妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

文字の大きさ
7 / 107

Folge 07 長女vs次女

しおりを挟む
「どこまでする気?」

 ――――へ?

 オレとツィスカはフリーズした。
 ツィスカの声じゃない。
 ベッドの上で出された声ではない。

 振り向くと――

 しゃがんで膝の上に両腕を乗せ、さらにY字にした両手に顎を乗せている子。
 カルラがこちらをジッと見ていた。
 それも随分と冷めた目で。

「カ・ル・ラ? どの辺からいたの?」
「ツィスカが『兄ちゃん、あたし、なんか我慢できなくなってきたの』から」

 ツィスカの物真似入りで答えられた。
 それって、めっちゃ最初からじゃ~ん!

「ツィスカさあ、わたしより先にサダメとどうにかなれるなんて、太陽が冷めきって使い物にならなくなるまで時間をかけてもありえないんだから」

 オレとツィスカはまだ同じ体勢のままカルラの話を聞いている。

「先に告られたのはすっっっっっっっっっっっごく気に入らないんだけど、サダメの気持ちが知りたかったから超超超超超超超超超超超超超我慢して聞いてたの。サダメ、わたしもサダメを愛しているの。『恋愛の愛なの!』よ」

 またしても物真似入り。

「それにね、わたしはツィスカなんかよりず~~~~~~~っと前から愛していたの。物心ついた時には愛していたの。いつも言っているでしょ? わたしはサダメのために生きているんだって。わたしの愛は深いわよ」

 自信満々な表情でオレへの愛をアピールしてくる。
 当事者がオレではないのかと。
 まるで映画でも観ているような他人事に思えてきてしまう。

「いつまでそのままでいるつもり? このカルラ嬢が盗人ツィスカを懲らしめに来ているんだから、早々に離れなさい!」

 先ほどまでオレとツィスカの間に生まれていた熱い感情は完全に鎮火。
 カルラに言われるがままオレたちは、ベッドの角に並んで座った。
 するとカルラは、生活指導の女性教師のように背筋を伸ばす。
 それからオレたちの前を左右に往復しながら説教を始めた。

「い~い? あなたたち。このわたしがいる限り、サダメから愛を受ける優先順位はわ・た・しが一番なの。最優先なの! サダメ、もうこれからはわたし以外の女からアプローチされてもすぐになびかないこと! わたしを抜きにして他の女のことを構ったら次は許さないから。覚悟しておいて。ツィスカがサダメを愛してしまうのは仕方がないわ。わたしたちは双子なんだからどうしても似てしまう。そのことは何も言わない。でもね、こうやってわたし抜きでサダメに会うのは禁止! ツィスカも覚悟しておいて」

 ツィスカが口を尖らせて反論し始めた。

「なんでカルラにそこまで言われなきゃいけないの? ルールまで決められるって、納得いかない!」
「わたしがサダメを初めから愛しているからよ。さっきから言っているでしょ!」
「そんなの今まで言って無かったもん。ちゃんと兄ちゃんに気持ちを伝えたのはあたしじゃん!」

 二人は睨み合ってう~う~唸っている。

 どうしよう――――

 兄貴としても、保護者としても、大失格な状態です…………。
 カルラが反撃を始めた。

「わたしはね、妹としてこの想いを伝えずに胸にしまい込んで、ちゃんと兄妹の関係でいようって我慢してたの。だって、もし告白したらサダメが困るだけじゃない。そんなの嫌。なのにツィスカが告白したらサダメは受け入れてしまったし、あたしたちと同じ気持ちだったなんて。おまけに一線を越えようとまでした。あたしの気持ちをどうしてくれるの! サダメ、責任取ってよ!」

 あちゃ~、結局矛先はオレに向いちゃったよ。
 ツィスカの生み出すムードに負けて受け入れてしまったことが一番まずかった。

「軽率だった。カルラ、ごめん。カルラもそれだけオレのことを思ってくれていたこと、驚いているしうれしいよ。こんなダメな兄貴ですまない」

 オレはベッドに座ったまま頭を垂れた。

「ま、まあ、あれよ。さっきも言ったけど、ツィスカはわたしと同じと考えてもいいわけ。わたしが告白したも同然。それにサダメは答えたのだから、わたしが受け入れてもらったと考えていいのよね?」
「そ、そうだよ。オレも言ってただろ? 三人共に同じ気持ちを持っているって」

