【 完結 】どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。

kana

文字の大きさ
9 / 36

9

⋯⋯1人か~
リュート殿下と婚約解消するまでは、取巻き?腰巾着?まぁ、そんな令嬢たちに囲まれていたけれど今は1人だ。
その令嬢たちはリュート殿下とエルザを引き離そうと必死のようだ。
馬鹿な子たち。たとえエルザに代わってリュート殿下と懇意になれたとしても、王妃になるのは難しいというのに⋯⋯
まあ、やるだけやってみればいいわ。


「メイ!」

「お兄様?」

いつもは生徒会の仕事で遅くなるのにどうしたのだろう?

「メイも今から帰るのか?」

「はい」

「じゃあ一緒に帰ろう」

「え?生徒会の仕事は大丈夫なのですか?」

「新しい生徒会長に引き継ぎしたから、今は一般生徒になったんだ」

「嬉しい!お兄様と下校まで一緒なんて嬉しいです!」

「可愛い妹と過ごす時間が増えて私も嬉しいよ」

そう言って私は頭を撫でられた。同時に周りから黄色い悲鳴は聞きなれたものだ。

きゃーきゃー騒がれても慣れているせいかお兄様は、令嬢たちに特別笑顔を向けることも無いけれど、不快そうな顔もせず至って普通に私と肩を並べて歩き出した。
彼女たちはどんなに騒いでもお兄様に媚びを売ったり、近付いて来ようとはしてこないんだよね。
お兄様は前世でいうアイドル的存在なのかもしれない。眼福眼福なんて拝んでいる令嬢もいるし⋯⋯
彼女たちの熱い視線を背中に受け馬車止めまであと少しのところで⋯⋯関わりたくない人物がまた現れた。





「レオ⋯クリフくん」

何だかな~前世を思い出したからか、彼女の仕草1つ取ってもわざとらしいんだよね。

祈るように手を組むのも、上目遣いも、その瞳に涙を浮かべているのも、すべてが計算づくのようで、女の私からするとイラッとする。
まあ、今までのこともあったからかもしれないけれど⋯⋯

周りを見渡してもリュート殿下は居ない。
まさかお兄様にまで⋯⋯

「メイ、帰りにカフェに寄らないか?」

「え?」

「最近できたカフェでケーキが美味しいと評判なんだよ」

「ケーキ!行きたい!」

今も前世もケーキは大好きだ!

お兄様ってば視界にも入れていない。彼女をまるっと無視するのね。

「レオクリフくん!」

無視されたからか、今度は頬を膨らませてぷんぷんと怒っているアピールしている。
やっぱりイラッとする。

それにしても、以前にも同じ呼び方をして注意を受けたのにエルザは直す気がないのね。
身分どうこう言うのは好きではないけれど、男爵令嬢が格上の公爵家嫡男に許されていない名を呼ぶだけでなくをするなんて⋯⋯ほら、お兄様のファンに睨まれているわよ。

「お、お願いレオクリフくん⋯⋯無視しないで⋯⋯」

今度は泣き落としか~い!
やっぱりイラッてくる。

「メイはケーキが好きだもんな。何個でも頼めばいいよ」

と、言いながらまた頭を撫でられた。
私に優しく微笑むお兄様の姿にファンの皆さまの悲鳴もヒートアップした。
さ、騒がしい⋯⋯

「やった~!お兄様大好き!」

いつものようにお兄様に抱きつく。
それを見たエルザが私を睨んだ⋯⋯うん、そんな気がしていたよ。
私の思っていたヒロインじゃないや。
もう、エルザは放置でいいや。

「レオクリフ殿」

馬車に乗り込もうとしたところでお兄様を呼んだのは、ザイフォン・デカリア伯爵家子息⋯⋯攻略対象者の1人。騎士団長の息子だ。

「⋯⋯なんだい?」

「エルザが話を聞いてほしいと言っています」

「何で?私は彼女をよく知らない。相談があるなら君が聞いてあげればいい」

「レ、レオクリフくん⋯⋯」

「名を呼ぶのを許していないと言ったはずだが?⋯⋯悪いが常識を知らない令嬢の話を聞く無駄な時間は私にはないよ」

「そ、そんな⋯ひ、ひどいわレオクリフ⋯⋯」

お兄様が何度言っても分からないようだ。
いや、ワザと聞かないのかもしれない。
ザイフォンに肩を抱かれて見上げる彼女の上目遣いに、またまたイラッときた。

「ふぅ~君の話を聞かない私は酷い人間なのかい?」

「ち、違います。わたしはレオクリフくんとお話がしたくて⋯⋯」

また、上目遣いか⋯⋯しかもお兄様と視線が合った途端頬を染めるなんて下心丸出し!

「話なんて聞かなくていいさ。メイジェーンと一緒にカフェに行くんだろ?」

今度はカイザックの登場だ。

「カイザックくん!」

カイザックの登場に今度はこっちにも上目遣いだ。忙しいな。

「⋯⋯お前ワザとだろ?」

「え?」

「ワザと名で呼んでいるだろ?何度許可を出していないと言っても止めないよな?それにレオクリフ殿に話しかける前にメイジェーン嬢に謝る方が先じゃないか?」

それ!本当にそれ!

「え?」

まるで何で謝るの?って顔をしているのに、またまたまたイラッとする。

「カイザック、もうはいいだろ?」 



「よくないね。ウチのメイに謝るまで私たちの前に現れないでくれる?それと君のその演技、私には通用しないから」

だよね!そうだよね!やっぱり演技だよね!

「ああ、俺にも通用しないぞ。⋯⋯ほら、メイジェーン嬢はカフェを楽しんでおいで」

と、また頭を撫でられた⋯⋯
落ち着いた彼はやっぱり年齢を偽っているのでは?と思ってしまった。



私たちが去ったあと、取り残されたエルザはザイフォンの胸で泣いていたそうだ。

が、その瞳から涙が流れることはなく、私の背中を睨んでいたのをカイザックは見逃さなかった。

あなたにおすすめの小説

【完結】え、別れましょう?

須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」 「は?え?別れましょう?」 何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。  ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?  だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。   ※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。 ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました

丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、 隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。 だが私は知っている。 原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、 私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。 優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。 私は転生者としての知識を武器に、 聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、 王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。 「婚約は……こちらから願い下げです」 土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。 私は新しい未来を選ぶ。

相手不在で進んでいく婚約解消物語

キムラましゅろう
恋愛
自分の目で確かめるなんて言わなければよかった。 噂が真実かなんて、そんなこと他の誰かに確認して貰えばよかった。 今、わたしの目の前にある光景が、それが単なる噂では無かったと物語る……。 王都で近衛騎士として働く婚約者に恋人が出来たという噂を確かめるべく単身王都へ乗り込んだリリーが見たものは、婚約者のグレインが恋人と噂される女性の肩を抱いて歩く姿だった……。 噂が真実と確信したリリーは領地に戻り、居候先の家族を巻き込んで婚約解消へと向けて動き出す。   婚約者は遠く離れている為に不在だけど……☆ これは婚約者の心変わりを知った直後から、幸せになれる道を模索して突き進むリリーの数日間の物語である。 果たしてリリーは幸せになれるのか。 5〜7話くらいで完結を予定しているど短編です。 完全ご都合主義、完全ノーリアリティでラストまで作者も突き進みます。 作中に現代的な言葉が出て来ても気にしてはいけません。 全て大らかな心で受け止めて下さい。 小説家になろうサンでも投稿します。 R15は念のため……。