召喚結婚~結婚相手は召喚して見つけました~

まほまほ

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鑑定さえしなければ

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 気になった時に、今どきの服装を調べるために買っていたファッション誌がある。
 お気に入りというほどでもないが、それがないと困る程度に社交性はあるほうだと思う。
 いやまぁ、あってもなくても自分の趣味嗜好が変わるわけではないから、あくまで参考程度にしているつもりだ。

 そんなファッション誌を流し見していると、最近母親からしつこく言われ続けているアレの二文字が目に入った。

〈結婚相手鑑定!ずばり☆あなたが結婚するお相手を見つけます! 天風 ミエル〉

 鑑定魔法か。
 名前自体は知らない人のほうが少ないが、持っている人は一つの街に一人や二人いるかいないか。
 URウルトラレアレベルの魔法だ。

 そんな人物が鑑定するんだ。

 鑑定結果は人生を左右するほど大きな指標となるだろう。

「実際、人生が固まってしまって身動きできなくなりそうだけどな……」

 などど苦笑。

 相変わらず、実家から出ても捻くれた性格は治んなかったな。

 はっきり、こう思っている。

 俺は結婚は面倒だ。
 そもそも生まれた実家が、この神様や精霊、妖精に魔物や魔族、人間が共存共栄する世界で人間至上主義を掲げている由緒ある家柄なのが問題だ。

 敵が多い。そこかしこに敵が多い。
 なのに、人間にはとてつもない慈愛の精神で関わるものだから、五百年以上の歴史を持ってしまっている。

 まぁ、俺自身も人間にはかなり優しく接することができる自信はある。
 だからと言って、俺自身も実家と同じ人間至上主義というわけではない。
 むしろ、他種族の仲いい奴らとか普通にいる。

 まぁ、実家のことは言ってないが。

 そんなへそ曲がりな家の当主である母から結婚の催促がここ最近になってから酷い。
 お見合い写真の郵送はもうやめてくれと怒鳴ったこともある。郵送がなくなったかと思えば鬼電の嵐になってしまったんだが。

 そんなこともあり、俺は今絶賛一人暮らしのアパートに引きこもり中である。

 ニートになった気分? ああ、そりゃ憂鬱の最高潮だね。

 しかし、だからと言って俺が運命から逃れられるわけがないのは俺だからこそ分かっていること。

 簡潔に言えばこうだ。

「結婚相手ぐらい自分で見つける、さ」

 俺は、ファッション誌に記載されていたホームページにアクセスした。

 シンプルな鑑定に関しては無料だったので、特に強い関心もなく入力していった。

 鑑定をする前に、基本情報を入力を済ませ、次にあらかじめ用意されていた奇妙な質問に答えていくタイプのようだ。

 前半はいたってシンプルな質問だ宝簡単に入力を済ませられた。
 だが、終盤の質問だけは妙に心を表に出さないといけない感じの奴だった。

〈Q,結婚相手に求めることは?〉
「A,こだわりが、母より少なければ」

〈Q,ご自分の魅力についてどのくらい把握できていますか?〉
「A,他人に優しく、自分に真っすぐなところ」

〈Q,二人で初めて行きたいところは?〉
「A,エルフの世界にあるという伝説の樹が生えているという泉」

〈Q,結婚したい人数は?〉
「A,一人」

 これで入力は終了。

 画面一番下にある送信をタップして、あとは結果待ち。

「鑑定にも様々なやり方あるとは聞いてたけど、結構シンプルだったな」

 それから、数日が経った。

 すっかり、俺もあの日の鑑定依頼のことなど頭から抜け落ちてニート生活を満喫していた時、一通のメールが届いた。

〈天風ミエルの結婚鑑定にご依頼くださりありがとうございます!〉

 例の結婚鑑定の結果が送られてきた。

〈この度は、百景 チンさんのご依頼について、鑑定士天風ミエルの方から百景さんの結婚相手をずばり☆お伝えさせていただきます!〉

「無料でやってくれるくらいシンプルな奴だからあまり期待してないけどな」

〈百景 チンさんの結婚相手に相応しいお相手の人数は、141592人……!!!〉

 !!!

「は!? 多すぎ!!」

 十万人超え……!

〈続いて、その中で百景 チンさんのことを好みと思ってくれるお相手は……653人!!〉

 いやいや、なんだ、怪しくなってきたぞ。

〈それでは最後に、百景 チンさんが結婚すると幸せにしてくれるお相手の種族は……神族、精霊族、妖精族、魔族!!〉

 ほとんどじゃねぇか!!

「あれ? っつか人間族は? 各世界の人口の半数以上が人間族なのになんで人間族が入ってないんだ?」

 まぁ、無料の鑑定だったし、あまり真に受けるのもよくないかもしれないな。
 タダより怖いものはない。

 でもあれだ。

 なんか、鑑定しなければよかったな。
 
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