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王立図書館の副館長はみなしごの一角獣に執着される
第16話 館長はオレオレ副館長に困惑する
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ルーク・セクストンは、けっして自分のことを「オレ」とはいわない。それは彼を知る者には周知の事実である。
さらにその麗しい顔にうかぶ表情はだいたいにおいて静かなものであり、内心イライラしていたとしても、目を吊り上げて他人を怒鳴りつけることなどけっしてない。王立図書館にはルークを少年のころから知っている常連もやってくるが、彼らも口をそろえてそう証言するだろう。
しかし今、ラッセルの目の前でユニコーンの背に這い上がったルークの顔は、いつもの彼からはとても想像できない、激しい怒りと苛立ちに満ちている。その唇からはまたも、いつものルークならけっして口にしないような言葉が飛び出した。
「離れろといっただろうが、くそドラゴンめ! おまえはなんだ人間! オレにさわんじゃねえ!」
羽ばたきを忘れたリリが空中でよろめく。
ピッ……((+_+))?!
黄金の翼のドラゴンがすかさずその下に回りこんでリリをサポートした。しかしラッセルは伸ばした手の行き場をなくしたまま、口をぽかんとあけていた。
「ル、ルーク?」
ルークはラッセルを一瞥もせず、ユニコーンの首のうしろに頬ずりをしている。十秒かそこらのあいだ、ラッセルは呆然とその様子をみつめていた――が、ユニコーンの耳がピンと立ったのに気づいたとたん、すばやくその左側へ回りこんだ。
「待て、動くな!」
まさに間一髪のタイミングだった。というのも、ラッセルがそう叫んだとき、ユニコーンは前足をあげてその場を駆け出すそぶりを見せていたからである。
ピッピプピピイイーーーッ!
(だめぇ、だめ!)
ラッセルの声に一瞬遅れてリリが悲鳴のような声をあげ、黄金のドラゴンと共にユニコーンに飛びかかった。黄金のドラゴンの翼がユニコーンの両目をふさぎ、リリの空色の翼がルークの顔にかぶさる。
「なにしやがんだこの※△%□……!」
ルークの口からまたも悪態が飛び出した。いつもの彼を知る人々にはとても聞かせられない言葉である。そのままルークはリリを顔からはがそうと両手をふりまわしていたが、翼に両目をふさがれたまま数秒経つと、糸が切れたようにくたりと背中を丸めてしまった。ラッセルはとっさに手を伸ばし、ユニコーンの背からずり落ちかけたルークを抱きとめた。
「ルーク……」
ささやいてもルークはぴくりとも動かない。その目はかたく閉じていて、一瞬で深い眠りに落ちてしまったようだ。
ラッセルの肩に鉤爪がくいこんだ。リリが藍色の目を見開き、心配そうにルークをみつめている。ふと気づくとユニコーンもルークと同じように静かになっていた。もっともこちらは首を垂れているだけで、眠っているわけではない。
(王子よ、ユニコーンと魔術師は鎮めた。今のうちに地上へ戻れ)
いきなりラッセルの心に何者かの声が響いた。
「な、誰だ? なんだ?」
ラッセルはうろたえてあたりを見回した。しかし大洞窟にあらたに現れた者はいない。するとまた声が響いた。
(おや、聞こえているのか。あわてるな。私だ)
「私って……あああ?」
ゴリッと何かが頭皮をひっかき、ラッセルは目を泳がせて泉の表面をみつめる。ゆらゆらと波立ってはいるものの、そこにはルークを抱いたラッセルの影と……頭の上に座っている黄金のドラゴンの姿が映っていた。
(王子の頭の座り心地はなかなかいいな)
ピピッ(だよね!)
