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憧憬
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「それで、どうなさるのですか?」
カレンがぷりぷりと怒りながらお茶を入れてくれる。ジェニファーから話を聞いてカレンは怒り心頭だった。
一方ジェニファーは話を聞いてすぐは少しショックを受けたが、そこまで怒る気にはならなかった。
「実家にお戻りになってもいいと思いますけどね。」
カレンはそう言いながら、砂糖とミルクをテーブルに置いた。
「戻ってどうするの?旦那様に相手にされませんでしたって泣きつくの?そんなの嫌よ。」
今、実家に戻って離縁をしてどうなる?ジェニファーには瑕疵が付き、アーロンはエマニュエル王女とまた対峙しなくてはならなくなる。
ミッドラッツェル家にもショウ家にも少なからずダメージがあるだろう。
四方に悪影響が残るだけである。ジェニファーはこの中から少しでも利を得なければ気が済まなかった。
アーロンが何でもすると言っているのだからその言葉を盾にジェニファーの思うようにすればいいのだ。
「旦那様と話をするわ。」
ジェニファーは考えた。
一番は旦那様が女性の魅力に気付きジェニファーと正式な夫婦となってくれることだ。まずはそのための努力をしようと。
そうしてその日の晩、ジェニファーはアーロンの寝室に突撃した。
「なっ、こっ、こんな遅くにっ、どうしたの?」
アーロンはわかりやすく狼狽えた。
ジェニファーは少しばかり扇情的な服を着ていたが、アーロンは青ざめるばかりで全く興奮している様子はなかった。
「あの、一度、試してみてはどうかと。」
「たたたたたためすってなななななにを?」
「男性は好む好まないに関わらず、体が反応してしまうことがあると聞きいたことがございますわ。私もあまり知識はございませんが、何か方法があるのではないかと思いまして。アーロン様の殿方を好きと言う気持ちはもちろん尊重いたしますが、貴族として子を生さねばならぬのも真実。」
そう言いながらジェニファーはアーロンに近付き、抱きついた。
いつもきっちり着込んでいるアーロンも流石にこの時間帯だとゆるりとした服を着ていて・・・
(思ったより細いのですわね)
ジェニファーはそんな感想を持った。
「何か反応なさいまして?」
「いや、たぶん何も・・・」
「そう。まぁ、そんなに簡単にはいきませんわよね。ところで、アーロン様は反応するとどうなるかご存知でいらっしゃいます?」
ジェニファーがそう言うとアーロンは少し震え出した。もしかしてこれが反応とやらでは?と思っているとアーロンがぷっと吹き出した。
「あはは。ジェニファーは男が反応するってどう言う事か知らずに何かを試そうとしていたの?くくくっ。君って面白いね」
アーロンがひとしきり笑った後、ジェニファーに向き合った。
「君に秘密を教えてあげる。誰にも言ってはいけないよ。私が男性を好きで女性と子をなせないのは、私が女性だからなんだ。」
そう言ってアーロンはジェニファーの手を取りアーロンの胸を触らせた。そこには確かに女性特有のまるみをおびた胸があった。しかも、ジェニファーより柔らかくて大きい気がする。
「普段はサラシを巻いて抑えてるんだ。だから、男性の胸のように硬いんだけど、今は何もつけてないから、ほら、女性だろう?」
「えっ?えっ?」
ジェニファーは理解が追いつかず何も言葉が出てこなかった。
「本当はジェニファーが信頼に値する人物か見極めてから告げるつもりだったんだけど、さっきの態度を見て多分大丈夫だと思ったから。」
「ちょっと待ってください。まだ、心が追いついていないです。」
混乱するジェニファーにアーロンは何度も同じ話をしてくれた。双子の入れ替わりのこと、アーロンがバネッサとして亡くなったこと、バネッサがアーロンとして過ごしてきたこと、この事実を知っているのは屋敷でもほんの一部の人だけだと言うこと。
話を聞くうちに徐々にジェニファーもアーロンが女性だという事実を受け入れ始めた。
そうして改めてアーロンを見ると女性にしか見えないから不思議なものである。
「アーロンが生きていてジェニファーがアーロンと結婚していれば私たち姉妹になれたのにね。そうしたら仲のいい姉妹になれたかな。」
そう言ってアーロン、いやバネッサが笑った。
アーロンが生きていたらアーロンはエマニュエル王女と結婚していただろうからそんなもしもの世界はないような気がするが、バネッサは少し夢みがちなところがあるらしい。
「私たちは夫婦だけど夜は姉妹のように過ごしましょう。お姉様」
ジェニファーがそう言うとバネッサは顔をキラキラとさせて何度も頷いた。
そしてくしゃりと笑うと涙を流した。
「別にアーロンとして過ごすのが嫌って訳じゃないんだ。しかたないことだし。元々、私はアーロンよりもお転婆だったからアーロンとしてこの歳まで剣を握れたり、好きな事が出来てるところはあるんだ。でも、どうしても無性に自分は女の子なのにどうしてって、苦しくなる時があって。」
バネッサは涙を何度も拭ったが後から後から涙は流れてくる。
「お姉様って言われるだけでこんなに嬉しいなんて思わなかった。」
そう言ったバネッサの背中はとても小さく見えた。
