年上不能どM御曹司は年下貧乏どSフリーターを絶対逃がしたくない!

りこりー

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第一章

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「あたしがこんな事言うのもあれなんだけどさ…一発で五十万稼げる仕事。あるよ…」

 煙草を吸ってる私を見ながら、いつもへらへらしている百合がテーブルに両手を置いて真剣に言ってきた。いつもと違う様子に何か命に係わる様な仕事なんじゃないかと勘繰ってしまう。

「アダルトビデオとかそういうんじゃないよ」
「あ、そういうのもあるか」
「どういうのを想像したのよ」
「臓器売るとか…?」
「あはは!臓器なんてたいした金にならないし、今じゃそんな危険な橋渡る人なんていないって」

 何故こんな事を百合が知っているかって?それは、百合が関東では名の知れた暴力団の組長の娘だったからだ。最初は私も知らなかったが、黒塗りの車から出てくる百合を見て何気なしに聞いてしまった。百合は言いにくそうにしていたけど、私が態度を変える事はなかった。暴力団は百合の父であって、百合自身はお節介で表情豊かのただの女の子なのだから。それからより一層仲良くなったし、家族ぐるみで旅行に行ったりもした。
 暴力団の取り締まりが厳しくなった頃、百合の父も暴力団から足を洗ったらしく、夜の店やホテル経営などをしているようだと聞いた。その時の構成員も百合の父の会社で働いてるのだとか。元々、百合の父は争い事が嫌いだったし、私が百合の父に会った時もいかつめの普通のおじさんという印象が強い。

「どうする?体は売らないけど、結構ハードな仕事だし、正直体を売らないってだけ」
「…内容によるかな…」
「ん、まぁ、そうだよね。この後なんかある?」
「特には…」
「じゃあ、見てから決めて」

 そういった百合の手にはスマートフォンが握られていて、どこかに電話をかけていた。内容的に今から見学したいとかそういった内容だったと思う。
 数十分もすると高級車が迎えに来て、今は社長令嬢なんだと感心してしまう。キャバクラで働いているのだってその会社を継ぐための社会勉強なんだと言っていた。

「愛音、ひとつ聞きたいんだけどさ…」
「お金ならいらないよ」

 やっぱりとはにかんだ百合は、一応聞きたかっただけだからと車の窓に目線を向けた。
 雄哉は私が稼いだお金で大学に入って欲しい。ずっとそうしてきたんだから。中学に上がるときも、高校に上がるときも、内緒で近所の居酒屋を手伝ったり、バイトをしてコツコツ貯めたお金で雄哉を育ててきた。今更他の人のお金でなんて納得できない。意固地な自分には呆れてしまうけど、姉として、家族として、それだけは譲れない。
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