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Ω(オメガ)-7回線
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深夜3時14分00秒。
暗号強度軍事最高位「Ω(オメガ)-7」が立ち上がった。
画面は真っ黒。声だけが流れる。
参加者:計10名
会議の場所は座標:イスラエルのテルアビブ地下47m/パレスチナの支援をするドーハの地下112m
顔も名前も一切出さない。
<議題1 少女たち>
冷たい男の声
「青・赤両石の共鳴率98.7%。 あと48時間で100%に到達する」
年配の女の声
「座標は固定。エルサレム旧市街・半径800 m。 少女二人は今も手錠状態」
若い男の声
「介入は?」
老いた声(ユダヤの坊さんラビかアラブの宗教指導者イマームかわからない)
「禁止。 3000年前の封印文書最終行── 『大人が手を下せば世界は終わる』」
全員沈黙 3秒
重い男の声
「つまり我々は傍観者か」
「違う。ただの“保険”だ。 少女たちが死にそうになった瞬間だけ動く。 それ以外は完全静観」
<議題2 資源シフト>
別の男の声
「では予算をどう動かす?」
「少女周辺に無制限ブラックファンドを常駐させる。 金額は言わない。言えない」
「衛星は?」
「既に24機が上空で固定。 さらに静止軌道に3機追加済み」
「医療・武器・食料は?」
「すべて現地に埋め込み済み。 少女たちが“欲しい”と思った瞬間に、 誰にも気づかれず届く仕組みは完成している」
<議題3 最悪シナリオ>
若い女の声
「もし少女たちが石を捨てたら?」
誰も即答しない。
老いた声がゆっくり
「……そのときは世界の時計が止まる。
文字通り」
「その瞬間、我々は何をする?」
「何もしない。 できない。 それが封印の条件だ」
<議題4 その先>
冷たい男の声が、最後にぽつり。
「少女たちが成功した場合、 我々の世界は変わる。 壁は消える。通貨は変わる。 国境の意味を失うかもしれない」
重い男の声
「だからこそ、見守るしかない」
全員が同時に息を吸う音。
そして、 誰ともわからない声が、 ほんの少しだけ震えながら言った。
「……あの子たちが、 私たちの代わりに 私たちにはできなかったことを やってくれるのかもしれない」
回線が切れた。
画面は完全に暗転。
誰も「了解」とも言わなかった。
ただ、 世界で最も力を持つ十人が、 今夜だけは ただの無力な大人に戻った。
外の空を、 虹色の鯉が十三匹、 ゆっくりと巨大な円を描いて泳いでいった。
少女たちはまだ眠っている。
何も知らない。
でも、世界の時計は、 もう動き始めていた。
暗号強度軍事最高位「Ω(オメガ)-7」が立ち上がった。
画面は真っ黒。声だけが流れる。
参加者:計10名
会議の場所は座標:イスラエルのテルアビブ地下47m/パレスチナの支援をするドーハの地下112m
顔も名前も一切出さない。
<議題1 少女たち>
冷たい男の声
「青・赤両石の共鳴率98.7%。 あと48時間で100%に到達する」
年配の女の声
「座標は固定。エルサレム旧市街・半径800 m。 少女二人は今も手錠状態」
若い男の声
「介入は?」
老いた声(ユダヤの坊さんラビかアラブの宗教指導者イマームかわからない)
「禁止。 3000年前の封印文書最終行── 『大人が手を下せば世界は終わる』」
全員沈黙 3秒
重い男の声
「つまり我々は傍観者か」
「違う。ただの“保険”だ。 少女たちが死にそうになった瞬間だけ動く。 それ以外は完全静観」
<議題2 資源シフト>
別の男の声
「では予算をどう動かす?」
「少女周辺に無制限ブラックファンドを常駐させる。 金額は言わない。言えない」
「衛星は?」
「既に24機が上空で固定。 さらに静止軌道に3機追加済み」
「医療・武器・食料は?」
「すべて現地に埋め込み済み。 少女たちが“欲しい”と思った瞬間に、 誰にも気づかれず届く仕組みは完成している」
<議題3 最悪シナリオ>
若い女の声
「もし少女たちが石を捨てたら?」
誰も即答しない。
老いた声がゆっくり
「……そのときは世界の時計が止まる。
文字通り」
「その瞬間、我々は何をする?」
「何もしない。 できない。 それが封印の条件だ」
<議題4 その先>
冷たい男の声が、最後にぽつり。
「少女たちが成功した場合、 我々の世界は変わる。 壁は消える。通貨は変わる。 国境の意味を失うかもしれない」
重い男の声
「だからこそ、見守るしかない」
全員が同時に息を吸う音。
そして、 誰ともわからない声が、 ほんの少しだけ震えながら言った。
「……あの子たちが、 私たちの代わりに 私たちにはできなかったことを やってくれるのかもしれない」
回線が切れた。
画面は完全に暗転。
誰も「了解」とも言わなかった。
ただ、 世界で最も力を持つ十人が、 今夜だけは ただの無力な大人に戻った。
外の空を、 虹色の鯉が十三匹、 ゆっくりと巨大な円を描いて泳いでいった。
少女たちはまだ眠っている。
何も知らない。
でも、世界の時計は、 もう動き始めていた。
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