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銀座ステレーション
銀座ステレーション(15)
しおりを挟むハルはリグナの動きを思い起こした。
銀座で2枚目のカードがきらめいたとき、リグナは、モジャコに投げ飛ばされたデッサに追いつき、さらに自分の勢いも加えて放り投げた。
(3枚のカードは、どれもスピードをブーストさせるもの……)
ただ、そこまで考えて、んん? と首を傾げる。
(あれ……? でも、2枚目のカードで守備力が上がったのも確かなような……)
デッサは鼻を鳴らした。
「撥ね返してくれる!!」
リグナの姿は残像だけを残し、消えた。
真後ろに現れる。
デッサは声を漏らすしかない。
「くっ! しかしそんな無理な体勢で——!!」
リグナは肯定も否定もしなかったのだ。
つまり——攻撃力も同時に上がる。
リグナは左脚を飛ばした。
「こ、こんな攻撃で……!!」
ガードしたままデッサは弾き飛ばされ、建設中のビルに突っ込んだ。
ガラガラと轟音を立てて建材の一部が崩落する。
「あ……っ!!」
バランスを崩した鉄骨が、そのまま歩道の親子に向かって落ちてくる。
それを、リグナは軽やかに跳躍し、しかし力強く蹴り飛ばした。
「すごい……」ハルは目を丸くした。
ところで。
どうやら大騒ぎになりそうだ。
たいていの場合、面倒なことは誰かに押し付けたほうが楽で、まして、そもそもの原因がその誰かにあるのなら、なおさらに。
ハルはモジャコとジシェに視線を送った。
素直に降参したらしく、コルヴェナは、悔しそうに地面をパーで叩いていた。
そのコルヴェナを「いっせーのせ」で指さした——リグナも一緒に。
コルヴェナは周囲の視線を感じて立ち上がり、胸を反らした。
「あら! みなさん、このコルヴェナ・クレンになにか御用がありまして!?」
(あとはよろしく……)
ハルたちはスタコラ退散した。
「——あ、新しい反応だ」
地下に降りたところで、ハルは、スマホの地図が自動で切り替わり、新たな光点が現れているのに気がついた。
「どこだ?」
モジャコも覗き込む。
現在位置から東へ1.3キロほどで、隅田川も近く、対岸は清澄白河。
「人形町のあたりだな」
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