無能チートで冒険者! ~壁魔法も使いよう~

白鯨

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 1章.無能チート冒険者になる

6.無能チートとラプタスの街

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「おおー! 凄い!」


 街の入口に着くと、目の前の光景に、私は感嘆の声を上げていた。
 街を囲む壁にある、大きく開かれた門。そこを守る鎧を着て槍を持つ兵士。入口では審査があるのか、馬車や人が列を作って並んでいる。
 
 正に、ファンタジーの世界!


「トンボ、おとなしく並ぶ」


 私達もその列に並んどが、感動や珍しさからそわそわと色んな所を見ていた私を、セヨンさんがたしなめる。
 まるで遊園地の行列で、おとなしくできない子どもみたいだと思うと、恥ずかしくなってくる。


「次! 身分証を提示して下さい」


 おとなしく待っていると、私達の番になった。
 声に従い、セヨンさんと一緒に門番さんの前まで移動する。
 そういえば、私まだ身分証持ってないよ。
 そう思ってセヨンさんの方を見ると、セヨンさんが冒険者カードを門番さんに渡し、説明してくれた。


「ワタシは冒険者、この子、連れ、身分証まだ持ってない」
「ふむ、関係は?」
「この子、田舎から来た、森、迷って、ゴブリンに襲われてるの、保護した」


 セヨンさんと話し、渡り人というのは隠す方向で行くことになった。私は田舎から出稼ぎにきた村娘Aだ。
 セヨンさんの説明を聞くと、門番さんは首からさげた、チェーンの紐に付いた半透明の板を、冒険者カードに重ねた。
 すると、カードから抜け出るように、空中に文字が浮かび上がった。


「凄い……」


 その魔法っぽい現象に、私は思わず声を漏らしていた。
 その声が聞こえたのか、門番さんはチラリと私を見てきたが、直ぐにセヨンさんに向きなおり、カードを返却した。


「確かに、本日ゴブリンの討伐記録が残っているのを確認しました。ちなみに貴方が森へ入ったのは何か依頼があったからですか?」
「そう、ホーンラビットの角、納品する」
「品物は?」
「マジックバックの中」
「なるほど、わかりました。そちらのお嬢さんも、列に並んでいる時と、先程の魔道具を見た反応を見る限り、田舎から出てきたのは本当みたいですね」

 先程のは魔道具だったらしい。冒険者カードの討伐記録を、読み取る道具なのかな?
 そして、物珍しさにはしゃぐ田舎者に見られたらしい。というか、見られてたのか。


「一応念のために、こちらの魔道具を持っていただけますか?」


 恥ずかしくて、セヨンさんの陰に隠れる私に、門番さんは苦笑しながら、先程使った魔道具の板を差し出した。

 私は、恐る恐る差し出された魔道具を手に持つが、特に何も起こらなかった。


「はい、反応無し。犯罪歴もありませんね。仮の身分証を発行しますので、3日以内に正式な身分証と交換して下さい。では、ようこそラプタスの街へ!」


 どうやらあの魔道具は、犯罪歴の有無も確認できるらしい。便利だな魔道具。
 そして、見事審査をパスした私は、ラプタスの街に足を踏み入れたのだ。

 門を越えると、大通りと思われる広い道にでた。市場にもなっているのか、屋台や露店も見受けられ、かなり賑わっている。
 ラプタスの街は、地球でいう中世の街並みに近かった。


「うわぁ、凄ーい!」


 私が感動していると、セヨンさんが全身を揺らして、静かに笑いだした。


「ふふっ、トンボ、さっきから、凄いしか言ってない、可笑しい、くふふっ」


 どうやら私の語彙力は壊れていたらしい。
 しかし、いつまでも笑っているセヨンさんに、私だって言いたいことはあった。


「あのうっかり神の事だから、てっきり翻訳機能がまともに働いていないと思っていたけど、セヨンさんの喋り方って……独特?」
「?!」


 だって、片言のセヨンさんに対して、門番さんは普通に話してたもん。

 かなりショックだったらしく、仰け反って固まるセヨンさん。


「ド、ドワーフ、話すの、苦手、し、しょうがない」
「じとー」


 器用に兜を私から反らして、誤魔化そうとするセヨンさん。しかし、そこに顔が無いことは知っているので、胸部にある覗き穴をじっと見つめ続ける。
 するとセヨンさんは、全身鎧を捻って完成に私の視線から逃げた。


「う、嘘じゃない! ドワーフ、言葉より先、手が出る」
「えぇ……」

 それはそれでどうなのよ。
 私の中で爆上がりしていたドワーフ株に、待ったがかかった。


「うっ、た、確かに、ワタシ、他のドワーフより、人と喋るの苦手、喋り方……へん……かも」


 ゴニョゴニョと尻すぼみする言葉、頼りになる、大人っぽい印象が強かったセヨンさんだったけど、あの美少女がモジモジしていると思うと、なんだかほっこりした。
 

「セヨンさん、可愛い」


 実際は190センチの全身鎧が、モジモジしているんだけどね。


「大人からかう、よくない」


 落ち着いたのか、モジモジモードから立ち直ったセヨンさん。


「そういえば、セヨンさんっていくつなんですか?」
「ん? 42歳」
「思った以上に歳上だった?!」


 ロリババア。いや、ババアにはまだ早いか、ロリ熟女? だったセヨンさん。


「ドワーフ長生き、ワタシ、まだ若輩」
「ちなみにどれくらい長生きなんですか?」
「ドワーフ、300年ぐらい生きる。見た目ほとんど変わらない」


 長っ?! いやードワーフ半端ないわー。見た目が変わらないのは、羨ましいような、ずっとロリなのは羨ましくないような。複雑。


「着いた。ここ冒険者ギルド」


 話に夢中で、知らぬ間に目的地の冒険者ギルドに着いていたらしい。


「ここが、冒険者ギルド」


 目についたのは、西部劇で見るような両開きのスイングドアと、冒険者ギルドである事を示しているらしき、剣と翼の紋章が描かれた看板。
 周りの建物と比べても大きい、2階建てで木造の建物だった。

 セヨンさんの後を追い、私はスイングドアを開いて、冒険者ギルドに足を踏み入れた。
 いよいよ冒険者になるんだ!





ーーーーーーーーーー

 中途半端な年齢だと、ロリ好きも、ロリババア好きも、何故か踏み込み辛くなる不思議。
 じゃあ、何故その年齢設定にしたと、深夜テンションだった自分に問いたい。変えませんがね。
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