【R18】好きな人が変態だったので、脅したら処女バレ(自爆)して逆転→溺愛されました。

志貴野ハル

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第2章

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 学部棟を出て学食に向かっている間、アキラくんといろんな話ができた。
 元々性欲が異常に強く、見られることで性的興奮を覚える変態だということ。この前、私の地元にいたのはやっぱり配信のためで、女装をしているのは身バレ防止と単にウケが良かったから。

「じゃあ、アキラくんは別に男の人が好きなわけではない?」
「うん、見られたいだけ。好きなのは女の子だけど、見てくれる対象は男でも女でもどっちでもいい。でもこういう性癖って、友達には言えないでしょ。だから同じような立場の変態な人達に見てもらってたわけだけど、まさかコハルちゃんにバレるなんて」
「あ、ごめん、あそこ地元なの」
「……もう行けないな」
「え、またそういうことするつもりだったの?」
「ううん、もうしないよ。アカウントも消す。だってこれからはコハルちゃんが見てくれるんでしょ?」
「う、うん」
「やっぱりコハルちゃんも変態だね」

 からかうわけではなく、同志に会えて嬉しいみたいなニュアンスでアキラくんが笑った。
 正確には、私は見たり見られたりが好きなんじゃなくて、アキラくんが好きだから見たいし触りたいだけなんだけど……。
 そう訂正したかったけど、アキラくんの嬉しそうな顔を見たら、恥ずかしさが込み上げてきて言えなかった。


 学食に着くと、ほとんどの席が埋まって賑やかというよりもうるさかった。
 入り口付近では、大学生活をめちゃくちゃに楽しんでいそうな5人の男女グループが、長テーブルをくっつけ合ってバカ騒ぎしていた。あぁ、私の苦手なタイプだ……。そう思っていたらスーツ姿の一際目立つ背の高いホストみたいな黒髪の男の人と目が合った。「おー」と知り合いでもないのに片手を上げられる。

「起きてたか、アキラ」

 イスから立ち上がり近寄って来た男の人が、私たちの前に立つ。目の前に来られるとその背の高さに圧倒される。身長いくつあるんだ……。私とアキラくんの頭一つ分くらい余裕で違う。
 「今日は寝坊しなかった」と怯える様子もなく、ホストみたいな男の人と会話を続けるアキラくんを見て、ようやくこの二人が知り合いなのだと理解する。
 ふわふわした天使のようなアキラくんが、この巨神兵ホストと友達なのが微妙に信じられない。顔面偏差値は、まぁそこそこといったところか。私の好みではないが、世間的にはモテるんだろうなとは思う。足元を見る。天然ででかいんだ……。うわぁ。

「そっちは?」

 視線を向けられて、背筋が伸びる。

「コハルちゃん。同じ学部の一年生」

 アキラくんが紹介してくれて、慌ててフルネームを名乗った。
 巨神兵は別学部の三年で、アキラくんの部活の先輩なのかと思いきや、高校の同級生だったという。

「……え、三年なのに高校の同級生……?」
「あ、俺、二回ダブってるから、コハルちゃんの歳上だよ」

 年齢の計算が合わなくて思わず声に出すと、隣のアキラくんがあっけらかんとした声で答えた。 

「えぇ!?」
「あはは、こいつまじで朝起きれないし、苦手な講義の内容も全然覚えないからさ、次もまた留年しないように勉強教えてやって。よろしくね」
「コハルちゃん、よろしくねー」

 軽い調子で話続けて、アキラくんとその友達は騒がしい集団の中に帰っていった。


 私は真希ちゃんを探すふりをしながら、さっき聞いた情報の処理をしていた。アキラくんの可愛さから勝手に同い年かと思っていて、なんなら歳下のように「かわいい、かわいい」って思ってて、でも歳上で……、生意気だと思われてたらどうしよう。
 あのチャラついた集団の中で私のことを話してたらどうしよう。大学に入って部活もないし、体育会系みたいな年功序列の悪習からやっと逃れられたと思ったのに。

「どこまで行くんだ、お嬢」

 声と同時に腕を引っ張られる。真希ちゃんだった。
 アキラくん達のグループからほんの数席後ろに離れただけの位置に座っていたらしい。三人掛けの長テーブルの端っこに一人分のカレーが乗っていた。その隣の席にリュックを下ろす。

「ごめんね、遅くなって」
「うん。先に食べてた。アキラくんとなんかあったか? ……どした、それ」

 真希ちゃんの視線の先には、私が握りしめていたずぶ濡れのハンカチがあった。咄嗟に顔の前まで持ってくる。アキラくんの匂いはもうしなかった。石鹸と、自分がいつも使っている柔軟剤の香りだけ。少し、残念。

「あ、えーっと……、鼻血出ちゃって」
「アキラくんの前で?」
「う、うん」
「興奮したんか。ピュアな少女漫画みたいだなー」

 ケラケラと笑いながら、真希ちゃんは途中まで食べていたカレーを頬張り始めた。
 ……ピュアな少女漫画では好きな男の子のオナニーは見ないし、付き合ってもないのに触ったりしないんじゃないかな……。そう思ったけど唯一の友達が減りそうなので言わないでおいた。
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