リリがラッセルの肩にとまったまますかさず返事をした。もはや何が起きようが驚かないぞ、という気分になっていたラッセルは、水面にうつるドラゴンに目だけで挨拶をした。
「……それはどうも。その、あなたは……」
(私はレオン。森のドラゴンを統べる者だ。王子もやっと私の声が聞こえるようになったのだな。安心したぞ)
「……というと――まさか、以前から俺にこうやって話しかけていたのか?」
レオンはラッセルの頭に座ったまま首を前に振った。
(その通りだ。おまえには聞こえていないようだったが)
「……ああ」
(本来、アルドレイク王家の者には野生のドラゴンと心で話す能力がある。だからこそおまえの始祖王はドラゴンと契約することができたのだ。おまえも子供のころは森で我々と話していただろう?)
ラッセルは目をぱちくりさせた。
「……そ、そうだったっか……? すまない、まったく記憶にない」
(人間にありがちだな。成長と共に本来の能力を忘れてしまうのだ。王子もただの人間だから、そこは責めないでおこう。とにかく急いでルークを地上へ連れ戻すのだ)
レオンはラッセルの頭の上で偉そうにふんぞりかえっている。森のドラゴンの王なら、ただの王子でしかないラッセルより偉いといえるのかもしれない。
「わかった」
ラッセルはルークを泉の横にルークをいったんおろし、また抱え上げた。レオンがラッセルから離れて階段の方へ向かうと、リリも肩から飛び立って彼に続く。森のドラゴンの王はリリよりも重かったので、離れてくれてラッセルはほっとした。このまま頭にのせているとかなりの肩こりになりそうだった。
ユニコーンは首を垂れたまま動かない。ラッセルはルークを抱いたまま大洞窟から外へ通じる階段をのぼりはじめた。
「レオン、聞いてもいいか?」
(なんだ?)
「どうしていきなり、俺にあなたの言葉が聞こえるようになったんだ?」
黄金のドラゴンはラッセルの横をぐるりと旋回した。
(さあて、わからないが……王子がユニコーンの境界を超えたせいかもしれない)
「境界? というと、あの扉か?」
(ドラゴンの本拠は人界と隣りあった次元にあったから、かの〈大異変〉のときも人界に本拠地を移して存続することができたが、他の精霊族はむかしから、人界からかなりずれた次元で暮らしていた。だから彼らのほとんどは〈大異変〉で消滅してしまったのだ)
「待ってくれ。大異変とはなんだ?」
(次元の大嵐だ。これがきっかけで人間の帝国も滅びたというのに、おまえたちは何も知らないのか?)
次から次に想像したこともない話を繰り出されてラッセルは目を白黒させたが、ルークを抱っこするのに体力を割いていたのもあって、レオンにいいかえす気力はなかった。
「……それは古代帝国のことだろう。しかし精霊族に関する記録は何も残っていないんだ。ドラゴンはみんな知っているのか?」
(いや。私も森のドラゴンの王として、先代から引き継いだことしか知らない。だが、ルークに何が憑依したのかは見当がつく)
「憑依だって?」
(ああ、ルークには古代帝国時代に生きていた魔術師の亡霊が憑いている。最後のユニコーンを守るために命を落とした魔術師だ)
「はあああ?」
ラッセルは思わず大声をあげてしまい、その声は石の壁に跳ね返って遠くまで響いていった。
(おまえたち人間が地下で活動したおかげで、長い間地底に隠れていた別の次元が揺らいだのだ。古代より閉じこめられていた亡霊が地上への出口をみつけ、森を騒がせていたと思ったら、ルークを乗っ取ってしまった。そして封じられていた扉をあけさせ、最後のユニコーンに引き合わせた……)
そのとき、ラッセルの背後でカポッカポッという音が聞こえた。
「……あれが最後のユニコーンだっていうのか? なんで追ってくるんだ?」
(おそらくルークに憑いている亡霊を慕っているからだ)
「おいおい」
ラッセルは天をあおいだが、見えるのは石の壁だけである。
「ルークには亡霊が憑いていて、しかもユニコーンがついてくるっていうのか? このまま地上へ連れて行ったらどうにかなるのか? 憑いてる亡霊がどっかいくとか……」
(いや、そうはならないだろう。しかし境界の近くにいるよりはましだ。おまえもユニコーンの次元に入ったなら、わからないか?)