6年間男性として生きてこなくてはならなかった彼女の苦労を思うと結婚をして二週間ぽっち放置されたことなんて瑣末なことだとジェニファーは思った。
カレンがぷりぷりと怒りながらお茶を入れてくれる。ジェニファーから話を聞いてカレンは怒り心頭だった。
一方ジェニファーは話を聞いてすぐは少しショックを受けたが、そこまで怒る気にはならなかった。
「実家にお戻りになってもいいと思いますけどね。」
カレンはそう言いながら、砂糖とミルクをテーブルに置いた。
「戻ってどうするの?旦那様に相手にされませんでしたって泣きつくの?そんなの嫌よ。」
今、実家に戻って離縁をしてどうなる?ジェニファーには瑕疵が付き、アーロンはエマニュエル王女とまた対峙しなくてはならなくなる。
ミッドラッツェル家にもショウ家にも少なからずダメージがあるだろう。
四方に悪影響が残るだけである。ジェニファーはこの中から少しでも利を得なければ気が済まなかった。
アーロンが何でもすると言っているのだからその言葉を盾にジェニファーの思うようにすればいいのだ。
「旦那様と話をするわ。」
ジェニファーは考えた。
一番は旦那様が女性の魅力に気付きジェニファーと正式な夫婦となってくれることだ。まずはそのための努力をしようと。
そうしてその日の晩、ジェニファーはアーロンの寝室に突撃した。
「なっ、こっ、こんな遅くにっ、どうしたの?」
アーロンはわかりやすく狼狽えた。
ジェニファーは少しばかり扇情的な服を着ていたが、アーロンは青ざめるばかりで全く興奮している様子はなかった。
「あの、一度、試してみてはどうかと。」
「たたたたたためすってなななななにを?」
「男性は好む好まないに関わらず、体が反応してしまうことがあると聞きいたことがございますわ。私もあまり知識はございませんが、何か方法があるのではないかと思いまして。アーロン様の殿方を好きと言う気持ちはもちろん尊重いたしますが、貴族として子を生さねばならぬのも真実。」
そう言いながらジェニファーはアーロンに近付き、抱きついた。
いつもきっちり着込んでいるアーロンも流石にこの時間帯だとゆるりとした服を着ていて・・・
(思ったより細いのですわね)
ジェニファーはそんな感想を持った。
「何か反応なさいまして?」
「いや、たぶん何も・・・」
「そう。まぁ、そんなに簡単にはいきませんわよね。ところで、アーロン様は反応するとどうなるかご存知でいらっしゃいます?」
ジェニファーがそう言うとアーロンは少し震え出した。もしかしてこれが反応とやらでは?と思っているとアーロンがぷっと吹き出した。
「あはは。ジェニファーは男が反応するってどう言う事か知らずに何かを試そうとしていたの?くくくっ。君って面白いね」
アーロンがひとしきり笑った後、ジェニファーに向き合った。
「君に秘密を教えてあげる。誰にも言ってはいけないよ。私が男性を好きで女性と子をなせないのは、私が女性だからなんだ。」
そう言ってアーロンはジェニファーの手を取りアーロンの胸を触らせた。そこには確かに女性特有のまるみをおびた胸があった。しかも、ジェニファーより柔らかくて大きい気がする。
「普段はサラシを巻いて抑えてるんだ。だから、男性の胸のように硬いんだけど、今は何もつけてないから、ほら、女性だろう?」
「えっ?えっ?」
ジェニファーは理解が追いつかず何も言葉が出てこなかった。
「本当はジェニファーが信頼に値する人物か見極めてから告げるつもりだったんだけど、さっきの態度を見て多分大丈夫だと思ったから。」
「ちょっと待ってください。まだ、心が追いついていないです。」
混乱するジェニファーにアーロンは何度も同じ話をしてくれた。双子の入れ替わりのこと、アーロンがバネッサとして亡くなったこと、バネッサがアーロンとして過ごしてきたこと、この事実を知っているのは屋敷でもほんの一部の人だけだと言うこと。
話を聞くうちに徐々にジェニファーもアーロンが女性だという事実を受け入れ始めた。
そうして改めてアーロンを見ると女性にしか見えないから不思議なものである。
「アーロンが生きていてジェニファーがアーロンと結婚していれば私たち姉妹になれたのにね。そうしたら仲のいい姉妹になれたかな。」
そう言ってアーロン、いやバネッサが笑った。
アーロンが生きていたらアーロンはエマニュエル王女と結婚していただろうからそんなもしもの世界はないような気がするが、バネッサは少し夢みがちなところがあるらしい。
「私たちは夫婦だけど夜は姉妹のように過ごしましょう。お姉様」
ジェニファーがそう言うとバネッサは顔をキラキラとさせて何度も頷いた。
そしてくしゃりと笑うと涙を流した。
「別にアーロンとして過ごすのが嫌って訳じゃないんだ。しかたないことだし。元々、私はアーロンよりもお転婆だったからアーロンとしてこの歳まで剣を握れたり、好きな事が出来てるところはあるんだ。でも、どうしても無性に自分は女の子なのにどうしてって、苦しくなる時があって。」
バネッサは涙を何度も拭ったが後から後から涙は流れてくる。
「お姉様って言われるだけでこんなに嬉しいなんて思わなかった。」
そう言ったバネッサの背中はとても小さく見えた。
6年間男性として生きてこなくてはならなかった彼女の苦労を思うと結婚をして二週間ぽっち放置されたことなんて瑣末なことだとジェニファーは思った。
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