 もう全部はっきりさせてみんなと今まで以上に仲良くしたい。

「カルラ、大好きです、愛しています。ツィスカには一度言ったからカルラにもね。でもツィスカが言ってたじゃないか。オレはカルラとタケルも同じように愛するはずだと。ちゃんと長女な発言していたよ」

 ツィスカは腕組みをして背筋を伸ばし始めた。
 頭の上には弧を描くように『えっへん』という文字がありそう。
 そんな恰好をしてみせた。
 カルラがオレを見ながらニコっとしている。
 ははぁん、わかっててオレで遊んだわけだ。
 そうだよな、全部聞いてたわけだから。
 こんにゃろ!

「カルラちゃん、ちょっとおいで。すっごく兄ちゃんはカルラを構いたくなってきたぞ」

 笑顔のいたずら顔が赤くなった。
 よし、釣れたか?
 さあ、オレの所へ甘えに来い!
 たっぷりと可愛がってやる。

「じ、じゃあツィスカも~」
「今はカルラの番にしてあげて。オレからのお詫びだから」

 ツィスカナイス!
 そこでお前がノってくれたらオレの企みがバレずに済む。
 よしよし、カルラが来たぞ。
 両手を広げておいでポーズをしてやる。
 カルラが反転してオレの膝に座ってきた。
 順調順調!
 よし、捕まえた!
 最初は堪能しよ。

「カルラは相変わらずいい匂いがするな~」
「そんなこと改めて言わないでよ。恥ずかしいわ」

 いいねえ、この流れ!
 正直このまま堪能していたいところだけど、ところだけど、だけど。
 ――――もうちょと。

「あんまりスリスリしないで。んふ、くすぐったいから」

 ――――も、もうちょっと。

「なんか力が強くてちょっと痛い」

 ――――も、も、もう少し!

「胸にも当たってるから、サダメ落ち着いて」

 すみません、なかなか止められませんでした。
 では、始めます。
 抱えたままで腰を、揉むっ!

「きゃーっ! あははははは! だめっ! あははは! サダ、はははははは! ダメって! や、やめて! ムリ! ムリムリ! い、息ができない、ははははははっ!」

 しまった、楽し過ぎてやり過ぎた。
 カルラは脇を閉めたまま前転をするように床に倒れこんだ。

「あは。ははは。ひ、酷いわ。はぁ、はぁ、もう、サダメったら、絶対あたしの愛で溺れ殺すから、はぁ、はぁ」

 なんだか怖そうだけど強烈な愛をいただきました。

「カルラもいっしょに寝よ? 二人でオレを挟んで寝てくれ」

 頬杖をついてずっと見ていたツィスカがようやく口を開いた。

「独り占めしたかったなあ。結局いつもと一緒じゃない」
「いいじゃないか。いつも一緒に寝てきたんだぞオレたち。これからもよろしくな」

 ようやく息が落ち着いてきたカルラも起き上がって話に加わってきた。

「いいわ。わたしもっと思いっきりサダメとお付き合いするから。覚悟してね」
「わかったよ、覚悟したぞ。よし、もう寝ようぜ。さすがに疲れたよ」

 三人でベッドに入る。
 まだ熱気が冷めていないから、掛布団は足元だけで。
 その時、部屋の外から廊下を歩く音が聞こえてきた。
 三人揃ってドアの方を振り返ってみるけど、何か見えるわけじゃないのにね。

「兄ちゃん、明日は僕とだけ寝てね」

 あ、タケル抜きで話してた。
 明日はタケルと二人で寝るか。
 いや、待てよ?
 それが狙いで話に加わらなかったとか?

「わかったよ~、明日は一緒に寝ような!」
「うん!」

 元気な返事が聞こえてきた。
 やっぱり狙ったか。
 こいつら常に何か企んでやがる。

「しまった、その手があったわね」

 おいカルラ、心の声が漏れてるぞ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

処理中です...