妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

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 ま、まあ、その……なんだ。
 五時半じゃさ、もう起きる時間と言えるし。
 カルラも起きていたし。
 いつもご飯作ってくれてありがとう、カルラ。
 そんな中、お兄ちゃんは同級生の女子と――。

「もうさ、彼女はボクで良くない?」
「まだ答えは出せないよ。その、美咲のこともあるし」

 少し呆れた顔をしたままオレの手におでこを当てる。

「なんでそんなに優しいのさ。ボクの気持ちがもたないよ」
「そう言われてもな。最初に告白してきたのは――」

 最後まで言うのを少し躊躇った。
 でも、言うべきだ。

「告白してきたのは、美咲、だから――」
「はいはい。言わなくても分かっているよ。……言っちゃうんだよねー」

 少し、後悔。

「それがサダメ、なんだけど。君を好きでいるのは大変だね」
「……ごめん。まだ気持ちの整理が出来ていない」
「ツィスカちゃんからの提案もあるし、あの子たちの答えと併せて待ってるよ」

 なんなんだろ、この気持ち。
 これだけ自然に話していられる。
 一緒に居て欲しいのって、咲乃ってことじゃないのかな。
 そう思うのは早すぎるのか?
 いや、もうこの事を考えるのはやめよう。
 妹の思うことも聞きたいし、美咲の気持ちもまだ聞き切っていない。

「ほら、そろそろ朝の準備をしないと」

 教材の整理を始めた咲乃に促されて登校の準備をする。
 必要なものを鞄に詰めて一階へ降りていく。


 ◇


「相変わらず仲が良いように見えるけど、付き合っていないんだよな」
「ああ、そうだよ」
「それを信じろと?」
「その通りだ」
「無理だね」
「そこを通せと言っている」
「譲れないものって、あるだろ」
「そこを譲れと言っているんだ」
「見ている方の身になれと言っているんだ」
「言い方を真似るなと」

 手の甲に浮き上がる血管をぷにぷに押して遊んでいる咲乃。

「んふふ。二人も仲いいよね」
「ないない!」

 裕二と同時に手を振って否定した。

「だってさ、サダメも左近君も話す男子ってお互いだけじゃない」
「うっ」

 確かに。
 言われてみれば、裕二も話すのはオレとだけだ。

「裕二ってさ、オレ以外に友達いたっけ?」
「ぴゅー、ぴゅーぴゅー。あれ? 唇乾いているな」

 何という下手な言い訳。

「よくわかる反応で助かる」
「サダメさ、俺にだって友達ぐらい他にもいるぞ」
「誰だよ」
「いちいち名前を出せって? そんなこと誰もしないだろ」

 狼狽える裕二は笑える。
 いつもやられてばかりだからな。
 たまには仕返しできないと。

「友達ぐらい他にもって言ったけど、オレが友達カウントされているってことだな」
「な!?」
「あはは!」

 珍しい咲乃の笑い声が教室に響いた。
 当然教室内にいる生徒達は驚いてこちらへ振り向いている。

「驚いたな。咲乃ちゃんって笑えるんだな」
「おい、失礼だぞ」

 これはオレがカチンと来てしまった。

「なんだよ」
「お前は初めの頃のこいつを知っているだろ? それが笑えるようになったんだ」

 よくここまで克服できたよな。

「……そうだった。辛かった時期があったな。ごめんね」

 素直に謝る裕二が見られた。
 中々にレアだけど、ここは当然のことだろう。
 あれからの変化はみんなに拍手されてもいいぐらいだ。

「気を付けろよな」
「サダメにこいつって言われちゃった。いいね、この感じ」
「あ、気づかずに言ってたな。気を付けるよ」
「良い感じって言ったのに。君の中に溶け込めている気がして嬉しいんだよ」

 そういうものなのか。
 悪い事を言ったかと思ったのに。
 良かったのならそれでいいや。

「ほら。どう見ても付き合っているように見えるんだけどなあ」
「もうその話はやめろ。他に興味は無いのかよ?」
「俺の興味っつったら、学校でサダメを観察することだからなあ」
「キモいんだが」
「そ、そんな!?」

 何がそんな!? だよ。
 観察なんてされたら普通に嫌だよ。

「サダメ、お前は何も分かっていない」
「何が」
「クラスメイト――いや、全校生徒がお前を観察していると言っても過言ではないということだよ」
「は?」

 何を言っているんだこいつは。

「そろそろ本気で黙ってくれないか」
「ああそうだったな。お前は鈍いのがセールスポイントだった」

 こいつ。

「左近君さあ、サダメでどれだけ遊んだら気が済む?」

 咲乃の目が冷え切っている。
 美咲がミルクを飲んでいた時とはワケが違う。
 本気で怒ると怖いのは咲乃の方か!?

「やめてくれるかな」
「す、すみませんでしたっ!」

 素早い土下座。
 余程の恐怖を感じたのだろう。
 分かる、分かるぞ裕二。
 ざまあみろ。

「サダメ、大丈夫? 気づかないうちに傷つくんだから気を付けなよ」
「そうか。帰ると酷い疲れに襲われることがあるけど、これなのかな」
「そうだよ。癒す人がいるから助かっているけどさ」

 納得させられるな。
 傷をすぐに癒されていたから毎日オレでいられるのか。
 みんなに感謝しかないや。

「帰ったら癒してくれる?」
「言われなくてもするよ。でも、傷つかないように動くのも大事」

 頭をポンと叩かれた。
 はい。
 気を付けます。
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