【完結】呪われた双子 -犬として育てられた弟がよしよし♡され、次期当主として育てられた兄がボロボロ♡にされる話-

劣情祝詞

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弟編

弟編 3*

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 次の日、いつも通り、檻の鍵を開けに行くと、ほつみは布団の上で眉をひそめて身悶えていた。
 震える手を下っ腹に当て、何かに耐えるようにビクビクと痙攣している。
 前の日の調教が次の日まで影響することはこれまでに何度もあった。
 特に、結腸で絶頂すると、次の日余韻でイキっぱなしになるという。きっとそれだろう。
 しかし、この男を身悶えさせている理由が、自分のものだということを自覚すると、全身が興奮で震えた。
 こちらには気づいていない。
 男がはぁ、と熱っぽい吐息を漏らした。
 タガが、外れたんだと思う。

 一度、たった一度の過ちだ。

 15年も親族一同から犬として扱われて、親からも兄からも家族としての愛を受けたこともなく、ずっと抵抗し、反抗し、耐え続けているこの男を、とびきり優しく抱いてみたいと、そう思ってしまった。

「ひぃっ!なに、してん、ら、馬鹿……!?」

 この男とは必要以上の会話など許されていなかった。
 ひどく饒舌になる。人と人との会話をしてみたいと思ってしまう。
 犬に敬語は使わなかった。
 しかし、執事は当主に敬語を使うものではないだろうか。

「痛くはありませんか?辛ければおっしゃってくださいね。」

 後背位ドギースタイルでしか中に受け入れたことのない体を、正常位で向き合って、ゆっくりと抱く。入念に前戯をして、ガラスのように優しく触れる。
 暴力を伴わない快感は初めてだったのか、訳がわからないと混乱してとろけた顔を押さえられないで震えた嬌声を上げた。

「はーーっ♡♡はぇ、え?♡♡♡」
「昨日結腸の奥まで広げてしまったので、余韻が辛いかと思いますが、その分気持ちよくなれると思います。」

 無遠慮に突き上げたりしない。腰も無理にあげさせない。快感を拾えるまで、幸福を感じるまで、人としての温もりを感じられるまで、抱きしめる。
 恋人のように指を絡ませて、手を繋ぐ。
 怒涛のような快感の波に襲われて、絶叫を上げて、エクスタシーに至る。

「あ”っ♡♡あ”ーーっ♡んぐ、ぅうぅ”♡はぁあ”♡」
「イってしまわれたのですか?お可愛らしい。」

 視点が定まらず、虚ろに揺れる。
 今まで叩きつけられるような暴力的な快楽しか知らなかった体が、心まで満たされるような未知の快感で訳が分からなくなっているようだ。

「なんれ”♡やら♡いやらぁ…♡おかひく……っ♡」
「怖がらないでください。人間の、営みとは、こういうものです。体でしっかり覚えてください。」

 いつも手足が拘束されているせいか、今は自由な四肢が行き場をなくしてさまよっている。
 その両手足で自身の体に巻きつかせるように、誘導する。

「ん”っ♡ん”っ♡ん”っ♡ん”ぅぅぅう~~”!?!?♡♡」

 リズミカルな律動に耐えるため、ぎゅうとしがみついてくる。
 大きく揺すられるたびに、結合部はじゅぶっじゅぶっと淫猥な水音を響かせる。

「覚えてください。交尾じゃなくて、セックスです。人の愛情表現なんですよ。」
「や”ぁ♡♡イ”ク”……ぅ”…♡♡」
「相手を気持ちよくしたいという愛情です。気持ちいいですか?」
「き、もち”ぃ”…っ♡♡せっくしゅ……気持ひぃ”い”♡♡イ”ク♡……~~~~~~~ッッ!?♡♡♡」

 普段のような殺意の鎧を取り繕うこともできなくなって、言われるがままにぐずぐずにとろかされる。
 背をのけぞらせ、ぷしゅっと潮を噴きだしたかと思うと、男はぐったりと布団に沈み込んだ。
 ガクガクと震える両腕を、俺の腕に絡ませて、掴んで、飛んでしまわないように必死に耐えているようだ。
 涙をボロボロと零し、潤んだ瞳がこちらを睨みつけている。
 はーっ♡はーっ♡と、熱い息を整えるも、ぁっ、とか細い悲鳴をあげて、そのまま眠るように失神してしまった。
 どんな虐待にも耐えてきた男が、優しくも激しい快楽で意識を飛ばしたことに、一種の悦を感じた。

 目を覚ましたほつみは、先ほどのことが夢でないことを確認するように、きょろきょろと辺りを見渡した。
 俺はその横に座っている。

「体調不良で休みの連絡を入れていますので、安心してお休みください。」
「なん、の、つもりだ。」

 掠れた声でそう言った。
 なんのつもりもない。そうしたいと思った本能に従ったまでだ。
 こんなことが主人にバレたら、解雇は免れない、下手したら、殺される、なんてことも。
 俺が返事をしなかったため、犬と世話係に戻ったと思ったのか、彼は顔を背けてふて寝し始めた。
 そんな彼の背中に、思わず、声をかけた。
 言ってはならないことを。

「俺が貴方の手を引いて、この家から飛び出したらどうしますか?」

 そう呟くと、男は俺に殺意の目を向けた。
 そうか、俺はこの男の唯一の理解者のような気でいたが、この男にとっては俺も自分を苦しめているイかれた大人の一人に過ぎないのだろう。
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