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銀座ステレーション
銀座ステレーション(5)
しおりを挟む交差点の真ん中では、デッサを相手に、リグナとモジャコが格闘していた。
モジャコの動きは相変わらず速く、ヒト型機械兵であるデッサ相手に引けを取らない。
力をいなし、流れのままに重心を移動させただけでデッサを投げ飛ばす。
悲惨なのはモジャコの頭の上に乗っているジシェだが。
「ぬわあ、モ、モジャコ殿~!!」
着地したところへ、リグナが速攻を仕掛ける。
しかし、能力の差は圧倒的で、デッサはすぐに反撃に転じた。
「ふふっ、それがデッサの実力よ!!」
振り仰げば、コルヴェナがビルの屋上に立っていた。
片足を何かに乗せて人さし指を、ずばびーん、と得意げに。
背後はジャンボコック。
どうにか降りられたらしい——が、残った手でお尻をさすっているところからすると滑り落ちただけかも。
「モ……なんちゃらさんもそこで待ってなさい!!」
コルヴェナの姿はいったん見えなくなる。
回り込んできちんと階段を降りてくるようだ。
(常識的なんだか、非常識なんだか……)
その後ろ姿を唖然と見送って、いかんいかん——とハルは首を振った。
不思議に光彩を振りまく立体——それは、やにわに粒子状に弾けた。
カードのようなものだけが残ってハルの手に落ちてくる。
徐々に光が失われていく。
大きさはちょうどパスモと同じくらい。
プラスチックなのか金属なのかよくわからない材質は軽く、しかしセラミックのように堅い。
全体的には艶のない表面には滑らかな部分があって、傾けるとそこがきらりと輝き、リグナの額の装身具も同時に碧く閃いた。
リグナのスピードが急激に上がった。
一瞬の間にモジャコとアイコンタクトを交わす。
モジャコがデッサのバランスを崩す。
そのデッサの懐に死角から潜り込むと、リグナは腕を取って全力で投げ飛ばした。
「なっ!!」
デッサは一直線にジャンボコックに突っ込んだ。
ものすごい音とともにオブジェの一部に大きな穴が空いて、飛び散った破片がパラパラと落ちてくる。
「え゙え゙っ!?」
ようやく地上に降りてきたらしいコルヴェナは、上を見上げて仰天した。
「このカードが出現した瞬間にリグナちゃんのスピードが上がったみたいっ!」
「ともかくここを離れたほうがよさそうだっ!」
ハルとモジャコは顔を見合わせた。
リグナを促して浅草方向へ。
振り返ればコルヴェナは店の人に捕まっていた。
何度も頭を下げているところからすると素直に叱られるつもりらしい。
目が合って恨み顔で視線を返すコルヴェナにモジャコは思った。
(あんがい、いいヤツかも)
あとコックさん、ごめんなさい。
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