千年の恋 1

あまえ うる

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4.目

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「ーっー」

真夜中、左目が痛み目が覚めた。
左目に巻いていた包帯を外し、ゆっくり左目を開ける。
ポケットに入っている目薬を取り出し、その左目に一滴落とした。
「はぁー」
痛みが和らぎ僕は息を吐いた。

僕は立ち上がり洗面台へ向かう。
洗面台の鏡に移る自分の姿をじっと見つめる。

ミラ族と、人間の唯一の違いは髪と目の色だ。
ミラ族の目や髪は、ほとんどが青色だ。
その中でも深い青や薄い青など種類はある。
僕は青がかった黒色の髪だ。
深い闇の色で、若干青色に見える。
右目は、かなり薄い青色。
ほとんど白に近い。
…右目は。
左目は刺されてかなりの治療を施したが、見えることはなく、自身の血の色が薄い青と混ざり
なんとも言えない赤黒い色をしている。
一度、知り合いに見られたことがある。
その知り合いは、僕の左目を見るやいなや叫び逃げ出した。
それから、僕は左目に包帯を巻き誰にも見せないようにしている。
もちろん、リーヴァさんは例外だ。
彼だけは僕の左目を見ても逃げなかったし、笑わなかった。

けれど、きっとステラには見せられない。

あともう1つ、疑問に思ったことがあるんじゃないか?
そう、ステラの髪の色だ。
ステラはミラ族であるにもかかわらず、髪は美しい蜜柑色で、瞳は翡翠のような緑だ。
きっと、人間達に混ざってもステラはミラ族だとバレないだろう。

それが羨ましいような、そうでないような。
けれど、僕はステラのあの髪も瞳も大好きだ。
(自分で言って恥ずかしくなってきた。)

まだ、夜中のようで窓の外には月がいる。
「もう眠れる気がしないなぁ、」
僕はそうつぶやくと服を着替え、剣を肩にかけ外へ出た。

ホー ホー
遠くの方でフクロウが鳴いている。
その不気味な声を聞きながら、僕は月明かりを頼りに歩き進める。

いつもの丘に着くと僕はその場に座り込んだ。
左目に包帯をまいていないことを思い出し、慌てて巻く。

いつだって僕の左半分は見えない。
けれど、空を見あげれば綺麗な月が見える。
ステラの髪の色が見える。
瞳も肌も全部見える。

こんなふうに、たまに左目が痛む日がある。
こういう日は大抵次の朝、ステラの寝起きがいい。
朝、僕の部屋に飛び込んでくる。
僕はいつもそれを、狸寝入りをしながら待つ。
けれど、今日はそんな風には行かなかった。

月が霞んで見える日は大抵、嫌なことが起こる。
何かが起きそうな気がした。

そんな僕の右目に、人間達の軍が近づいてくる様子が映った。
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