レオンにそういわれてラッセルはうなずかざるを得なかった。あの不思議な扉の向こうはあきらかに人界とはちがう場所で、何が起きるか予測がつかない。
ラッセルの腕の中でルークはぐっすり眠りこんでいる。腕が疲れたのでラッセルは何度かルークを抱えなおさなくてはならなかった。リリはレオンの横をパタパタと飛んでいるが、さえずることもなく、ラッセルとレオンの話を聞いているようだ。
(先代から伝わる話によれば、我々ドラゴンとユニコーンはあまり友好的な関係ではなかった。そしてアルドレイク王国の始祖王が我々と契約したとき、かの魔術師はドラゴンを激しく恨んだという)
「……そりゃまたどうして……」
(詳細はわからぬ)
「だけどその亡霊は、ルークの体に入ったんだろ? なぜだ? ルークは……人間の姿をしているが、ドラゴンだぞ」
(私に聞かれてもわからぬ。本人に聞け)
「……答えてくれるといいけどな……」
オレにさわるな、と叫んだルークを思い浮かべて、ラッセルはそっとため息をついた。ルークが「オレ」だって?
やっと地上へ出てみると、不思議なことにほとんど時間が経っていないかのように明るかった。とっくに夕方になっているかと思ってあわてていたのに、ラッセルは拍子抜けした。
ルークはまだ意識を取り戻さない。そっと地面におろし、遺跡に背中をもたれさせていると、アランの声が聞こえた。
「おや、ラッセル様、ルーク様になにか――ひええええ?」
もはや何にも驚かなくなっていたラッセルは、悲鳴のようなアランの叫びにもまったく動じなかった。というより、アランがそんな声をあげた理由はだいたいわかっていたのである。
振り向くと思ったとおりだった。輝く角をそびやかした純白のユニコーンが遺跡の敷石の上を用心深く歩いてくる。
「ラ、ラッセル様ぁ……その、何かいますけど……」
「地下にいたユニコーンだ」
ラッセルはしびれた腕をこすりながら答えた。
「ちょっと面倒なことになってな」
さらにその麗しい顔にうかぶ表情はだいたいにおいて静かなものであり、内心イライラしていたとしても、目を吊り上げて他人を怒鳴りつけることなどけっしてない。王立図書館にはルークを少年のころから知っている常連もやってくるが、彼らも口をそろえてそう証言するだろう。
しかし今、ラッセルの目の前でユニコーンの背に這い上がったルークの顔は、いつもの彼からはとても想像できない、激しい怒りと苛立ちに満ちている。その唇からはまたも、いつものルークならけっして口にしないような言葉が飛び出した。
「離れろといっただろうが、くそドラゴンめ! おまえはなんだ人間! オレにさわんじゃねえ!」
羽ばたきを忘れたリリが空中でよろめく。
ピッ……((+_+))?!
黄金の翼のドラゴンがすかさずその下に回りこんでリリをサポートした。しかしラッセルは伸ばした手の行き場をなくしたまま、口をぽかんとあけていた。
「ル、ルーク?」
ルークはラッセルを一瞥もせず、ユニコーンの首のうしろに頬ずりをしている。十秒かそこらのあいだ、ラッセルは呆然とその様子をみつめていた――が、ユニコーンの耳がピンと立ったのに気づいたとたん、すばやくその左側へ回りこんだ。
「待て、動くな!」
まさに間一髪のタイミングだった。というのも、ラッセルがそう叫んだとき、ユニコーンは前足をあげてその場を駆け出すそぶりを見せていたからである。
ピッピプピピイイーーーッ!
(だめぇ、だめ!)
