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銀座ステレーション
銀座ステレーション(9)
しおりを挟むそれにしてもあんなところにいて大丈夫なのだろうか——と心配するまでもなく、コルヴェナは警備員に捕まった。
何がしたかったのだろう……。
「デッサがいない」
リグナが無表情につぶやいた。
確かに——と、モジャコも気を取り直して周囲を警戒した。
「ミコ、いまのうちに急げ!」
ハルは頷いて携帯大幣を両手に構えた。
直前に、信号機の標識が視線に重なる。
(三原橋……)
携帯大幣はすでに淡い光を帯びていた。
初めてそれを見たモジャコは感心した。
「斬新だな」
「じじいを褒めてあげてください」
ハルは眉間に皺を寄せた。称賛なんかいりません。
同時にリグナは身構えた。
「来た」
「どこだ!?」
上方から、一直線に突っ込んできたデッサがリグナと衝突した。
弾き飛ばされたリグナとの間にモジャコは割って入り、相手の力を殺ぎにいく。
その流れを捩じ曲げるように、デッサは強引に重心を入れ替えた。
「ふん!!」
(潰される……!!)
たまらず、モジャコは間合いから逃れた。
デッサの戦い方は明らかに変化していた。
(こいつ、スピードを捨てた!!)
「わざわざお前たちが有利になるように動く必要はないのだ!」
デッサはパワー重視でひたすら攻め立てる。
外れとはいってもそこは銀座で、人も車も格段に多い。
コルヴェナの話ではデッサは仕様上、人になるべく危害を与えないようになっているらしいが、モジャコやリグナに比べれば無責任だ。
リグナは周囲に気を配りながら防御する。
ハルの足下からは、透明にきらめく立体が、回転しながらゆっくり昇ってきた。
ちょうど視線の高さで上昇をやめる。
(大星形十二面体……)
最初の立体が柔らかに仄めく星であるのなら、新たな多面体は激しく燃えさかる星を思わせる。
立体は粒子状に弾け、ハルの手の中にはカードが落ちてきた。
そして、全体としては艶のない表面には光沢のある部分があって、傾ければ、その部分がきらめいた。
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