おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ

文字の大きさ
24 / 27

悪いようにはしませんよ

しおりを挟む
「っ……、ふ」

 ああこれ、キス――してんだな。
 人間、想定外の出来事に直面すると意外と冷静になれるっつうか。おれが男にキスされる・・・側になるなんて現実感がなさすぎて、逆にこの状況を確かめて噛み締めている自分がいるらしい。
 でっけえ男の口に覆われて、粘膜同士が触れれば柔らかくてあったけえ。力強い意思を持った舌先に促されるままなんの疑いもなく侵入を許せば、一気に奥までかき回されておれの舌まで探られ絡めとられてく。それが全然嫌でもなくて、もっと先まで知りたくて、気づけば腕を伸ばして求めていたのも無意識で。

「っ、ちょ」
「は、ふは」

 おれに引き寄せられた冴島の身体は支えが崩れて、そのまま伸し掛かる恰好で落ちてくる。完全に身体が密着すれば、とっくに熱を帯びているのはおれだけじゃなく、お互い様だとダイレクトに伝わって来るほど明らかでたまんねえ。
 離れていくのが惜しくて唇を捕まえて繋がったまま、いいところを探しあてるように腰を上げてお互いの硬いブツをぐいと押し付け合うのは気持ちいいし、他人のちんこをそんなに愛おしく思える日がくるなんて、なんだかおかしくて勝手に口角が緩んでく。こいつともっと気持ちよくなりてえし、してやりてえ、なんてあまりにも自然にそう思えた自分に驚きながら、はち切れそうなそこにそろりと手を伸ば――「待って・・・

「あ、え……?」
「ああ、すいません。待って下さって、えらいです」
「お、おう……?」

 突然の待ったがかかって反射的に手を引っ込めながら見上げれば、ひどく曇った眼鏡はめちゃくちゃにずり落ちかけてて視線が直接降って来る。こんなときまで律義に褒められながら、目が合った瞬間にぼすんと抱き寄せられたらどっちの音かわかんねえほど心臓はバクバク煩くて。

「積極的なあなたも惜しいんですけど……今触られると、ちょっと無理なんで」
「……は?」
「言ったでしょう、最後までしたいって」
「……っ、さ、」

 おれの頭を撫でていたはずの手のひらは、気づけばすうっと下まで降りてケツをひと撫でしてはぐにぐにと捏ね回してやがる。いやお前、そんなにねちっこい触り方なんて今まで知らね……いやまて割れ目をつついてんじゃ、

「ちょ、まっ」
「できるだけ、優しくしますね」
「いや、ちょ」

 まさか自分がそんな台詞を囁かれる日が来ようとは。ちょっと悔しいが無駄にいい声が身体に廻って腰がひゅっとなる。
 ってんなこと言ってる場合じゃなくて。

「ああ、別にお仕置きがよければ」
「ちが、っ」
「……なんて、悪いようにはしませんよ。ほら、そのまま・・・・。力抜いて」

 いやコマンド! 拒否権ねえだろが、もう別にいいけど。

「そう、とっても上手です」
「は……」
「じゃあ、腰上げてみましょうか。そう、見せて・・・
「っ……!」

 命令なんて意味がねえほど脱力してる身体はされるがままに、慣れた動きで背中に枕が差し込まれればおれはもう間抜けな姿で全部丸見えで。

「ん、いいですね」
「そりゃ、お前が」

 まさに言葉の通りに、全部手取り足取りやってんだから。おれはただただ褒められてるだけでくすぐったい。

「俺は……Domですけど、別に『従わせたい』わけじゃないんです」
「うん。……っあ、っ、ちょ」

 仰向けに晒された肌を確かめるように指の腹ですうっとなぞられて、わざとらしく引っ掛けられた乳首を弄んでくるから反射的に変な声が出る。男の乳首なんてなんにもねえはずなのに、こいつに突っつかれるだけできゅんと腹が浮くのはまだ認めたくはない、のに。

「だけど、Domであり、男ですから。自分の言葉や行為に感じてくれるのは……堪んないですよ」

 ちゅっと軽い水音を立てて降ってきた柔らかい唇を迎え入れながら、ああ、そういや拒否権あったじゃねえか、セーフワード言やあよかったのかと今頃思い至ったがもう遅い。
 その声で、その手てこいつに褒められるのが、なによりこいつに求められんのが、どうやらおれにとっても堪んねえらしいから――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

趣味で乳首開発をしたらなぜか同僚(男)が近づいてきました

ねこみ
BL
タイトルそのまんまです。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

またのご利用をお待ちしています。

あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。 緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?! ・マッサージ師×客 ・年下敬語攻め ・男前土木作業員受け ・ノリ軽め ※年齢順イメージ 九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮 【登場人物】 ▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻 ・マッサージ店の店長 ・爽やかイケメン ・優しくて低めのセクシーボイス ・良識はある人 ▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受 ・土木作業員 ・敏感体質 ・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ ・性格も見た目も男前 【登場人物(第二弾の人たち)】 ▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻 ・マッサージ店の施術者のひとり。 ・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。 ・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。 ・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。 ▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受 ・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』 ・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。 ・理性が強め。隠れコミュ障。 ・無自覚ドM。乱れるときは乱れる 作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。 徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。 よろしくお願いいたします。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

処理中です...