ラッセルの声に一瞬遅れてリリが悲鳴のような声をあげ、黄金のドラゴンと共にユニコーンに飛びかかった。黄金のドラゴンの翼がユニコーンの両目をふさぎ、リリの空色の翼がルークの顔にかぶさる。
「なにしやがんだこの※△%□……!」
ルークの口からまたも悪態が飛び出した。いつもの彼を知る人々にはとても聞かせられない言葉である。そのままルークはリリを顔からはがそうと両手をふりまわしていたが、翼に両目をふさがれたまま数秒経つと、糸が切れたようにくたりと背中を丸めてしまった。ラッセルはとっさに手を伸ばし、ユニコーンの背からずり落ちかけたルークを抱きとめた。
「ルーク……」
ささやいてもルークはぴくりとも動かない。その目はかたく閉じていて、一瞬で深い眠りに落ちてしまったようだ。
ラッセルの肩に鉤爪がくいこんだ。リリが藍色の目を見開き、心配そうにルークをみつめている。ふと気づくとユニコーンもルークと同じように静かになっていた。もっともこちらは首を垂れているだけで、眠っているわけではない。
(王子よ、ユニコーンと魔術師は鎮めた。今のうちに地上へ戻れ)
いきなりラッセルの心に何者かの声が響いた。
「な、誰だ? なんだ?」
ラッセルはうろたえてあたりを見回した。しかし大洞窟にあらたに現れた者はいない。するとまた声が響いた。
(おや、聞こえているのか。あわてるな。私だ)
「私って……あああ?」
ゴリッと何かが頭皮をひっかき、ラッセルは目を泳がせて泉の表面をみつめる。ゆらゆらと波立ってはいるものの、そこにはルークを抱いたラッセルの影と……頭の上に座っている黄金のドラゴンの姿が映っていた。
(王子の頭の座り心地はなかなかいいな)
ピピッ(だよね!)
リリがラッセルの肩にとまったまますかさず返事をした。もはや何が起きようが驚かないぞ、という気分になっていたラッセルは、水面にうつるドラゴンに目だけで挨拶をした。
「……それはどうも。その、あなたは……」
(私はレオン。森のドラゴンを統べる者だ。王子もやっと私の声が聞こえるようになったのだな。安心したぞ)
「……というと――まさか、以前から俺にこうやって話しかけていたのか?」
レオンはラッセルの頭に座ったまま首を前に振った。
(その通りだ。おまえには聞こえていないようだったが)
「……ああ」
(本来、アルドレイク王家の者には野生のドラゴンと心で話す能力がある。だからこそおまえの始祖王はドラゴンと契約することができたのだ。おまえも子供のころは森で我々と話していただろう?)
ラッセルは目をぱちくりさせた。
「……そ、そうだったっか……? すまない、まったく記憶にない」
(人間にありがちだな。成長と共に本来の能力を忘れてしまうのだ。王子もただの人間だから、そこは責めないでおこう。とにかく急いでルークを地上へ連れ戻すのだ)
レオンはラッセルの頭の上で偉そうにふんぞりかえっている。森のドラゴンの王なら、ただの王子でしかないラッセルより偉いといえるのかもしれない。
「わかった」
ラッセルはルークを泉の横にルークをいったんおろし、また抱え上げた。レオンがラッセルから離れて階段の方へ向かうと、リリも肩から飛び立って彼に続く。森のドラゴンの王はリリよりも重かったので、離れてくれてラッセルはほっとした。このまま頭にのせているとかなりの肩こりになりそうだった。
ユニコーンは首を垂れたまま動かない。ラッセルはルークを抱いたまま大洞窟から外へ通じる階段をのぼりはじめた。
「レオン、聞いてもいいか?」
(なんだ?)
「どうしていきなり、俺にあなたの言葉が聞こえるようになったんだ?」
黄金のドラゴンはラッセルの横をぐるりと旋回した。
(さあて、わからないが……王子がユニコーンの境界を超えたせいかもしれない)
「境界? というと、あの扉か?」
(ドラゴンの本拠は人界と隣りあった次元にあったから、かの〈大異変〉のときも人界に本拠地を移して存続することができたが、他の精霊族はむかしから、人界からかなりずれた次元で暮らしていた。だから彼らのほとんどは〈大異変〉で消滅してしまったのだ)
「待ってくれ。大異変とはなんだ?」
(次元の大嵐だ。これがきっかけで人間の帝国も滅びたというのに、おまえたちは何も知らないのか?)
