冷遇されたΩは運命の竜に守られ花嫁となる

花里しろ

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「さてと、まずは一段落だが。テオドル国王よ、どうする?」
「本来であれば皇帝陛下の即位と皇妃を迎えられた祝いの席を設けるべきなのですが、この通り酷い有様で恥じ入るばかりです。国内が落ちつきましたら、改めてお二人をお招きしたいのですがよろしいか?」
「勿論だとも。では改めて、グラッセン帝国はグーディメル王国との国交を再開すると宣言しよう。暫くはそこのウルリヒも残して行くから、使ってやってくれ」

 言われてテオドルはクラウスに頭を下げてから、ウルリヒと目を見交わす。その眼差しは穏やかで、リュカもほっとする。

「帝国に戻り次第、治安維持のため軍を派遣しよう。指揮はウルリヒが執れ。統治下の法は…文官共に作らせてすぐに送る。物資が足りなければ、連絡用の飛龍を使え」

 当面必要なことは山ほどあるはずなのに、クラウスはそれを煩わしげに最低限の指示だけ出して半ば強引に終わらせてしまった。

 ウルリヒが一歩近づき、リュカにだけ聞こえる声で囁いた。

「十年ぶりにお目にかかりましたが、陛下の気質は何も変わっていないご様子。どうかよろしく頼みます」
「え、ええ? 僕は剣も魔法もからっきしですし。政治なんて全然分からないんですよ」
「リュカなら竜帝を御せると、ウルリヒは理解しいるのだろう。ウルリヒの人を見る目は確かだ。君ならこの剛気な御方を支えるに相応しい」

 テオドルがウルリヒの言葉に同意するように頷くので、リュカは複雑な気持ちになった。

(僕がクラウスを支える? 助けてもらってばかりなのに)

「では帰るぞ、リュカ」

***

 テオドル達に見送られ、リュカ達を乗せた馬車は空へと軽やかに舞い上がった。
 リュカは隣に座るクラウスの肩にもたれて目蓋を閉じる。

「…僕、役立たずでしたね」
 少しでもクラウスの力になりたくて付いてきてしまったけれど、結局なにもできなかった。

「邪魔ばかりして、ごめんなさい」

 自分に預けてくれた指輪の契約をもっと早く思い出していれば、クラウスが思い悩むこともなかっただろう。

「何を言う。お前が王太子を連れ出さなければ、俺は力を行使せねばならなかった。無用の血が流れずに済んだのはお前のお陰だ。リュカ」
「クラウス……」
「手が冷たいな。体も震えている…恐かったのだろう?」

 肩を抱かれ、リュカはクラウスの胸に身を寄せた。
 するとクラウスが壊れ物を扱うかのように、そっと額へ唇を落とす。

「国へ戻る前に、アレオン男爵へ挨拶に行かねばな」

 不意にクラウスが呟き、リュカはきょとんとした顔を向けた。

「お父さんに?」
「男爵に、お前と番になった報告をしていない」

 改めて言われれば、確かにそうなのだけれど。
 急に気恥ずかしさと嬉しさがこみ上げてきて、リュカは頬を染める。

「うん」

 こくりと頷いて彼を見つめれば、視線が絡まり、ふたりの距離がゆっくりと近づいていく。

 リュカが目を閉じると、クラウスの唇が優しく重なった。

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