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「サヴィン辺境伯夫人。夫婦仲睦まじいようで何よりだ。これからの活躍を期待している。」
「有り難き幸せに存じます。」
優しい声色で返された言葉に安心して思わず笑みが零れる。ほんの少しだけ伺うようにフレデリックをちらりと見上げると、まるで初めて歩いた我が子を見るかのような穏やかな表情でこちらを見つめていた。目が合うと、彼の瞳は溶けてしまいそうなほど甘く蕩ける。
何となく居た堪れなくなって視線を戻すと、無言で肩を震わせている国王一家が目に入った。
セシリアの視線に気が付いた国王は、咳払い一つして気を取り直すとあからさまに話題を逸らした。
「こほん……。いやなに、先程も面白いものを見せて貰ったよ。あんなに感情を剥き出しにしたサヴィン辺境伯は初めて見た。」
「妻を侮辱されたのです。当然では?」
胡乱な瞳でフレデリックが即答する。……ちょっと被せ気味に。
そんな彼の様子に苦笑しつつ国王が続ける。
「これだけの人数の前でやらかしたんだ。冤罪も何も無いとは思うが。……衛兵、その女をここに連れて来い。」
国王の声に従い、壁際に押さえ付けられていたモニカが連れてこられる。
「何か言いたい事はあるか?……あぁ、その状態では何も言えないな。猿轡を外してやれ。」
暴れたせいであろう。彼女の艶やかな髪は乱れて光沢を失い、ドレスには皺がより、ヒールは片方が折れている。国王から問い掛けられるも、彼女の紅が所々落ちた唇からは「辺境伯……?そんなことって……」とぶつぶつ小さな声が漏れるばかりだ。
モニカの様子に溜息をついた国王は視線を彼女からフレデリックとセシリアに移し、問いかける。
「お前たち二人は何か言いたい事はあるか?」
あまりのモニカの様子と展開の速さについて行くのがやっとのセシリアはただ首を横に振るだけだ。
そんな彼女とは別に、フレデリックは少し考えると口を開いた。
「では陛下。彼女には通常の罰の他に妻への接近禁止を付け足して頂けないでしょうか?」
「有り難き幸せに存じます。」
優しい声色で返された言葉に安心して思わず笑みが零れる。ほんの少しだけ伺うようにフレデリックをちらりと見上げると、まるで初めて歩いた我が子を見るかのような穏やかな表情でこちらを見つめていた。目が合うと、彼の瞳は溶けてしまいそうなほど甘く蕩ける。
何となく居た堪れなくなって視線を戻すと、無言で肩を震わせている国王一家が目に入った。
セシリアの視線に気が付いた国王は、咳払い一つして気を取り直すとあからさまに話題を逸らした。
「こほん……。いやなに、先程も面白いものを見せて貰ったよ。あんなに感情を剥き出しにしたサヴィン辺境伯は初めて見た。」
「妻を侮辱されたのです。当然では?」
胡乱な瞳でフレデリックが即答する。……ちょっと被せ気味に。
そんな彼の様子に苦笑しつつ国王が続ける。
「これだけの人数の前でやらかしたんだ。冤罪も何も無いとは思うが。……衛兵、その女をここに連れて来い。」
国王の声に従い、壁際に押さえ付けられていたモニカが連れてこられる。
「何か言いたい事はあるか?……あぁ、その状態では何も言えないな。猿轡を外してやれ。」
暴れたせいであろう。彼女の艶やかな髪は乱れて光沢を失い、ドレスには皺がより、ヒールは片方が折れている。国王から問い掛けられるも、彼女の紅が所々落ちた唇からは「辺境伯……?そんなことって……」とぶつぶつ小さな声が漏れるばかりだ。
モニカの様子に溜息をついた国王は視線を彼女からフレデリックとセシリアに移し、問いかける。
「お前たち二人は何か言いたい事はあるか?」
あまりのモニカの様子と展開の速さについて行くのがやっとのセシリアはただ首を横に振るだけだ。
そんな彼女とは別に、フレデリックは少し考えると口を開いた。
「では陛下。彼女には通常の罰の他に妻への接近禁止を付け足して頂けないでしょうか?」
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