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兄編
兄編 1
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兄の一綺。
幼い頃は生まれつきの気性の荒さはあれど、弟よりは比較的穏やかな性格だった。
なぜ弟がこんな扱いを受けているのかわからなかった。
小学校高学年を過ぎたくらいから事情を察し始めた。
中学生の時は、弟のことを視界に入れないようにしていた。
自分には弟なんていなかったと言い聞かせていた。
しかし、見せしめで毎日家中を歩かされているため、嫌でも視界に入った。
両親は、一綺の後継者としての自覚を強化するため、進んで弟の調教をさせたがった。
散歩のリードを引いたり、鞭打ちをしたり、芸を覚えさせたり……。
しかし一綺は頑なにそれを拒否した。
高校に入り、一綺はこれまで以上に気性が荒く乱暴になった。
中学生の時とは打って変わって、弟の調教をやりたがった。
自分が家にいる時は必ず、リードを持ち、弟の散歩をした。
従わない弟を蹴り上げ、鞭を打ち、暴力を振るって従わせた。
それは「自分が弟と同じことをされたい」と思い始めているのを認めたくなかったから。
思春期特有の感情の乱れを、弟にぶつけた。
自分は支配する側の人間だと言い聞かせていた。
後継者として過度な教育され、期待をされ、周りからは畏怖され、媚びへつらわれ、かつ家庭環境はあまりにも異常。
押しつぶされそうな環境で育った一綺はもはやまともな思考ができなくなっていた。
「立派な後継者としての抑圧から解放されたい」という気持ちと、「自分よりも力のあるものに支配されたい」と言う気持ちで頭がいっぱいになっていった。
そんな最中、自分と全く同じ顔をして無様な犬として調教される弟の姿を目にして、「あそこにいるのが自分だったら…」と思ってしまった。
そんな自分に驚き、嫌悪し、それを認めたくない一心で、過激な弟の調教をするようになった。
大学に入り、思春期も終わり、自分の心の整理ができた。
気性の荒さと、帝王学と、権力に媚びる者に囲まれて育った一綺は、傍若無人なサディストと化していた。
大学では、取り巻きを幾人も引き連れ、女を引き連れ、彼に嫌われたら居場所がなくなると言われていた。飲み会でのハラスメントも日常茶飯事。
権力と、金と、容姿の良さから、進んで跨ってくる女は何人もいたが、その誰に対しても、自分本位で暴力的で恥辱的な行為を強いていた。
そのくせ、誰とも恋人になることはなく、朝になれば泣いてすがる女を蹴って帰った。
しかし、そんな生活は、高校の時に芽生えた「誰かに支配されたい」という感情の裏返しだった。
自分勝手に、暴力的に振る舞う自分を、誰かがねじ伏せて、人権も何もかも無視で、自分の抵抗や恥など顧みず、支配し蹂躙し、自分を解放してくれることを心の底では期待していた。
高校の時は、弟を完全に犬として扱っていたが、大学生になると、弟と会話をするようになっていた。
犬として心を折るよりも、会話した上で屈辱を味合わせる方が愉悦を感じるようになったからだ。
両親はそんな一綺を諌めたが、止める気配はなかった。
言葉だけでなく、暴力の方向性も変わっていった。
かつては殴ったり叩いたり蹴ったりして体罰を与えていたが、現在は性的に辱めたり、恥ずかしい格好をさせたり、精神にくるような調教を施すようになった。
ある日の学科の飲み会。普段つるんでいる友人以外も含め、総勢50人以上が集まる。
好き勝手飲んで、騒いで……。
目が覚めると知らない部屋のベッドの上だった。
どうやらどこかのホテルのようだ。
ひどく頭が痛い。
酔って寝てしまうなんて初めてだった。
ユニットバスから、濡れた髪をタオルで拭きながら出てくる男。
「あ、起きたんですね。」
誰だ、と思ったがどこかで見たことある顔だった。
そうだ、同じ学科の、名前を覚えていない。
喋ったこともないし、喋っているところを見たこともない。
根暗そうな大人しい男だった。
「酔いつぶれてしまったのでホテルに連れてきました。」
「なんでてめえが。」
ズキズキと痛む頭を押さえながら、口を開く。
「あいつらは?何してんだ。」
いつもつるんでいる友人ではなく、喋ったこともない同級生に介抱されている意味がわからない。
「それは、俺が頼まれたからです。」
「たの、まれた?そんなはずは。」
「あなたを調教するように頼まれたからです。」
「……は?」
一綺は目を見開く。
その言葉は地雷とも言える。
それをこんな場所で聞くことになるとは思っていなかった。
「何を、馬鹿なことを、言って。」
「わかりませんか、暴虐の王。」
「最初は僕の友人たちからでした。あなたがいると安心して大学に行けない、なんとかしてくれないか、と。そこで情報収拾をしました。そして、あなたの友人たちに接触を取りました。最初は突っかかってきましたが、粘って語り続けると全員があなたへの不満を漏らしましたよ。あなたに首ったけの女性方ですら。」
「この学科全員からの依頼です。暴君の鼻をへし折って、おとなしい犬に調教してほしい、と。」
犬、調教……。
自分に刺さる言葉を的確に選んでいるかのようで、一綺の体がびくんと震えた。
もちろん恨まれていることも嫌われていることも、わかっていたが、実際に復讐「される」とは思っていなかった。
いや、「してくれる」……?
