを耳にした女生徒の中にはギリアン殿下に思いを寄せている者、王子妃の地位を狙っている者にとっては面白くないでしょうね。周りには気をつけなさいね』と、アドバイス付きで。

訂正すれば何事も起こらないのでは?と思うけれど用心するに越したことはないわね。

『大丈夫ですわ!イザとなればリリーシアのことはわたくしが守って差し上げますわ』と付け足していた。
その横でマリエルも頷いていた。
その隣でレイだけは難しい顔をしていた。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




⋯⋯⋯⋯。
これってどうよ?
朝登校してきて、馬車から降りてからの視線は訂正するまでは仕方ないとスルーした。

そのまま教室に向かった。
教室に入るとおかしな雰囲気が漂っていた。

ええ、予想はしていたわよ。
女の妬みや嫉妬は怖いと知っていたからね。多少の嫌がらせはあると覚悟もしていたわよ。
でもさ~私の机の中に生ゴミってどうよ?
すっごく臭うんですけど!
さすがの私もコレを触りたくはないわね。
てか、上品な貴族のご令嬢が嫌がらせのためとはいえを用意するかしら?しかもコレを触ったってことよね?⋯⋯無理じゃね?

結局、朝のホームルームに現れた担任が学院の用務員を呼んでくれて、机も新しい物に替えてくれた。

それを待っている間にクラスメイトには私とギリアン殿下が婚約することは無いと伝えた。

さあ!クラスメイトの皆んな!コレを広めてね!と期待を込めたのに⋯⋯上手く伝わらなかったようだ。
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