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最終章
真実
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目を開けると思った通り瞼が重いし痛い。見慣れた天蓋に少し寂しさが押し寄せた。隣ではエイダンが寝ていた。
襲われる虚無感。娘は無事に結婚できたかな?夫の最後はどうだったのだろうか。そんな事ばかり考えてしまう。
「勝人…」
ぽつりとその言葉を呟くと、隣で寝ていたエイダンが起き上がった。
「思い出したのか…?」
「え?」
「思い出したか!?光!」
ゆさゆさと体を揺らされたかと思ったら、強く抱きしめられた。伝わる震えが彼が泣いているのだと教えてくる。
「どうして?なんで光だって知ってるの?」
「まだ分からないのか?」
「そんな…まさか…」
その眉を下げて泣く、泣き顔に覚えがある。嘘だと信じられないと頭が混乱しているのに込みあがる嬉しさに胸が張り裂けそうで、もう泣きたくないのに自然と零れる涙を止められなかった。
「俺の名は?」
「エイダン…ルカっ…ランド、ルフっ」
「最初からヒントは出してたんだ…やっと分かってくれた。ルカって光って意味でもあるんだ。俺はこの世界に生まれて、その名を呼ばれたときに全部思い出した」
最初から教えててくれたのに自分は分からなかった。というか、最初から勝人と言ってくれればこんな事にはなっていないのに。そう言って思いきり頭を叩いてやった。
「いってぇ、ノアが良いっていってるのに今更前世の夫ですなんて言えるか?まぁ、コインで決めるとは思わなかったけど」
「まぁ、それは…」
「なぁ、ルシルの名は?」
「ルシル・コリン・リッカルド…」
コリン=勝利と人々。凛子。当てつけかもしれないけど、きちんと運命は刻まれていた。忘れないように名に刻まれていた。
「また俺の妻になってくれるか?」
「えぇ。というか、もう夫婦じゃない」
「あぁ、長かったぁ…もう思い出してくれなくてもいいって思ってた。だって今世だって夫婦になれたから」
「私、何故だかあの子達の名前と貴方の名前を忘れてたのよ」
「んー、じゃあ、あまり記憶もないのか?」
「浮気野郎って貴方に言ったのは覚えてるわ」
「あ、それ、死ぬ前に言った…嘘だろ?信じてるわけじゃないよな?」
「さぁ、どうかしら?」
二人のふざけ合う話し声はしばらくの間続き、それがしばらく経つと甘い声に変わって、何日も続いた。
襲われる虚無感。娘は無事に結婚できたかな?夫の最後はどうだったのだろうか。そんな事ばかり考えてしまう。
「勝人…」
ぽつりとその言葉を呟くと、隣で寝ていたエイダンが起き上がった。
「思い出したのか…?」
「え?」
「思い出したか!?光!」
ゆさゆさと体を揺らされたかと思ったら、強く抱きしめられた。伝わる震えが彼が泣いているのだと教えてくる。
「どうして?なんで光だって知ってるの?」
「まだ分からないのか?」
「そんな…まさか…」
その眉を下げて泣く、泣き顔に覚えがある。嘘だと信じられないと頭が混乱しているのに込みあがる嬉しさに胸が張り裂けそうで、もう泣きたくないのに自然と零れる涙を止められなかった。
「俺の名は?」
「エイダン…ルカっ…ランド、ルフっ」
「最初からヒントは出してたんだ…やっと分かってくれた。ルカって光って意味でもあるんだ。俺はこの世界に生まれて、その名を呼ばれたときに全部思い出した」
最初から教えててくれたのに自分は分からなかった。というか、最初から勝人と言ってくれればこんな事にはなっていないのに。そう言って思いきり頭を叩いてやった。
「いってぇ、ノアが良いっていってるのに今更前世の夫ですなんて言えるか?まぁ、コインで決めるとは思わなかったけど」
「まぁ、それは…」
「なぁ、ルシルの名は?」
「ルシル・コリン・リッカルド…」
コリン=勝利と人々。凛子。当てつけかもしれないけど、きちんと運命は刻まれていた。忘れないように名に刻まれていた。
「また俺の妻になってくれるか?」
「えぇ。というか、もう夫婦じゃない」
「あぁ、長かったぁ…もう思い出してくれなくてもいいって思ってた。だって今世だって夫婦になれたから」
「私、何故だかあの子達の名前と貴方の名前を忘れてたのよ」
「んー、じゃあ、あまり記憶もないのか?」
「浮気野郎って貴方に言ったのは覚えてるわ」
「あ、それ、死ぬ前に言った…嘘だろ?信じてるわけじゃないよな?」
「さぁ、どうかしら?」
二人のふざけ合う話し声はしばらくの間続き、それがしばらく経つと甘い声に変わって、何日も続いた。
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