翔田美琴のエリオットシリーズ

翔田美琴

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私が愛したアサシンドクター

2話 狂気の愛のはじまり

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「こんばんは。エリオットさんは御在宅でしょうか?」

 チャイムと共にその”依頼人”の声が聞こえた。彼は真っ黒な服装でその”依頼人”の前に姿を現す。
 
「君が手紙に書いてあった女性、シーナさんかな」
「はい……」
「どうぞ。中に入ってくれ。早速だけど、契約の話をしよう」

 彼女は大きいバッグを持ち姿を現した。あのバッグの中には現金が入っているのだろうな。それだけ思って、彼は奥の客間に案内する。

「それじゃあ、契約といこうか。現金80万ギルダ。すべて一括で用意してきたかな」
「はい……」

 彼女、シーナはバッグから80万ギルダの札束を、ガラスのテーブルの上に載せた。彼はその札束を見て、確認する。
 きちんと80万ギルダぴったり用意されていた。

「ピッタリだね。契約は成立だな。これだけは付け加えておくけど、この金と事が終わり次第、「もう一つの報酬」を君からいただかせてもらう。いいな?この街から一歩でも外に出たら君を永遠に続く地獄に落とさなければならない。私としてもあんまりしたくないんだ。大人しくしていてくれ」
「はい……」
「外に出られるとも思うなよ?君の背中を追う者がいつもそばにいることを忘れるな」
「は、はい……」
「契約はこれで締結だ。さっさと帰ってくれ」
「あなたは不愛想な人なんですね。昼間はあんなに優しいのに」
「…これもまたビジネスだからね」

 彼は目を閉じ、腕を組んで、ソファに寄りかかる。彼の漆黒のシャツの胸元が少し開かれている。そこに微かな色気を感じた依頼人は彼を見つめた。
 纏わりつくような視線を感じた彼は、胸のボタンを閉めて、彼女に帰るように促した。

「それじゃあ……帰ってくれ。標的はここ一日か二日で始末する」

 彼女は名残惜しそうに彼の自宅から、大きなバッグを持ったまま帰った。
 帰り道を寂しそうに戻る彼女に、ふと疑問が走る。

(あなたは不愛想な人なんですね。昼間はあんなに優しいのに)

 その言葉に彼女は自分の昼間の姿を知っている人物なのかな……と思った彼だがそこでやめた。

「どうせ……一回限りの関係だろうからな」

 そうして、彼はおもむろに身支度に入った。あの暗殺者への装束に姿を変えるために。
 服は漆黒の割と洒落たシャツ。インナーに灰色のシャツを着て、ズボンは革製の漆黒のズボン。靴は戦闘用の革靴。最後に上に黒いコートを羽織り、そして裏側に拳銃を忍ばせた。
 ちなみに彼は二丁拳銃の使い手で、普段の暗殺では主に左側の拳銃「サイドワインダー」という拳銃を使用する。その弾丸は彼独特の猛毒性の即死弾が装填されている。
 彼は毒の知識は並外れた才能を持ち、それを応用して猛毒の即死弾を独自の技術で弾にしている。その「サイドワインダー」にはサイレンサーを取りつければ、身支度は終わり。
 後は真夜中の街を標的を探して殺すだけだ。そうして「アサシンドクター」となった彼は自宅からまるで影のように去り、今宵の生贄を求め夜の街へと消えた。
 標的となった女は今宵もその新しい浮気相手と夜の楽しみをするために、明らかに男を挑発するようなあからさまなドレスを纏い、鼻歌混じりで夜を闊歩する。
 その後ろにはアサシンドクターが宵闇に隠れて観察している。そして、静かに銃を向けると何も躊躇せず発砲した。サイレンサーのおかげで音は全くならず、その女の胸に撃ちこまれた。
 女が倒れる。彼は最後の追い討ちにもう一発、即死弾を撃ちこみ、今宵の仕事を迅速に終わらせた。
 彼は振り向くこともせず、そのまま背を向けて、夜の繁華街から、比較的暗い場所を歩いて、自宅へと帰った。

「ふうっ……」

 帰宅する頃には、真夜中の2時を回っていた。
 でも、何だか今日は、酒でも飲んで寝酒をあおってから寝たい。そのままの格好で、コートと拳銃をいつもの場所に置いて、度数の高い酒を用意する。
 アイスピックで氷を割って、グラスにカランと入れると、そのままボトルのウィスキーを開けていれて、一気に飲んだ。
 そして、アニーを想う。この仕事を知っているのもアニーだけ。
 今頃、彼女は何の夢を見て、眠っているのかな。そんなことを想って、グラスのウィスキーを飲んで、程よい酔いが回ったところで寝ることにした。
 彼のベッドは品が良い黒いベッドだった。薄めの毛布は白い。仰向けになって思いにふけった。傍らには手紙が置かれている。

「考えるだけ無駄かな」

 一言だけ呟いて深い眠りへ、その意識を落としていった。
 そうして、朝が来る。まだ眠り足りないのか身体が少しけだるかったが、起きて、シャワーを浴びる。
 昨夜の寝酒で汗ばんだ身体を流して、また昼間の医師の格好に戻った。
 
「後は、仕事の報告をして、最後の報酬を受け取り完了だな」

 何気なく流しているテレビ番組のニュースでは、昨夜、彼が始末した女のニュースが流れている。
 ただの殺人事件がありましたというあっさりとしたニュースが流れるだけで、それだけである。世間からは殺人事件があったんだという意識だけ向けられて忘れ去られるのが常である。
 翌日の営業時間に、シーナが現れた。
 彼女は体調を崩していた。昨日から頭痛がして熱もある。風邪でも引いたのかと思い、レムクリニックを受診した。
 そこで彼女は昨夜の「アサシンドクター」に出会う。
 彼は患者がシーナであることを顔には出さず、フレンドリーに診察を開始した。

「昨夜から頭痛が?熱はありますか?」
「37度8分くらいあります」

 彼は医師の白衣を着て、ちょうどいい漢方薬があると彼女に話しかける。

「イライラとかありますか?昨夜は眠れました?」
「いいえ。このところ、なかなか寝付けなくて」
「やはり、その不眠からきているのでしょうね…。丁度いい漢方薬がありますが、飲んでみますか?」
「どんな効果があるんですか?」
「不眠からくるイライラの緩和、頭痛の緩和、解熱作用、それから貧血にも効果がありますよ。効果が出るまで一カ月近くかかりますけど、お好みであれば処方しますが」
「お願いします。先生」
「それじゃあ、試しに3週間分出しておきましょう。何が異変を感じたらまたこちらへかかってください」
「ありがとうございます」

 診察室から彼女が出ていく。彼女が去った後、彼はアニーと会話を交わした。

「あの子……大丈夫かしら?」
「まあ、とりあえずは身体が調子悪かろうと来てもらうがね」
「彼女は気付いているのかしら」
「あの調子だと気付いているな……アニー」
「わかっているわ。もしもの時は…」
「そういうことだ…」

 その夜。シーナが体調を戻して彼の自宅へと来た。チャイムを鳴らす。
 すると、夜の格好である漆黒のシャツ姿で、彼が玄関に出た。

「こんばんは」
「やあ…。待っていたよ。どうぞ」

 彼は和やかに迎え入れる。昨夜の不機嫌そうな雰囲気とは一転して、どこかそれは”妖艶”な空気を纏っている。
 昼間に”医師”として接していた彼は、少し体調の心配をしつつも、最後の報酬をもらうための話をするために客間へと案内する。

「昼間はだいぶ調子が悪そうに見えたけど、元の体調に戻ったようだね」
「あの後、少し横になって休みました」
「そうか。なら、今夜の報酬はきちんともらえそうだな」

 そして、ガラスのテーブルをはさんで向かい合うように座った。今夜の彼はどことなく座り方が色っぽい。ソファにどっかり座って足もリラックスして組んでいる。
 軽く開いた胸元も直そうとしない。そのままだった。

「これで俺との契約は終わるね。最後の報酬をいただこうか。……どうした?」
「ここでするのですか…?」
「どこでも好きな所でいいがね。ベッドでもいいし、ここでもいいし、何なら…シャワーでもいい」

 彼が意地悪く囁く。ありったけの色気を込めて。

「それとも、俺に無理矢理迫られたいかな……。容赦はしない。本気で君を奪うけど」

 彼女は物欲しそうな目で彼を見る。彼はその目で「なるほど…」と静かに呟いた。

「その目は俺が欲しい目だな。なら……とことん君を味合わせてもらおうか」

 彼はシーナに近づくといきなり左腕を掴んで、後ろに回させて、ソファにうつぶせに倒させた。
 彼女の真後ろで身体を密着させ、後ろから唇が首筋に触れそうなくらいに近づいて、掠れた声で囁いた。

「さあ……どうしようか……ふふっ」
「待って…!」
「待つ気はない。君の目は自分を犯して欲しいと言っている。楽しませてもらうとしよう」

 左腕を右手で掴んで固定したまま、器用に左手で彼女のワンピースのボタンを外し始める。そして肩から露出させてふくらみをいじりだす。
 ふくらみを完全に露出させると、今度は後ろから両手でワンピースを腰まで下ろして半裸にする。そして感度の良い乳首を擦り出した。彼の口から甘い吐息が吐かれる。
 背中に彼の唇が這う。舌先で線をなぞるように舐めて、豊かなふくらみを両手で覆って、揉み解す。
 彼女が喘いだ。今度はそのまま右手がそっと下半身を確かめるようになぞりながら花びらへといく。左手で揉みながら、ワンピースの下の更に下、パンティー越しに触り出す。

「微かに濡れている…。さっさと取り払うか。これ」

 ワンピースを一気に下半身を通して脱がした。床に落とす。パンティーのみになってしまったシーナ。その秘裂を右手でなぞった。

「はあぅっっ!」
「その悲鳴はいいね」

 シーナが自分と向かい合うようにソファに横になり仰向けになる。まるでまだ服を纏ったままの彼に覆いかぶされた格好になっている。
 すると、彼女が自分のシャツに手を伸ばして、ボタンを外し始めた。彼が細身の筋肉を少し見せた。そのまま彼女の唇が自分の唇に触れそうになると

「キスはダメだ。こんな男でも心はある。俺は心まで君には売らない。例え、身体を売ったとしてもね」
「何で……?キスを……キスをください」
「ダメだと言っているだろう」

 そのままパンティーを穿かせたまま、彼は早々に己を花びらに入れる。
 そのまま、激しく腰を使い責め立てる。服を半分纏ったまま、ズボンを穿いたまま、己だけを出して荒々しく攻めた。

「あうっ!はあっ!あう……はぅ……!」
「イカせてやるから抱け。俺を。抱き締めるくらいならする」

 彼が彼女の上半身を起こして自分の抜きかけた服の身体に密着させた。彼女がしがみついてきた。
 その顔は理性を保ったまま、冷めた情熱で女を抱く顔があった。そうして、彼女、シーナは絶叫をあげて、彼の冷めた快楽の絶頂へと上がった。

「……こんなことをしている時点で…俺は身体を売っているのかもな……女の金と他人の命を買って……」
「どうして……」
「どうして……か。俺も聞きたいよ」

 一通りの行為を終わらせて、彼女は纏っていたワンピースを着る。彼もまた乱れた服を整えている。無言のままお互いが服を整える時間が過ぎた。
 そうして、彼はあっさりと契約の終了を告げ、自宅から彼女を見送って、素直に帰らせた。

「これで俺との契約は終了だ。もう赤の他人同士だ。お帰り、お嬢さん」
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