次から次に想像したこともない話を繰り出されてラッセルは目を白黒させたが、ルークを抱っこするのに体力を割いていたのもあって、レオンにいいかえす気力はなかった。
「……それは古代帝国のことだろう。しかし精霊族に関する記録は何も残っていないんだ。ドラゴンはみんな知っているのか?」
(いや。私も森のドラゴンの王として、先代から引き継いだことしか知らない。だが、ルークに何が憑依したのかは見当がつく)
「憑依だって?」
(ああ、ルークには古代帝国時代に生きていた魔術師の亡霊が憑いている。最後のユニコーンを守るために命を落とした魔術師だ)
「はあああ?」
ラッセルは思わず大声をあげてしまい、その声は石の壁に跳ね返って遠くまで響いていった。
(おまえたち人間が地下で活動したおかげで、長い間地底に隠れていた別の次元が揺らいだのだ。古代より閉じこめられていた亡霊が地上への出口をみつけ、森を騒がせていたと思ったら、ルークを乗っ取ってしまった。そして封じられていた扉をあけさせ、最後のユニコーンに引き合わせた……)
そのとき、ラッセルの背後でカポッカポッという音が聞こえた。
「……あれが最後のユニコーンだっていうのか? なんで追ってくるんだ?」
(おそらくルークに憑いている亡霊を慕っているからだ)
「おいおい」
ラッセルは天をあおいだが、見えるのは石の壁だけである。
「ルークには亡霊が憑いていて、しかもユニコーンがついてくるっていうのか? このまま地上へ連れて行ったらどうにかなるのか? 憑いてる亡霊がどっかいくとか……」
(いや、そうはならないだろう。しかし境界の近くにいるよりはましだ。おまえもユニコーンの次元に入ったなら、わからないか?)
レオンにそういわれてラッセルはうなずかざるを得なかった。あの不思議な扉の向こうはあきらかに人界とはちがう場所で、何が起きるか予測がつかない。
ラッセルの腕の中でルークはぐっすり眠りこんでいる。腕が疲れたのでラッセルは何度かルークを抱えなおさなくてはならなかった。リリはレオンの横をパタパタと飛んでいるが、さえずることもなく、ラッセルとレオンの話を聞いているようだ。
(先代から伝わる話によれば、我々ドラゴンとユニコーンはあまり友好的な関係ではなかった。そしてアルドレイク王国の始祖王が我々と契約したとき、かの魔術師はドラゴンを激しく恨んだという)
「……そりゃまたどうして……」
(詳細はわからぬ)
「だけどその亡霊は、ルークの体に入ったんだろ? なぜだ? ルークは……人間の姿をしているが、ドラゴンだぞ」
(私に聞かれてもわからぬ。本人に聞け)
「……答えてくれるといいけどな……」
オレにさわるな、と叫んだルークを思い浮かべて、ラッセルはそっとため息をついた。ルークが「オレ」だって?
やっと地上へ出てみると、不思議なことにほとんど時間が経っていないかのように明るかった。とっくに夕方になっているかと思ってあわてていたのに、ラッセルは拍子抜けした。
ルークはまだ意識を取り戻さない。そっと地面におろし、遺跡に背中をもたれさせていると、アランの声が聞こえた。
「おや、ラッセル様、ルーク様になにか――ひええええ?」
もはや何にも驚かなくなっていたラッセルは、悲鳴のようなアランの叫びにもまったく動じなかった。というより、アランがそんな声をあげた理由はだいたいわかっていたのである。
振り向くと思ったとおりだった。輝く角をそびやかした純白のユニコーンが遺跡の敷石の上を用心深く歩いてくる。
「ラ、ラッセル様ぁ……その、何かいますけど……」
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