ジョン船長の日記 【週間連載長編作品】

養殖星

養殖星 DAY4

我々が宇宙船へ帰ると、
解析チームが大慌てで報告してきた。

「これをご覧下さい。
　この星の多種多様な動物達を
　解析した結果、驚くべき結果が出ました。

　彼らの元を辿ると、
　たった1種類の動物に行き着いた。

　つまり、これだけ豊かに見える
　この星の生物達は全て、
　我々が養殖のために放った
　1種類の牛から進化したのです。」



私は驚きを隠せなかったが、
受け入れるしかなかった。

今さっき、牧草しか無かったはずの
この星の植物の豊かな進化を
目にしたところなのだ。

「しかし、信じ難い話だな。
　たった50年でここまで
　進化する事がありえるだろうか。

　進化とは多様な周りの環境に
　適応できた物が
　生き残るから起こるはず。

　それには何万年という時間がかかるはずだ。

　特に、この星は養殖のために、
　どこまでも同じ種類、同じ環境、
　同じ気候を徹底していたはず。

　普通に考えると進化等
　到底起こりにくい環境なのだが…」




「もう一度調べてみましょう。
　植物の方も遺伝子解析を行い、
　
　外部の宇宙線や、
　この星の外からの影響も調べましょう。
　何か分かるかもしれません。」




調査チームの言葉に従い、
我々はしばらく調査を待つ事にした。


しかし、飽きることはなかった。
なにしろ、見たことのない生き物が
いっぱいいるのだ。

中には餌を与え、
飼い慣らしている船員もいた。


夜は注意が必要だった。
肉食の動物もこの星には存在するのだ。

しかし、彼らもよく考えれば
もともと牛だったはずの生物なので、
何とも複雑な気持ちではあったが…