私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

脱走

そうして、何とか脱走に成功した私。

幸い、私は警備員にも見つかることはなく、病院の敷地内からまんまと逃げ出す事が出来た。

常日頃から聞いている看護師達の会話や、窓から見える病院の看板に書かれていた住所から、この警察病院は私が住んでいた町にかなり近い場所にあることは、既にわかっている。

（……だから……きっと、1時間も歩けば剛志の家に辿り着けるはず）

その頃には、もしかしたら真夜中になっているかもしれない。

「……迷惑だと思われてしまうかしら」

――でも、それでも私は剛志に想いを伝えたかった。

彼の顔が、また見たかった。

その強い気持ちだけを胸に抱いて、私は裸足でひたすら夜の道を歩き続けた。