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「メイ、いい子だから頭のおかしな男爵令嬢を相手にするんじゃないよ」
「はい、分かっています」
でも、また絡まれる予感がする。
エルザは分かっているのだろうか?
今、彼女はギリギリのところに立っていることを。
リュート殿下と懇意にしているからと言って自分の身分まで高くなったと勘違いしていないだろうか?(しているよね~)
もう十分高位貴族に対して不敬な言動を行っている。何度も注意も受けている。もう学生だからと済ませるには限界があるのだ。
もう私に関わってこないのなら、別に彼女の不幸を望んでいる訳ではないから放置でいい。
でも、これ以上関わってくるのなら⋯⋯そんなエルザを野放しにしていると、今度は我が家が他家から侮られることになるだろうからね。そうなる前に打てる手は打っておきたい。
「お兄様、彼女には何を言っても通じませんよね?」
「そうだね」
「ご家族の方の言葉なら彼女にも届くのではないでしょうか?」
「⋯⋯父上に今日の事も含めてヒューア男爵家に抗議文を送ってもらうよ」
うん、コレで彼女が私に関わってこなくなればいい。
甘かった⋯⋯彼女には伝わらなかったようだ。
「メイジェーンさん!」
これまで何度か接触があったもののお互い自己紹介はしていない。
⋯⋯私公爵令嬢、あなた男爵令嬢。
移動教室からの帰り道で腰に手を置いて、頬を膨らませてわたし怒っていますよ~と、アピールするのはエルザだ。
もういい加減にして欲しい。ため息しか出ないんだけど。
「何でしょうか?」
「もう、レオクリフくんを解放してあげて!」
???
「解放ですか?あの~お言葉ですが私たちは兄妹ですよ?」
「だからよ!妹だからってレオクリフくんに甘えないで!」
???彼女の言っている意味がよく分からない。
しかも、身分が上の者に対し敬語も使わないとは⋯⋯相手にするだけ無駄よね。
「⋯⋯急いでいますので失礼します」
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」
エルザが私の腕を掴もうとした瞬間「も、もう、やめて下さい」と、エルザと私の間に入ってきたのは、大人しそうな感じの知らない令嬢だった。
「⋯⋯あなた誰?」
エルザが眉間に皺を寄せて不機嫌そうに令嬢に問うた。
「わ、わたくしは⋯ラムダ子爵家のコリーナと申します」
真っ直ぐな茶色い髪に緑色の瞳の女性はラムダ子爵家の令嬢らしい。
エルザも知らない人みたいだから、2年生ではないのかも。私も記憶にないからクラスは違うはず。
「あなたは関係ないでしょう?邪魔よ退いて!」
それにしてもエルザ⋯⋯これが本来の彼女の性格なのね。顔も目がつり上がって可愛い顔が台無しだ。
「ど、退きません」
私をエルザから守るように両手を広げているラムダ嬢の指先が震えている。
「な、なぜヒューア様はイスト公爵令嬢に言いがかりばかり付けるのですか?イスト公爵令嬢が一体何をしたと仰るのですか?」
「⋯⋯」
「これ以上はもうおやめ下さい」
何も言わなくなったエルザを置いて、ラムダ嬢にお礼を言うことにした。
「庇ってくださりありがとうございました」
ぶんぶんと手を振り慌てだすラムダ嬢は、よく見るととても整った顔をしていた。
清楚で可憐な清潔感のある令嬢だった。
「そ、そんなお礼なんて⋯こちらそこ出しゃばった真似をして申し訳ございません」
「いえ、とても助かりました」
リュート殿下と婚約解消してから利用価値の無くなった私は1人だった。
学年の違うお兄様と、何故かいつも登場するカイザックを除いて、こうして庇ってくれる人がまだ居たことが、何だか嬉しくなった。
リュート殿下には怒鳴られ、エルザ様に絡まれても平気だと思っていた。
でも、私自身も気が付かないうちに心が疲れていたんだ。
「あの、ラムダ様は⋯⋯」
「あ!コリーナとお呼び下さい!」
「え、ええ。コリーナ嬢は何学年でしょうか?」
「はい、わたくしはイスト様の隣のクラスです」
「では同級生ですね。私のことはメイジェーンとお呼び下さいませ」
「そ、そんな⋯ほ、本当にわたくしがイスト様のお名前をお呼びしてよろしいのでしょうか?」
「ええ、お友達になってくれたら嬉しいわ」
「あ、ありがとうございます」
と言って手で顔をパタパタと扇ぐ姿が新鮮だ。
照れくさそうに私を見るコリーナ嬢顔は真っ赤だ。
うわっ!可愛い!本当に可愛らしい。
エルザの何倍も可愛い。
この日から私にも友達と呼べる令嬢ができた。
クラスが違うから昼食はコリーナ嬢と食べるようになった。
そこで気付いたことは、密かにコリーナ嬢に思いを寄せているであろう男子生徒が多いことだ。
確かに茶髪はこの国で1番多い髪色で、地味に見えてしまうけれど、彼女の清楚で可憐なところは隠しきれていない。
当然惹かれる人は多い。
うんうん。友人としては鼻が高い。
それにいい子だしね!
もちろんお兄様にもコリーナ嬢を紹介した。
珍しくコリーナ嬢にはお兄様のフェロモンビームが効かなかいようで、顔を真っ赤にしたり、媚びるような上目遣いをしなかったことも、ますます私の中の好感度を上げたのだ。
「⋯⋯妹をよろしくね」
ただ、それだけ言ってコリーナ嬢にお兄様は微笑んだ。
でも、その微笑みは上辺だけのものだと私は知っている⋯⋯
「はい、分かっています」
でも、また絡まれる予感がする。
エルザは分かっているのだろうか?
