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悪いようにはしませんよ
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「っ……、ふ」
ああこれ、キス――してんだな。
人間、想定外の出来事に直面すると意外と冷静になれるっつうか。おれが男にキスされる側になるなんて現実感がなさすぎて、逆にこの状況を確かめて噛み締めている自分がいるらしい。
でっけえ男の口に覆われて、粘膜同士が触れれば柔らかくてあったけえ。力強い意思を持った舌先に促されるままなんの疑いもなく侵入を許せば、一気に奥までかき回されておれの舌まで探られ絡めとられてく。それが全然嫌でもなくて、もっと先まで知りたくて、気づけば腕を伸ばして求めていたのも無意識で。
「っ、ちょ」
「は、ふは」
おれに引き寄せられた冴島の身体は支えが崩れて、そのまま伸し掛かる恰好で落ちてくる。完全に身体が密着すれば、とっくに熱を帯びているのはおれだけじゃなく、お互い様だとダイレクトに伝わって来るほど明らかでたまんねえ。
離れていくのが惜しくて唇を捕まえて繋がったまま、いいところを探しあてるように腰を上げてお互いの硬いブツをぐいと押し付け合うのは気持ちいいし、他人のちんこをそんなに愛おしく思える日がくるなんて、なんだかおかしくて勝手に口角が緩んでく。こいつともっと気持ちよくなりてえし、してやりてえ、なんてあまりにも自然にそう思えた自分に驚きながら、はち切れそうなそこにそろりと手を伸ば――「待って」
「あ、え……?」
「ああ、すいません。待って下さって、えらいです」
「お、おう……?」
突然の待ったがかかって反射的に手を引っ込めながら見上げれば、ひどく曇った眼鏡はめちゃくちゃにずり落ちかけてて視線が直接降って来る。こんなときまで律義に褒められながら、目が合った瞬間にぼすんと抱き寄せられたらどっちの音かわかんねえほど心臓はバクバク煩くて。
「積極的なあなたも惜しいんですけど……今触られると、ちょっと無理なんで」
「……は?」
「言ったでしょう、最後までしたいって」
「……っ、さ、」
おれの頭を撫でていたはずの手のひらは、気づけばすうっと下まで降りてケツをひと撫でしてはぐにぐにと捏ね回してやがる。いやお前、そんなにねちっこい触り方なんて今まで知らね……いやまて割れ目をつついてんじゃ、
「ちょ、まっ」
「できるだけ、優しくしますね」
「いや、ちょ」
まさか自分がそんな台詞を囁かれる日が来ようとは。ちょっと悔しいが無駄にいい声が身体に廻って腰がひゅっとなる。
ってんなこと言ってる場合じゃなくて。
「ああ、別にお仕置きがよければ」
「ちが、っ」
「……なんて、悪いようにはしませんよ。ほら、そのまま。力抜いて」
いやコマンド! 拒否権ねえだろが、もう別にいいけど。
「そう、とっても上手です」
「は……」
「じゃあ、腰上げてみましょうか。そう、見せて」
「っ……!」
命令なんて意味がねえほど脱力してる身体はされるがままに、慣れた動きで背中に枕が差し込まれればおれはもう間抜けな姿で全部丸見えで。
「ん、いいですね」
「そりゃ、お前が」
まさに言葉の通りに、全部手取り足取りやってんだから。おれはただただ褒められてるだけでくすぐったい。
「俺は……Domですけど、別に『従わせたい』わけじゃないんです」
「うん。……っあ、っ、ちょ」
仰向けに晒された肌を確かめるように指の腹ですうっとなぞられて、わざとらしく引っ掛けられた乳首を弄んでくるから反射的に変な声が出る。男の乳首なんてなんにもねえはずなのに、こいつに突っつかれるだけできゅんと腹が浮くのはまだ認めたくはない、のに。
「だけど、Domであり、男ですから。自分の言葉や行為に感じてくれるのは……堪んないですよ」
ちゅっと軽い水音を立てて降ってきた柔らかい唇を迎え入れながら、ああ、そういや拒否権あったじゃねえか、セーフワード言やあよかったのかと今頃思い至ったがもう遅い。
