空っぽの人形(ボク)を愛でてください

あまえ うる

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3つ目 2 【海 目線】

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綺麗な目をしていた。
水晶のように透き通って輝いていた。
その目が、若々しい白い肌によく似合っていた。
だけど、あいつはそれを前髪で隠していた。

目を見たくて顔をよく見ていたら、長い前髪の隙間から火傷のあとが見えた。

無償に腹が立った。

あの人と同じ顔…

あの人の顔に傷がついた。

綺麗な顔に




            *


「はぁ、はぁ… はぁっ」
携帯の地図とにらめっこしながら、俺は走った。
車を出す時間さえも惜しいと思えた。
空が紅に燃えている。
人通りも少なくなり草木が増えてきたところで、少し先に煙が上がっているのが見えた。
(あそこか…)
俺はそこめがけてスピードを上げた。

たどり着いたのはアパートの裏にある空き地。
確かこのアパートが天翔が住んでいたアパートだ。
そこの空き地から白い煙がモコモコと立ち上っていた。
その中にひとつの影を見つけ、声を上げた。
「天翔…!」
俺のその声に驚いたように振り向いた天翔は、俺を見つけるとすぐに視線を目の前で燃えている火に戻した。
「何しに来たんですか?」
少し冷たい天翔のその言葉に少し驚いた。
天翔の目の前にある火はオレンジ色に光り何かを包み燃やしていた。
写真や服など、天翔の家にあったのだろう物の燃えカスが火の中に見えた。
(燃やしているのか、思い出ごと…)
俺は不思議に思いながらも、天翔の隣にしゃがみこんだ。
「え…、な、何を…」
俺が隣に並ぶなど思っていなかったのだろう、天翔は慌て始める。
「終わるまで待ってるよ」
俺がそう言うと、静かに火をつつき始めた。
あたりはもう暗くなり、少し肌寒くなってきた。
火が暖かく俺たちを照らしている。
ふと天翔の方を見るとじっと火を見つめていた。
パチパチと燃える炎が映った天翔の瞳が綺麗で思わず見惚れてしまう。
この綺麗な水晶のような目にはきっと隠し事なんて出来ないだろう。

あたりがすっかり暗くなった頃、炎は消え去り赤い炭がパチパチと音を立てていた。
何をするでもなく、ただニ人でこの火を見つめている。
空には満月が浮かんでいた。

炭が小さくなりもう暖かさも明るさも感じなくなった。
俺は着ていた上着を天翔に被せると立ち上がった。
「帰るか…」
小さく呟いた俺のその言葉に、天翔静かに立ち上がった。

誰もいない暗い道を歩いた。
俺が歩く後ろを天翔は一言も声を発さずについてくる。
二人の身体から臭う炭の匂いがやけに鼻につく。
目の前には眩しいくらいの月が俺たちを照らしていた。

俺たち二人はそのまま家まで黙って歩き続けた。



「風呂入れ、炭だらけだ」
家に帰るなり俺は天翔に言った。
「いや、僕は…、先にうみさんが…」
そう言い返す天翔に少し苛立ちを覚え、少しいじめてやろうと変なことを口走ってしまった。



「なら…一緒に入るか」


口を閉じたがもう遅かった。







「いいんですか…」
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