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銀座ステレーション
銀座ステレーション(10)
しおりを挟むハイキックがリグナの頭部を強打した。
リグナの動きがごく一瞬だけ止まる。
デッサはほくそ笑んだ。
「それでじゅうぶんだ!」
猛烈な攻撃を浴びせかける。
リグナは守ることもできず、どんどん後退していく。
あまりの激しさに、モジャコも手の出しようがない。
「モ、モジャコ殿! リグナが……!!」
頭の上でジシェが悲鳴を上げる。
モジャコは視線の端で、きらめくカードを捉えた。
(潮目が変わる瞬間を見逃すな……)
口許でつぶやく。
「頭かがめろ、ジシェッ!」
「ぬお!?」
それまで圧倒されるばかりだったリグナが、デッサのパンチを両手で受け止めた。
金属と金属がぶつかる重い音が響く。
「な、ぼ……防御力が上昇した!?」
しかしデッサはすぐに鼻を鳴らす。
「だが、止めただけではどうにもなるまい!!」
その間合いにモジャコは滑り込んだ。
「それでじゅうぶんだっ!」
リグナは次の一撃をさっとよける。
モジャコはデッサの腕に軽く触れ、力の流れを変えた。
「な……っ!?」
そのままの勢いでデッサは吹っ飛ばされた。
どうにか片手で受け身をとろうとする——が。
「なにっ!!」
疾風のように追いついたリグナは、その腕を取り、さらに自分の勢いも加えて放り投げた。
歌舞伎座の三角屋根の上。
事務所へ来るように——と説得する警備の人に、話ならここで聞くとか云々、コルヴェナはわめき散らし、駄々をこねていた。
擬音化すれば、ギャーギャー。
そこへ、放物線を描き、飛んできたデッサが直撃した。
「ふぎゃ」
ハルたちはそのまま急いで地下へ降りた。
A5と書かれた階段で、降りたところは銀座線の銀座駅、その改札口の前。
階段を下ってホームへ。
リグナはまたチャイムを鳴らしかけながらも、すぐにパスモをタッチして通過。
現在地から見ると、残る光点は北から北北東の方向に、直線距離で2キロほどの地点だった。
再びの銀座線で北上すれば、3つ先の三越前駅とその次の神田駅との間くらい。
ちなみに、神田駅から秋葉原の地下を北上したところが末広町駅で、最初に駆け込んだ駅。
銀座駅は両方向の線路の間にホームがある構造で、ちょうど浅草方面の電車が入ってきたところだった。
「ラッキー」
ハルは手を叩いて喜ぶ——が、モジャコは黙って時刻表を指さした。
「わ、昼間なのに3分に1本……」
銀座線をなめてはいけない。
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