今、彼女はギリギリのところに立っていることを。
リュート殿下と懇意にしているからと言って自分の身分まで高くなったと勘違いしていないだろうか?(しているよね~)
もう十分高位貴族に対して不敬な言動を行っている。何度も注意も受けている。もう学生だからと済ませるには限界があるのだ。
もう私に関わってこないのなら、別に彼女の不幸を望んでいる訳ではないから放置でいい。
でも、これ以上関わってくるのなら⋯⋯そんなエルザを野放しにしていると、今度は我が家が他家から侮られることになるだろうからね。そうなる前に打てる手は打っておきたい。
「お兄様、彼女には何を言っても通じませんよね?」
「そうだね」
「ご家族の方の言葉なら彼女にも届くのではないでしょうか?」
「⋯⋯父上に今日の事も含めてヒューア男爵家に抗議文を送ってもらうよ」
うん、コレで彼女が私に関わってこなくなればいい。
甘かった⋯⋯彼女には伝わらなかったようだ。
「メイジェーンさん!」
これまで何度か接触があったもののお互い自己紹介はしていない。
⋯⋯私公爵令嬢、あなた男爵令嬢。
移動教室からの帰り道で腰に手を置いて、頬を膨らませてわたし怒っていますよ~と、アピールするのはエルザだ。
もういい加減にして欲しい。ため息しか出ないんだけど。
「何でしょうか?」
「もう、レオクリフくんを解放してあげて!」
???
「解放ですか?あの~お言葉ですが私たちは兄妹ですよ?」
「だからよ!妹だからってレオクリフくんに甘えないで!」
???彼女の言っている意味がよく分からない。
しかも、身分が上の者に対し敬語も使わないとは⋯⋯相手にするだけ無駄よね。
「⋯⋯急いでいますので失礼します」
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ!」
エルザが私の腕を掴もうとした瞬間「も、もう、やめて下さい」と、エルザと私の間に入ってきたのは、大人しそうな感じの知らない令嬢だった。
「⋯⋯あなた誰?」
エルザが眉間に皺を寄せて不機嫌そうに令嬢に問うた。
「わ、わたくしは⋯ラムダ子爵家のコリーナと申します」
真っ直ぐな茶色い髪に緑色の瞳の女性はラムダ子爵家の令嬢らしい。
エルザも知らない人みたいだから、2年生ではないのかも。私も記憶にないからクラスは違うはず。
「あなたは関係ないでしょう?邪魔よ退いて!」
それにしてもエルザ⋯⋯これが本来の彼女の性格なのね。顔も目がつり上がって可愛い顔が台無しだ。
「ど、退きません」
私をエルザから守るように両手を広げているラムダ嬢の指先が震えている。
「な、なぜヒューア様はイスト公爵令嬢に言いがかりばかり付けるのですか?イスト公爵令嬢が一体何をしたと仰るのですか?」
「⋯⋯」
「これ以上はもうおやめ下さい」
何も言わなくなったエルザを置いて、ラムダ嬢にお礼を言うことにした。
「庇ってくださりありがとうございました」
ぶんぶんと手を振り慌てだすラムダ嬢は、よく見るととても整った顔をしていた。
清楚で可憐な清潔感のある令嬢だった。
「そ、そんなお礼なんて⋯こちらそこ出しゃばった真似をして申し訳ございません」
「いえ、とても助かりました」
リュート殿下と婚約解消してから利用価値の無くなった私は1人だった。
学年の違うお兄様と、何故かいつも登場するカイザックを除いて、こうして庇ってくれる人がまだ居たことが、何だか嬉しくなった。
リュート殿下には怒鳴られ、エルザ様に絡まれても平気だと思っていた。
でも、私自身も気が付かないうちに心が疲れていたんだ。
「あの、ラムダ様は⋯⋯」
「あ!コリーナとお呼び下さい!」
「え、ええ。コリーナ嬢は何学年でしょうか?」
「はい、わたくしはイスト様の隣のクラスです」
「では同級生ですね。私のことはメイジェーンとお呼び下さいませ」
「そ、そんな⋯ほ、本当にわたくしがイスト様のお名前をお呼びしてよろしいのでしょうか?」
「ええ、お友達になってくれたら嬉しいわ」
「あ、ありがとうございます」
と言って手で顔をパタパタと扇ぐ姿が新鮮だ。
照れくさそうに私を見るコリーナ嬢顔は真っ赤だ。
うわっ!可愛い!本当に可愛らしい。
エルザの何倍も可愛い。
この日から私にも友達と呼べる令嬢ができた。
クラスが違うから昼食はコリーナ嬢と食べるようになった。
そこで気付いたことは、密かにコリーナ嬢に思いを寄せているであろう男子生徒が多いことだ。
確かに茶髪はこの国で1番多い髪色で、地味に見えてしまうけれど、彼女の清楚で可憐なところは隠しきれていない。
当然惹かれる人は多い。
うんうん。友人としては鼻が高い。
それにいい子だしね!
もちろんお兄様にもコリーナ嬢を紹介した。
珍しくコリーナ嬢にはお兄様のフェロモンビームが効かなかいようで、顔を真っ赤にしたり、媚びるような上目遣いをしなかったことも、ますます私の中の好感度を上げたのだ。
「⋯⋯妹をよろしくね」
ただ、それだけ言ってコリーナ嬢にお兄様は微笑んだ。
でも、その微笑みは上辺だけのものだと私は知っている⋯⋯
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