その声で、その手てこいつに褒められるのが、なによりこいつに求められんのが、どうやらおれにとっても堪んねえらしいから――
ああこれ、キス――してんだな。
人間、想定外の出来事に直面すると意外と冷静になれるっつうか。おれが男にキスされる側になるなんて現実感がなさすぎて、逆にこの状況を確かめて噛み締めている自分がいるらしい。
でっけえ男の口に覆われて、粘膜同士が触れれば柔らかくてあったけえ。力強い意思を持った舌先に促されるままなんの疑いもなく侵入を許せば、一気に奥までかき回されておれの舌まで探られ絡めとられてく。それが全然嫌でもなくて、もっと先まで知りたくて、気づけば腕を伸ばして求めていたのも無意識で。
「っ、ちょ」
「は、ふは」
おれに引き寄せられた冴島の身体は支えが崩れて、そのまま伸し掛かる恰好で落ちてくる。完全に身体が密着すれば、とっくに熱を帯びているのはおれだけじゃなく、お互い様だとダイレクトに伝わって来るほど明らかでたまんねえ。
離れていくのが惜しくて唇を捕まえて繋がったまま、いいところを探しあてるように腰を上げてお互いの硬いブツをぐいと押し付け合うのは気持ちいいし、他人のちんこをそんなに愛おしく思える日がくるなんて、なんだかおかしくて勝手に口角が緩んでく。こいつともっと気持ちよくなりてえし、してやりてえ、なんてあまりにも自然にそう思えた自分に驚きながら、はち切れそうなそこにそろりと手を伸ば――「待って」
「あ、え……?」
「ああ、すいません。待って下さって、えらいです」
「お、おう……?」
突然の待ったがかかって反射的に手を引っ込めながら見上げれば、ひどく曇った眼鏡はめちゃくちゃにずり落ちかけてて視線が直接降って来る。こんなときまで律義に褒められながら、目が合った瞬間にぼすんと抱き寄せられたらどっちの音かわかんねえほど心臓はバクバク煩くて。
「積極的なあなたも惜しいんですけど……今触られると、ちょっと無理なんで」
「……は?」
「言ったでしょう、最後までしたいって」
「……っ、さ、」
おれの頭を撫でていたはずの手のひらは、気づけばすうっと下まで降りてケツをひと撫でしてはぐにぐにと捏ね回してやがる。いやお前、そんなにねちっこい触り方なんて今まで知らね……いやまて割れ目をつついてんじゃ、
「ちょ、まっ」
「できるだけ、優しくしますね」
「いや、ちょ」
まさか自分がそんな台詞を囁かれる日が来ようとは。ちょっと悔しいが無駄にいい声が身体に廻って腰がひゅっとなる。
ってんなこと言ってる場合じゃなくて。
「ああ、別にお仕置きがよければ」
「ちが、っ」
「……なんて、悪いようにはしませんよ。ほら、そのまま。力抜いて」
いやコマンド! 拒否権ねえだろが、もう別にいいけど。
「そう、とっても上手です」
「は……」
「じゃあ、腰上げてみましょうか。そう、見せて」
「っ……!」
命令なんて意味がねえほど脱力してる身体はされるがままに、慣れた動きで背中に枕が差し込まれればおれはもう間抜けな姿で全部丸見えで。
「ん、いいですね」
「そりゃ、お前が」
まさに言葉の通りに、全部手取り足取りやってんだから。おれはただただ褒められてるだけでくすぐったい。
「俺は……Domですけど、別に『従わせたい』わけじゃないんです」
「うん。……っあ、っ、ちょ」
仰向けに晒された肌を確かめるように指の腹ですうっとなぞられて、わざとらしく引っ掛けられた乳首を弄んでくるから反射的に変な声が出る。男の乳首なんてなんにもねえはずなのに、こいつに突っつかれるだけできゅんと腹が浮くのはまだ認めたくはない、のに。
「だけど、Domであり、男ですから。自分の言葉や行為に感じてくれるのは……堪んないですよ」
ちゅっと軽い水音を立てて降ってきた柔らかい唇を迎え入れながら、ああ、そういや拒否権あったじゃねえか、セーフワード言やあよかったのかと今頃思い至ったがもう遅い。
その声で、その手てこいつに褒められるのが、なによりこいつに求められんのが、どうやらおれにとっても堪んねえらしいから――
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