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目の前に差し出された書類を確認すると、みるみるうちにどっと汗が吹き出してきた。元々青かった顔色を、赤くしたり白くしたりと大忙しである。
「なっ……こっ……これ……は、一体…………どういう……。」
あまりの内容に言葉を失ってしまった伯爵が絞り出せたのは、たったこれだけの単語ともつかないものたちだけであった。
「貴殿は先程、ご子息に任していると言っていたな。私達が貴殿らに求めるのは、ただの確認だけだ。」
そう言いながら、伯爵の手から書類を引き抜こうとした。が、しっかりとその手に握られた書類はびくともしない。
「息子とはよく話して事実確認を致します。······こんな········こんなことが起こる筈が……。」
そう絞り出すように叫んだブレイズ伯爵は、あまりの怒りに、ぷるぷるとふるえていた。
手を離すつもりが無さそうにみえる伯爵の様子に、公爵は書類を取り返すことをあきらめ
て深い溜息を吐いた。
「全てをご子息に一任しているのではなかったのかね?それに、家紋までご丁寧に押印してある。今更取消しは不可能だと思うが?」
「そ……それは……。そそう、息子が勝手に印を使ったのです。これは私の預り知らぬところで起こったことで、伯爵家としての総意では…………。」
「そんな言い訳が本当に通用すると?もし本当にそうなのであれば貴殿の管理不行き届きだな。 それとも、もしや盗人として息子をつき出すか?そもそも次期伯爵が伯爵家の印を使う事に特に問題は無い筈だ、貴殿の同意があれば。だがそこは我々公爵家が介入する必要の無い事だ。違うか?」
「くっ………ですが、婚約を続行させたいのはそちらも同じ思いの筈。3日頂ければすぐに息子と話を…………。」
「いや、必要無い。ここまでコケにされてまで婚約を続けるメリットがこちらにあると思うか?最低限度の条件すら守ることの出来ない相手と?」
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「なっ……こっ……これ……は、一体…………どういう……。」
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そう言いながら、伯爵の手から書類を引き抜こうとした。が、しっかりとその手に握られた書類はびくともしない。
「息子とはよく話して事実確認を致します。······こんな········こんなことが起こる筈が……。」
そう絞り出すように叫んだブレイズ伯爵は、あまりの怒りに、ぷるぷるとふるえていた。
手を離すつもりが無さそうにみえる伯爵の様子に、公爵は書類を取り返すことをあきらめ
て深い溜息を吐いた。
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「そ……それは……。そそう、息子が勝手に印を使ったのです。これは私の預り知らぬところで起こったことで、伯爵家としての総意では…………。」
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「くっ………ですが、婚約を続行させたいのはそちらも同じ思いの筈。3日頂ければすぐに息子と話を…………。」
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