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翌朝、俺たちはルビーを探すため地下迷宮へと旅を始めた。トルンは一緒に行くと駄々をこねたが、件の事件により魔王側に目をつけられている可能性があるため止むを得ず村に置いていくことを決めた。早朝に村長が俺たちの部屋に訪れた。
「地下迷宮はこの村からは少々遠い、二つか三つほど隣町を経由して行ったほうが良いぞ。もちろんゴールドカードも使用できるから安心するといい。」
「地下迷宮とはいかなる場所なのですか?」
イサゴが尋ねると、村長は少し顔を暗くした。
「それはそれは恐ろしい。一度足を踏み入れれば無理難題なミッションを次々と与えられ、無事に出てこれた者はいないという地下迷宮じゃ。」
俺は思わず唾を飲み込んだ。近所の森とは比べものにならない緊張感だ。にしてもイサゴは冷静だ。さすが伝説の魔導師、自分の能力に自信があるんだろうな。村長の脅しを受けたのち、村人たちの見送りの中俺たちは村を発った。
「イサゴ、とりあえずどこに向かうんだよ。」
「隣町に向かっている。そこからの方が地下迷宮に近い。街で体調を万全にしてから行った方がいいだろう。」
あ、そういえば。
「イサゴ、トパーズを壊して戻った記憶ってなんなんだよ。」
「今更なんだ?」
「直後はトルン相手で慌ただしかったし、なんかはぐらかされた気がしたから。」
「言うほどのものではなかった。私が生きていたのが今から2000年ほど前の時代であったこと、くらいか。」
「2000年前!?古代人じゃん!!」
「貴様の世界ではそうかも知れんが、この世界では2000年くらいそう大したことはないぞ。ここら辺の国は歴史も古いし、魔力が高ければより長く生きることができるからな。」
「そんな制度なんだ……。」
「魔王は軽く数千年は生きているだろうな。これからも寿命で死ぬことはない、半永久的に生きるだろう。」
「まじかよ……。っていうかトパーズで戻った記憶それだけなのかよ。」
「いや、まだあるが言葉にまとめることはできない。走馬灯のように頭を駆け巡っただけだからな。」
「なるほどねえ。」
「私のことは気にするな、伝説の魔導師は貴様だ。」
生きてた時代の記憶なんて、そんな役には立たないよな。
「もしかしたら、2000年前も魔王討伐を生業としてたのかもな!」
「まぁ、可能性はあるな。」
俺たちはそんな雑談をしながらひたすら歩いていた。一歩前を歩くイサゴが俺に尋ねた。
「ところで貴様、触手はどうした。」
「ああ触手?なんかリュックサックの中が気に入っちゃったらしくてずっとリュックの中に隠れてるよ。」
「まあそれがいい。一般市民にとってはただのモンスターだからな。」
「……。」
「隠れていた方が何かと面倒臭い揉め事を避けられるだろう。」
「……。」
「おい、聞いているのか。」
イサゴは立ち止まり後ろを振り返った瞬間、目を見開いた。そこには誰もいなかった。
「地下迷宮はこの村からは少々遠い、二つか三つほど隣町を経由して行ったほうが良いぞ。もちろんゴールドカードも使用できるから安心するといい。」
「地下迷宮とはいかなる場所なのですか?」
イサゴが尋ねると、村長は少し顔を暗くした。
「それはそれは恐ろしい。一度足を踏み入れれば無理難題なミッションを次々と与えられ、無事に出てこれた者はいないという地下迷宮じゃ。」
俺は思わず唾を飲み込んだ。近所の森とは比べものにならない緊張感だ。にしてもイサゴは冷静だ。さすが伝説の魔導師、自分の能力に自信があるんだろうな。村長の脅しを受けたのち、村人たちの見送りの中俺たちは村を発った。
「イサゴ、とりあえずどこに向かうんだよ。」
「隣町に向かっている。そこからの方が地下迷宮に近い。街で体調を万全にしてから行った方がいいだろう。」
あ、そういえば。
「イサゴ、トパーズを壊して戻った記憶ってなんなんだよ。」
「今更なんだ?」
「直後はトルン相手で慌ただしかったし、なんかはぐらかされた気がしたから。」
「言うほどのものではなかった。私が生きていたのが今から2000年ほど前の時代であったこと、くらいか。」
「2000年前!?古代人じゃん!!」
「貴様の世界ではそうかも知れんが、この世界では2000年くらいそう大したことはないぞ。ここら辺の国は歴史も古いし、魔力が高ければより長く生きることができるからな。」
「そんな制度なんだ……。」
「魔王は軽く数千年は生きているだろうな。これからも寿命で死ぬことはない、半永久的に生きるだろう。」
「まじかよ……。っていうかトパーズで戻った記憶それだけなのかよ。」
「いや、まだあるが言葉にまとめることはできない。走馬灯のように頭を駆け巡っただけだからな。」
「なるほどねえ。」
「私のことは気にするな、伝説の魔導師は貴様だ。」
生きてた時代の記憶なんて、そんな役には立たないよな。
「もしかしたら、2000年前も魔王討伐を生業としてたのかもな!」
「まぁ、可能性はあるな。」
俺たちはそんな雑談をしながらひたすら歩いていた。一歩前を歩くイサゴが俺に尋ねた。
「ところで貴様、触手はどうした。」
「ああ触手?なんかリュックサックの中が気に入っちゃったらしくてずっとリュックの中に隠れてるよ。」
「まあそれがいい。一般市民にとってはただのモンスターだからな。」
「……。」
「隠れていた方が何かと面倒臭い揉め事を避けられるだろう。」
「……。」
「おい、聞いているのか。」
イサゴは立ち止まり後ろを振り返った瞬間、目を見開いた。そこには誰もいなかった。
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