金融悪魔を癒やす方法—投資銀行員カウンセリング日記——

霧人 イスラエル・ハイム

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Pitch Bookで召喚!ココア魔法の午後

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「闇を抱えて、世界を癒す――投資銀行員カウンセリング日記」

カフェベローチェ編

小雨の午後。
渋谷のカフェベローチェ。
窓には水滴がつたって、まるで世界が少し泣いてるみたい…

僕は、あたたかいココアを前にしてノートPCを開き、彼を待っていた。

ドアがカランと開く。
スーツが雨でしっとり濡れた、投資銀行員の彼が息をつきながら席へ。



「今日も…ヤバかった……」

ラザードのアドバイザリーの彼は椅子にぐでーっと沈む。

「Pitch bookがさぁ、もう魔導書レベル。
企業の未来はこう!利益はこう!って、
数字の呪いが脳内エンドレス。」


*Pitch book=企業向けに作る提案資料。
 M&Aや資金調達のプランをまとめたもの。


僕は微笑んだ。

「それ、仕事としてはすごいことだよ。
でも、罪悪感があるんだよね…?」

彼は小さくうなずく。
「うん…億の資金を回すけど…
本当に救いたい人に届いてない気がして」



僕は、さりげなくバッグから写真を取り出した。

アフリカの小さな村の子どもたち…
笑顔は眩しいけど、学校に行けない子も多い。

「ねぇ、君の資金が、
こういう子たちに届いたら…すごくない?」

彼は少し目を見開く。



「たとえば――」
僕は紙ナプキンに、急ごしらえの図を書く。

 投資銀行の巨大資金 
          ↓(小さく切り分ける)
    マイクロ投資
          ↓
   途上国の小さな事業
          ↓
   自立と笑顔がふえる

「こうすれば、利益の一部でも“再分配の魔法”になる」

彼の眉がピクッと動く。
「それ…Mezzanine capital とか使える…かも」

おっ、職業スイッチが入った笑



「つまり、僕にも…世界を癒す力がある?」

「あるよ♪
君の心が痛いって叫んでしょ?
その罪悪感は、ただの闇じゃなくて――
“誰かを助けたいっていう魔法の前兆”だから ⭐︎」



突然、彼は笑いだした。
「ははっ…!
Pitch bookで世界を救うなんて言ったら
上司に絶対爆笑されるわ!」

僕も笑ってココアをすする☕️
「じゃあ、まずは内緒のプロジェクトにしようか
まずは、小さくていいかもね~、確実に世界が良くなる一歩を」



帰り際、彼はコートの襟を立てながらつぶやいた。

「闇を抱えた銀行員でも、
光の一部になれるかもしれないんだね」

灰色の空の下。
でも彼の背中には、
ほんの少し魔法少女みたいなキラキラが浮かんでいた
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