いつだってあなたが私を強くする

泥んことかげ

文字の大きさ
52 / 53

第53話【子育て日記2日目】(7)

しおりを挟む

我ながらなんでも卒無そつなく熟こなしてきたし、手先だけは器用なつもりだったが現実はそうとは限らず、【感覚センス】と【魔力マナ】だけを頼りに生きてきた己を過信していたのかもしれないな。


朝食が終わり忙せわしなく動く椅子達は、まるでプログラムされたように静かに定位置へと戻り、空中で次々と消えゆく皿達をただ呆然と立ち尽くし眺めていると、アイナの小さな体が目の前を通りすぎていくのが分かる


細身の左腕で赤子を愛あやしながら、もう一方の手はミフィレンと繋がっていて、最初は、小さくて立派なお姉さん位にしか思ってなかったんだが、徐々に気づいてしまった……やることが、母親のそれだ。


(私も1児義理の母としてもう少し、【家事】と【育児】頑張んないとな……母親は子どものおかげで【母親】にしてもらったって何処かで聞いたっけ)


扉付近まで歩き、突然立ち止まりとこちらを振り返えり見上げながら、子ども達に見せない顔つきになると睨みを利かせ発する。


「ボーッとしてないで次いくわよ。」


そう、ひとこと言って再び正面へ向き直り、子ども達には可愛らしく「ニコニコ」と笑顔を振り撒いていた。


(私も女だが、ああいう八方美人みたいな母親って二面性あって怖いもんだな……)


めげずに食後の一服を……と思い煙草を取り出そうとしたが、先を歩いているアイナが扉を開ける際、口に咥えた煙草と私を見て早く来いと言わんばかりに鋭い眼孔でこちらを見ていた。


「はいはい……わかりましたよ。いきますよ……」


仕方なく火を着けるのを止め、胸元に煙草を食い込ませると、足早に【大広間】を後にした。


【屋敷内廊下】


ニッシャは、まるで保護者のように、中々前へ進まない【錦糸卵ミフィレン】と【チビ魚雷アイナ】の小さな背中を眺めており、腹は膨れたが煙草が吸えず多少のイライラが溜まっていたため喧嘩腰に話しかける。


「んで……ア・イ・ナ・さ・ん・に1つ聞きたいんだけどさ?私に本・当・は・、・何・さ・せ・た・い・訳・?」


「やっと気づいたか」と言いたそうな目を一瞬したが、二息ふたいき程の時間が流れてようやく口を開く。


「お察しの通り、貴女を鍛・え・て・い・る・の・よ・」


「私に修行?そんなの必要ないね!!」

そう吐き捨てると指を鳴らす音と共に、口がくっついてしまい、追撃を喋れなくなってしまう。

くぐもった声では何も伝わらず、頭の中で流れるアイナの説教まがいな有り難いお話を聞くしかなかった。

一方のミフィレンは、お腹一杯で満足したのか「テカテカ」の顔は幸せそのものだった。


「貴女、自分が何をしたか分かっているのかしら……危険度level-Ⅳを産み出したあげく、剰あまつさえ討伐し損ねたのよ?協会内部は、自動修復オートリペアで多少の破損箇所は、賄まかなえるけど費用だって無償タダじゃないのよ?」


(被害なんて知ったこちゃないし、負けたのだってあれは私のせいじゃないからね?ちゃんと本気出せば勝てましたよ~だ!!)


くどくどと怒るアイナに対して、大人げない態度を取り続け、大きな身振りを交えて必死に抵抗しようとしたニッシャだったがそれも虚しく雑音となるだけだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

処理中です...