11 / 14
3つ目 2 【海 目線】
しおりを挟む
綺麗な目をしていた。
水晶のように透き通って輝いていた。
その目が、若々しい白い肌によく似合っていた。
だけど、あいつはそれを前髪で隠していた。
目を見たくて顔をよく見ていたら、長い前髪の隙間から火傷のあとが見えた。
無償に腹が立った。
あの人と同じ顔…
あの人の顔に傷がついた。
綺麗な顔に
*
「はぁ、はぁ… はぁっ」
携帯の地図とにらめっこしながら、俺は走った。
車を出す時間さえも惜しいと思えた。
空が紅に燃えている。
人通りも少なくなり草木が増えてきたところで、少し先に煙が上がっているのが見えた。
(あそこか…)
俺はそこめがけてスピードを上げた。
たどり着いたのはアパートの裏にある空き地。
確かこのアパートが天翔が住んでいたアパートだ。
そこの空き地から白い煙がモコモコと立ち上っていた。
その中にひとつの影を見つけ、声を上げた。
「天翔…!」
俺のその声に驚いたように振り向いた天翔は、俺を見つけるとすぐに視線を目の前で燃えている火に戻した。
「何しに来たんですか?」
少し冷たい天翔のその言葉に少し驚いた。
天翔の目の前にある火はオレンジ色に光り何かを包み燃やしていた。
写真や服など、天翔の家にあったのだろう物の燃えカスが火の中に見えた。
(燃やしているのか、思い出ごと…)
俺は不思議に思いながらも、天翔の隣にしゃがみこんだ。
「え…、な、何を…」
俺が隣に並ぶなど思っていなかったのだろう、天翔は慌て始める。
「終わるまで待ってるよ」
俺がそう言うと、静かに火をつつき始めた。
あたりはもう暗くなり、少し肌寒くなってきた。
火が暖かく俺たちを照らしている。
ふと天翔の方を見るとじっと火を見つめていた。
パチパチと燃える炎が映った天翔の瞳が綺麗で思わず見惚れてしまう。
この綺麗な水晶のような目にはきっと隠し事なんて出来ないだろう。
あたりがすっかり暗くなった頃、炎は消え去り赤い炭がパチパチと音を立てていた。
何をするでもなく、ただニ人でこの火を見つめている。
空には満月が浮かんでいた。
炭が小さくなりもう暖かさも明るさも感じなくなった。
俺は着ていた上着を天翔に被せると立ち上がった。
「帰るか…」
小さく呟いた俺のその言葉に、天翔静かに立ち上がった。
誰もいない暗い道を歩いた。
俺が歩く後ろを天翔は一言も声を発さずについてくる。
二人の身体から臭う炭の匂いがやけに鼻につく。
目の前には眩しいくらいの月が俺たちを照らしていた。
俺たち二人はそのまま家まで黙って歩き続けた。
「風呂入れ、炭だらけだ」
家に帰るなり俺は天翔に言った。
「いや、僕は…、先にうみさんが…」
そう言い返す天翔に少し苛立ちを覚え、少しいじめてやろうと変なことを口走ってしまった。
「なら…一緒に入るか」
口を閉じたがもう遅かった。
「いいんですか…」
水晶のように透き通って輝いていた。
その目が、若々しい白い肌によく似合っていた。
だけど、あいつはそれを前髪で隠していた。
目を見たくて顔をよく見ていたら、長い前髪の隙間から火傷のあとが見えた。
無償に腹が立った。
あの人と同じ顔…
あの人の顔に傷がついた。
綺麗な顔に
*
「はぁ、はぁ… はぁっ」
携帯の地図とにらめっこしながら、俺は走った。
車を出す時間さえも惜しいと思えた。
空が紅に燃えている。
人通りも少なくなり草木が増えてきたところで、少し先に煙が上がっているのが見えた。
(あそこか…)
俺はそこめがけてスピードを上げた。
たどり着いたのはアパートの裏にある空き地。
確かこのアパートが天翔が住んでいたアパートだ。
そこの空き地から白い煙がモコモコと立ち上っていた。
その中にひとつの影を見つけ、声を上げた。
「天翔…!」
俺のその声に驚いたように振り向いた天翔は、俺を見つけるとすぐに視線を目の前で燃えている火に戻した。
「何しに来たんですか?」
少し冷たい天翔のその言葉に少し驚いた。
天翔の目の前にある火はオレンジ色に光り何かを包み燃やしていた。
写真や服など、天翔の家にあったのだろう物の燃えカスが火の中に見えた。
(燃やしているのか、思い出ごと…)
俺は不思議に思いながらも、天翔の隣にしゃがみこんだ。
「え…、な、何を…」
俺が隣に並ぶなど思っていなかったのだろう、天翔は慌て始める。
「終わるまで待ってるよ」
俺がそう言うと、静かに火をつつき始めた。
あたりはもう暗くなり、少し肌寒くなってきた。
火が暖かく俺たちを照らしている。
ふと天翔の方を見るとじっと火を見つめていた。
パチパチと燃える炎が映った天翔の瞳が綺麗で思わず見惚れてしまう。
この綺麗な水晶のような目にはきっと隠し事なんて出来ないだろう。
あたりがすっかり暗くなった頃、炎は消え去り赤い炭がパチパチと音を立てていた。
何をするでもなく、ただニ人でこの火を見つめている。
空には満月が浮かんでいた。
炭が小さくなりもう暖かさも明るさも感じなくなった。
俺は着ていた上着を天翔に被せると立ち上がった。
「帰るか…」
小さく呟いた俺のその言葉に、天翔静かに立ち上がった。
誰もいない暗い道を歩いた。
俺が歩く後ろを天翔は一言も声を発さずについてくる。
二人の身体から臭う炭の匂いがやけに鼻につく。
目の前には眩しいくらいの月が俺たちを照らしていた。
俺たち二人はそのまま家まで黙って歩き続けた。
「風呂入れ、炭だらけだ」
家に帰るなり俺は天翔に言った。
「いや、僕は…、先にうみさんが…」
そう言い返す天翔に少し苛立ちを覚え、少しいじめてやろうと変なことを口走ってしまった。
「なら…一緒に入るか」
口を閉じたがもう遅かった。
「いいんですか…」
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる