双子の王と夜伽の情愛

翔田美琴

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1話 美しき少年

 大帝国が圧政をしく村の片隅にとある美しく若い男性がいた。明らかに町娘達を簡単に上回る端正な顔をした少年だった。
 少年は今、とある泉で洗濯に精を出している。この泉は村の伝説では『浄化の泉』と呼ばれる所だが、普段から洗濯や飲み水の確保に使っている少年は、一向に染みが付いた洗濯物の汚れが取れないので愚痴をこぼす。

「何が『浄化の泉』だ。洗濯物が全然きれいにならないじゃないか」

 この浄化の泉に来て何時も思い出すのはとある男達の言い争いだった。

『嫌だ! 近くにある泉で顔を洗わせてくれ!』
『駄目です! 殿下! 外の汚れた泉で顔を洗うなどと、どんな水なのかわからないのですよ?』
『嫌だ! 離して! 離してくれよ!』

 物陰で見つめた時は、人攫いか何かだと思った。しかし、どうもあの泉で顔を洗いたがっていたのは貴族かも知れない。
 纏っていた衣服は貧乏人が着るような服では無かった。
 そして彼が見た瞳の色は変わっていた。
 黄金色の気高い瞳だった。
 一体。あの少年は今でも元気にしているのかな?
 でも関係ない事だから洗濯物を手早く終わらせ、少年が住む何時もの日常へと戻った。
 少年が洗濯から帰ると、今日の収穫作業を行う。トマト。人参。かぼちゃ。ジャガイモ。まあまあの収穫だ。
 さてこの収穫した野菜で何を作ろう?
 それを考える時間が楽しくて仕方ない。
 村に戻ると、村人達は彼の為に差し入れを持って待っていた。

「おーい! エミール! お前の大好物の鱒の魚を釣ってきてやったぞ。持ってけよ」
「こ、こんなに沢山!? いいよ。食べ切れないじゃないか」
「お前は身体が華奢過ぎるんだよ。もっと食べて筋肉付けろよ」
「荷物持ってやろうか?」
「助かっているからいいよ」
「おーい。エミール! 隣町から届け物が来ているぞ!」
「ゴメンね。お父さんが呼んでいるから」

 質素な家に入るエミールは、隣町から贈られた品物を見てため息をつく。なんだ…金じゃないのか。代りに贈られたのは大量の食料品だった。
 こんなに食料品があっても、腐らせるだけだと意識の底で想いながら、でも…。
 今夜は少しだけ贅沢な食事がとれそうだと思った彼は台所に立ち、今夜の食事を作り出した。
 
「おおっ。今夜は豪華な食事だな、エミール?」 
「お酒もあるよ。父さん」
「美味しい料理に旨い酒がのめるのもエミールのお陰だな。みんな。お前の美しい顔を見にやって来て土産をくれる。それなのに、帝国は何様だ!毎日のように酒池肉林のような宴を開いているのだろう!?ふざけやがって!」
「今夜の料理は自分でも上手くいったと思っているんだ」
「お前が美人に生まれてきて良かった。お陰で飢えに苦しまなくて済むからな」
「何を言っているの? 父さん」 
「酒を飲み過ぎたかもな」

 大帝国の名前はパトリス帝国。
 中世社会に存在する大帝国で、周囲からは余りの皇帝の強さに恐れを抱き、植民地支配を受ける国もかなりある。
 そして、パトリス帝国はとある双子の兄弟が、帝国の皇帝と宰相を務めている事で知られている。
 そしてまだ皇帝には世継ぎは誕生して居ないのである。
 それは何故か?
 皇帝は実は顔にマスクを着用しており、素顔を見た者は、いないという。そして女性と夜を過ごそうとすると激しく拒絶して、側室とも交じらわないという。
 いつまでも世継ぎを作らない双子の兄。それを打開させるべく、双子の弟エリオットは何か手はないか考えていた所に、宮廷魔導師の女性アネットから、あの『浄化の泉』の近くの村に飛び抜けた美貌を持つ少年がいるという情報を得た彼は兵士に命令して連れてこさせる事にした。

 月夜が浮かぶ夜。ベッドなど無い少年は納屋で藁を敷いて眠りに付いた頃、突如として薬を吸わされた。そのまま、深い闇に落ちる。

「なんだ?! この匂い…? 意識が─」 

 悲痛な叫びを上げる暇も無いまま、意識が闇へと連れ去られた。

 エミール少年が光で目を覚ますと見た事が無い見知らぬ土地でエミールは起きた。 

「何処だ!? 此処は?」
「目を覚ましたようだね」 

 そこには銀髪に灰銀色の瞳が印象的な男性が待っていた。特徴的な髭まで生やしている。そこそこダンディな男性だ。

「王の勅命でね。君をここまで連れて越させてもらった」
「何で俺がこんな所に? その前にアンタ誰だよ!」
「私はエリオット。大帝国パトリスの宰相を務めている。兄皇帝エリックの弟だ」
「何故、こんな所に呼んだの? 俺を」
「君の役目は皇帝の夜伽だ。美しいお前に相応しい役割だろう? さあ、その皇帝に会わしに行くぞ。この服を着ろ!」
「嫌だ! 離せ! 離せよ!」
「うるさい小僧だな!」
「言う事を聞け!」
「うるさいなら猿轡させてしまえ」

 エミールの両隣にいる兵士達は猿轡を掛けて衣装に無理矢理着替えさせた。
 エミールは呻く。だが、それを聞く耳を持たない彼らだった。
 そうして、エミールの相手となる皇帝の部屋へと案内された。
 皇帝は1段上でその顔を隠している。部屋に飾られたカーテンで。
 やがて、宰相と思われる男性が、皇帝の性奴隷となる見目麗しい少年の紹介を始める。

「陛下! 命じられた少年を連れて参りました。見てください。この雪のような白き柔肌、絹のような触り心地ですよ。そこらの町娘など目じゃありません」

 エミールは呻きながら無理矢理半裸にされる。彼の無駄な肉のない肢体が皇帝の前に晒される。
 エミールは何故か興奮して、自分自身を大きくしていた。

「勃起しているのか。感度は良さそうだな」

 宰相エリオットは無理矢理、エミールの身体を調べ始める。 
 エミールの悲痛な呻き声が猿轡から漏れる。
 うつ伏せにさせて下着をはかれていない下半身の尻の穴を調べる。遠慮なく。

「ウウッ!!」
「どうやらまだ未開発らしいです」
「そろそろ、身体検査は良いだろう? 猿轡を外してやれ」

 兵士が猿轡を外してくれた。
 身体を悪戯されたエミールは屈辱感でいっぱいだ。何故こんな場所に案内されて性奴隷になるのか訳がわからない。
 思わず怒鳴った。
 皇帝は姿すらもまともに見せていないからだ。

「待てよ! 人の一生を狂わせておいて自分は顔を見せないなんて何様のつもりだよ!?」
「バカ。皇帝陛下に向かってそんな口を叩くな」
「構わんさ。エリオット」

 黒尽くめの皇帝の衣装を着るこの皇帝はエミールに対して、こう傲慢に呟き自らの顔を見せた。あの鼻までおおわれた布地を自ら外して見せてやったのだ。

「これが私の顔だ。よく憶えておけ」

 エミールは驚愕した。
 そこには黄金色の瞳を持つ気高い皇帝の姿があった。黒髪の長い髪が艶やかに落ち着いた輝きを宿していた。そして…その皇帝の顔には見るも無残な何かの痣みたいなものが左頬全体に広がっていたのた。
 そうして彼エミールと皇帝の物語の幕は上がる。
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