アンネイセカイ~異世界と姉と安寧と~

蒼月

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異世界と新たな仲間

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 レヴィアと別れて二日後、すっかりと元気をなくしてしまった僕はクエストを受ける気にもならず部屋に引きこもっていた。ヴァーデルは最初は元気を出せと慰めてはいてくれたがいつまでたってもウジウジしている自分に腹を立てたのか、別部屋を取ってしまった。ふと頬をさすり、キスをされたことを思い出す。あれから右手の甲にはおそらくその勇者の加護のおかげだろうか、複雑な紋様が現れている。それを見てやはり落ち込む僕だった。仕方がないとはいえ別れてしまったのはやはり心が重く感じる。ヴァーデルは一応一日に一回は様子を見に来てくれるが、ちらりとみていつまでもレヴィアレヴィアと。と言って怒って行ってしまうのだ。このままではヴァーデルにも見放されてしまうかもしれない。そう思った僕は重い腰を上げ、ようやく行動に移ることにした。
 ヴァーデルの部屋をノックすると、バタバタと音を立て、音がやんだ。もう一度ノックをしようと扉に近づくと、いきなり開けてきた。そのため雄の顔面に扉が激突する形となり、悶絶する。
「開けるなら……言ってよ……」
 するとヴァーデルは仁王立ちをしておりワザとじゃと話ししゃがみ込んで涙目になり悶絶している雄に目線を合わせる。
「遅すぎるぞ。雄よ。ワシも旅に出ようか迷っていたところじゃったんだぞ。いつまでもウジウジしているお主を見捨ててな」
 やはりそうだった。危ないところだった。長くへこんでしまっていたこと、食事もわざわざ部屋に持ってきてくれたことも併せて謝罪すると、笑顔で許してくれた。ヴァーデルの笑顔を見るのは久しぶりかもしれない。そこでこれからクエストを受けに行こうかと相談しに来たことを伝えると冒険者ギルドへすぐさま行くことになった。
 Fランクの依頼票を見てみると、報酬が安いものしかなかった。宿代にはなるものの、それだけだ。一応僕達二人は魔法職なため武器の手入れは要らないが、もしも必要だったならば護衛クエスト二回での蓄えはあるものの赤字必至だ。そこで、前衛がいないため、まずはパーティメンバーの募集をすることにした。内容は前衛職の募集と魔法職二人であることだ。だが、容姿子供の二人が待っていても、明らかに騙そうとするガラの悪い人ばかりで、まともな人が一人もいなかった。打ち切って諦めようとしたとき、もう一人、しかも見覚えのある人が来てくれた。エルデ・スペラードだ。
「やぁ、僕の予想は外れなかったみたいだね。前衛を募集しているとみて最初迷ったけど、様子をみて可哀想だから僕が入ることにしたいけど、いいかな?ちなみに立派な鎧を着ているけどこれでもランクは君たちと同じなりたてのFランクなんだ」
 こちらがお願いしたいところだった。ヴァーデルもこやつならよかろうと太鼓判を押してくれた。どんな技が使えるのか聞いてみたところ、フレンドの登録を提示された。聞いたことがなかったため聞いてみると、これは冒険者ギルドのカード限定の機能で、交換すると、相手の名前と使えるアビリティ、達成、失敗した依頼が見ることができる簡易カードが見れる機能とのことだった。確かに素性を隠したい人も多い冒険者という職業柄ありがたい機能なのかもしれない。
「もう一人紹介したい人がいてね。ちょっと!早く来てよ!」
 そういうと冒険者ギルドに入ってきた一人の男。長身で体格が良く、腰に剣を携えた男が入ってきた。
「なんだよ……本当にガキじゃねえか。戦えんのか?こいつら」
 するとエルデが頭を思い切り叩き男はバランスを崩す。すると喧嘩がはじまり、募集している側としてはそれを見ていることになってしまった。だが、いつまでも終わる気配がないため、声をかけるが無視されてしまう。こちらとしても早めに話を切り上げたかったため、魔法を使うことにした。
「絞って……絞って……水滴のように……水よかかれー」
 適当な詠唱だがイメージはしっかり出来ていたため発動する。すると二人の頭の上から蛇口を捻ったような勢いで水が降りかかる。突然のことに驚いた二人は喧嘩を止めざるをえなく、詠唱が聞こえたこちらを見やる。
「なんてことすんだこのガキ!」
「すみません。ただ、終わる気配がなかったもので。でも頭冷えましたか?」
 少し気まずそうな顔をして二人に謝られた。話を進める。
「僕としては二人も加入してくれるなら両手を上げて喜びたいです。ただ、男の方が渋っているようなのでどうすればいいのかはそちらで決めていただけると助かります。フレンド登録をしてアビリティを見てからでも構いません」
 お互いフレンド登録すると、驚かれた。ヴァーデルは四属性+αの使い手、僕は魔眼士という特殊な職業の上水属性が上級まで使えることが相手方に伝わったようだ。
「こいつは……すまなかった。見た目で侮っていたことを詫びる」
 男の方はすぐに謝ってくれた。素直にこうして謝れるということは案外いい人なのかもしれない。
「だから言ったじゃないか。この子たちは強いって。それに右手の甲を見てみなよ。勇者の加護まで持ってるんだから」
「おい坊主!見せてくれ!」
 やけに食いつくため、見せてみると男は笑顔になった。どうやらこの紋様について知っているようだ。
「これはレヴィアの紋様だな。間違いない。おれは昔レヴィアに救われて冒険者を志すようになったんだ。坊主も同じ口か?」
 確かに間違ってはいないが、冒険者には流れでなったようなものだ。だが、ここで話の腰を折るのも申し訳ないためそのまま話を合わせる。
「僕は 釘鷺雄くぎさぎゆうって名前です。確かに僕もレヴィアさんには助けられて、親代わりのような人でした。でも……魔大陸の調査に行ってしまって……」
 そういうと男の表情が暗くなる。魔大陸は魔族で埋め尽くされた土地だ。そのようなところに一人で行くなど自殺行為にすぎないのだから。
「まぁ、あいつはそう簡単に死ぬやつじゃねえ。生きて帰ってくるだろ!そう心配すんな。雄」
 そういい頭をゴシャゴシャとされた。力が強く痛かった。
「いざこざはあったが、俺もこのパーティに入らせてくれ。名前はエミリス・フィーヴ。龍神族の前衛だ。俺はもともとこいつ、エルデと組んでたんだ。よろしく頼む」
 龍神族と聞いてヴァーデルは驚いていた。そして教えてくれた。龍神族は山の奥の奥に住んでいる種族でこうして人前に姿を現すのは本当に珍しいらしい。
 そうして二人の仲間を増やし再出発を図る僕達四人組だった。
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