「だとしても、なんでてめえなんだよ!」
「それは、僕が調教師だからです。」
「は?」
「sm調教師をしているからです。」
「……はっ、きっも。」
男が床に置いてあったカバンをバッと開くと、中には鎖や黒ベルトや、淫具がぎっしりと詰め込まれていた。
その生々しさにひくっと喉が震えた。
弟の恥態が脳裏をよぎる。
その顔は自分と同じで、自分が犬にされ……。
「詳しくは言えませんが、smクラブでバイトしてるんです。僕は、生まれた時から生粋のサディストだったみたいで。」
そのカバンから何か棒のようなものを取り出して、ベッドの上に座る一綺に迫ってきた。
逃げようとしたが、足腰に力が入らない。
おかしい、酔っているだけじゃない。
情けなく足を必死に動かして、じりじりとベッドの上を後ずさる。
くそ、力が入らない……!
「あなたのお友達が、あなたの酒に薬を入れてくれました。」
「な、んで……。」
「言ったでしょう、学科中があなたの調教を望んでいるんです。あの飲み会は王を処刑するために開かれた宴だったんですよ。」
背中に壁がとんと当たる。もう、逃げられない。
「常用性はありません。力が入らなくなり、体が刺激に従順になるだけです。安心して。」
幼い頃は生まれつきの気性の荒さはあれど、弟よりは比較的穏やかな性格だった。
なぜ弟がこんな扱いを受けているのかわからなかった。
小学校高学年を過ぎたくらいから事情を察し始めた。
中学生の時は、弟のことを視界に入れないようにしていた。
自分には弟なんていなかったと言い聞かせていた。
しかし、見せしめで毎日家中を歩かされているため、嫌でも視界に入った。
両親は、一綺の後継者としての自覚を強化するため、進んで弟の調教をさせたがった。
散歩のリードを引いたり、鞭打ちをしたり、芸を覚えさせたり……。
しかし一綺は頑なにそれを拒否した。
高校に入り、一綺はこれまで以上に気性が荒く乱暴になった。
中学生の時とは打って変わって、弟の調教をやりたがった。
自分が家にいる時は必ず、リードを持ち、弟の散歩をした。
従わない弟を蹴り上げ、鞭を打ち、暴力を振るって従わせた。
それは「自分が弟と同じことをされたい」と思い始めているのを認めたくなかったから。
思春期特有の感情の乱れを、弟にぶつけた。
自分は支配する側の人間だと言い聞かせていた。
後継者として過度な教育され、期待をされ、周りからは畏怖され、媚びへつらわれ、かつ家庭環境はあまりにも異常。
押しつぶされそうな環境で育った一綺はもはやまともな思考ができなくなっていた。
「立派な後継者としての抑圧から解放されたい」という気持ちと、「自分よりも力のあるものに支配されたい」と言う気持ちで頭がいっぱいになっていった。
そんな最中、自分と全く同じ顔をして無様な犬として調教される弟の姿を目にして、「あそこにいるのが自分だったら…」と思ってしまった。
そんな自分に驚き、嫌悪し、それを認めたくない一心で、過激な弟の調教をするようになった。
大学に入り、思春期も終わり、自分の心の整理ができた。
気性の荒さと、帝王学と、権力に媚びる者に囲まれて育った一綺は、傍若無人なサディストと化していた。
大学では、取り巻きを幾人も引き連れ、女を引き連れ、彼に嫌われたら居場所がなくなると言われていた。飲み会でのハラスメントも日常茶飯事。
権力と、金と、容姿の良さから、進んで跨ってくる女は何人もいたが、その誰に対しても、自分本位で暴力的で恥辱的な行為を強いていた。
そのくせ、誰とも恋人になることはなく、朝になれば泣いてすがる女を蹴って帰った。
しかし、そんな生活は、高校の時に芽生えた「誰かに支配されたい」という感情の裏返しだった。
自分勝手に、暴力的に振る舞う自分を、誰かがねじ伏せて、人権も何もかも無視で、自分の抵抗や恥など顧みず、支配し蹂躙し、自分を解放してくれることを心の底では期待していた。
高校の時は、弟を完全に犬として扱っていたが、大学生になると、弟と会話をするようになっていた。
犬として心を折るよりも、会話した上で屈辱を味合わせる方が愉悦を感じるようになったからだ。
両親はそんな一綺を諌めたが、止める気配はなかった。
言葉だけでなく、暴力の方向性も変わっていった。
かつては殴ったり叩いたり蹴ったりして体罰を与えていたが、現在は性的に辱めたり、恥ずかしい格好をさせたり、精神にくるような調教を施すようになった。
ある日の学科の飲み会。普段つるんでいる友人以外も含め、総勢50人以上が集まる。
好き勝手飲んで、騒いで……。
目が覚めると知らない部屋のベッドの上だった。
どうやらどこかのホテルのようだ。
ひどく頭が痛い。
酔って寝てしまうなんて初めてだった。
ユニットバスから、濡れた髪をタオルで拭きながら出てくる男。
「あ、起きたんですね。」
誰だ、と思ったがどこかで見たことある顔だった。
そうだ、同じ学科の、名前を覚えていない。
喋ったこともないし、喋っているところを見たこともない。
根暗そうな大人しい男だった。
「酔いつぶれてしまったのでホテルに連れてきました。」
「なんでてめえが。」
ズキズキと痛む頭を押さえながら、口を開く。
「あいつらは?何してんだ。」
いつもつるんでいる友人ではなく、喋ったこともない同級生に介抱されている意味がわからない。
「それは、俺が頼まれたからです。」
「たの、まれた?そんなはずは。」
「あなたを調教するように頼まれたからです。」
「……は?」
一綺は目を見開く。
その言葉は地雷とも言える。
それをこんな場所で聞くことになるとは思っていなかった。
「何を、馬鹿なことを、言って。」
「わかりませんか、暴虐の王。」
「最初は僕の友人たちからでした。あなたがいると安心して大学に行けない、なんとかしてくれないか、と。そこで情報収拾をしました。そして、あなたの友人たちに接触を取りました。最初は突っかかってきましたが、粘って語り続けると全員があなたへの不満を漏らしましたよ。あなたに首ったけの女性方ですら。」
「この学科全員からの依頼です。暴君の鼻をへし折って、おとなしい犬に調教してほしい、と。」
犬、調教……。
自分に刺さる言葉を的確に選んでいるかのようで、一綺の体がびくんと震えた。
もちろん恨まれていることも嫌われていることも、わかっていたが、実際に復讐「される」とは思っていなかった。
いや、「してくれる」……?
「だとしても、なんでてめえなんだよ!」
「それは、僕が調教師だからです。」
「は?」
「sm調教師をしているからです。」
「……はっ、きっも。」
男が床に置いてあったカバンをバッと開くと、中には鎖や黒ベルトや、淫具がぎっしりと詰め込まれていた。
その生々しさにひくっと喉が震えた。
弟の恥態が脳裏をよぎる。
その顔は自分と同じで、自分が犬にされ……。
「詳しくは言えませんが、smクラブでバイトしてるんです。僕は、生まれた時から生粋のサディストだったみたいで。」
そのカバンから何か棒のようなものを取り出して、ベッドの上に座る一綺に迫ってきた。
逃げようとしたが、足腰に力が入らない。
おかしい、酔っているだけじゃない。
情けなく足を必死に動かして、じりじりとベッドの上を後ずさる。
くそ、力が入らない……!
「あなたのお友達が、あなたの酒に薬を入れてくれました。」
「な、んで……。」
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