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シルバーヘアーのメロディー
20話 シルバーヘアーの忙しい一日
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七月十五日。この日は本当に朝から慌ただしい一日だった。
まずは、朝。朝食を食べたら、まずは娘の通う中学校に向かって、朝の最後の練習を。
一時間程の練習に付き合ったら、今度はロンドン市内のオーケストラ公演の為に、会場へ行き、時間ギリギリで会場入り、ピアノの調律師と共にチューニング作業にリハーサル。それが終わると、あっという間にランチの時間。そのランチの時間の間に、娘のスマホにメールを送信し、状況を訊く。
二時間後の十四時から、そのオーケストラ公演がスタートした。
今回はベートーヴェンが中心で、私はピアノソナタ第8番「悲愴」を演奏する。このピアノソナタ第8番「悲愴」は第2楽章が有名だ。第2楽章は”ゆっくりと歌うように”とよく教えられる。また”嘆きの歌”とも言われている。
大体、そのベートーヴェンのオーケストラ公演が二時間くらいあり、その後は十八時から、イギリス国内の中学が集結して、行われる、合唱コンクール大会がある。
これほど目が回りそうな一日というのも珍しい。
幸いだったのは、どちらもロンドン市内で行われるものだったという所か。しかし、いかんせん十八時から行われる合唱コンクールも歴史はそれなりに古く、格式も高く、由緒ある大会だった。故に結構、観客も多く来るわけで、道路の混雑が心配だった。
もしかしたらその道路の渋滞に引っかかって、少し遅れるかも知れない。一応、ジェニファーのスマホにはそうメールを送信しておいた。
今はそのベートーヴェンのオーケストラ公演の真っ只中。私はロンドンのオーケストラと共に、ピアノを弾いている。今はこれにとにかく集中だ。イギリス国内でも有名なオーケストラと共演している。
ここで下手な演奏をするわけにはいかない。まずはこれに集中しないと、な。
そうして音楽の世界へ、美しい旋律と共に浸って行く私は、あっという間と思える二時間のオーケストラ公演を無事に終わらせた。
だが、今日の本番はむしろこれから。
今の時間は十七時十五分。さすがにこれでは間に合わないので、今日だけは早めにあがらせてもらった。慌ただしく席を立つ私に、オーケストラの皆は少し笑っていた。
「どうしたのかな? 彼?」
「ああ、知らないんですか? 彼、この後、あの合唱コンクールに行くんですって」
「あの有名な合唱コンクール? 彼、審査員か何かしているの?」
「違うよ。彼の娘さんが通う中学校の応援があるからだって」
「相変わらず、娘さんには甘いな。彼」
「それに、噂じゃ、彼、その中学校の聖歌隊の指揮を執るらしいよ?」
「どんな指揮をするのか見てみたいな?」
「あれで意外とノリやすいタイプだからね。彼」
「でも、何だか今日のエリオットさんは活き活きと演奏していましたね」
「多分楽しみなんだよ。きっと」
「でも、間に合うかな…? ここから、合唱コンクールの会場まで車で十五分はかかるよ?」
「今日のエリオットさんは飛ぶようなスケジュールね」
私も少し焦っていた。道路はやはり思っていた通り、渋滞が発生していて意外と先に進まない。
既に合唱コンクールの開始が五分前に迫ってきている。これは、まずい。
運転中にスマホを見るわけにもいかないが、ジェニファーからの連絡のメールが来ている。
彼女の中学校の出番は最後だという。だが事前の準備や練習もしたいだろうから、急いだ方がいい。
カーナビゲーションシステムで、私は裏道を捜す。
そして裏道を見つけた私は、赤いミニクーパーをその裏道へと走らせた。
ちなみに服もそのままタキシード姿だった。着替えている余裕も無かったのだ。
でも、ここで警察にスピード違反で捕まるのも避けたいので、スピードには気をつけた。
違反切符を切られている時間もない。もしかして、これは結構まずいか?
そう思いかけたら、合唱コンクールの会場のホールの外観が、薄い暗闇から街灯に照らされて見えるのが確認できた。私は胸をなで下ろして、会場の駐車場に赤いミニクーパーを停めた。
鍵を忘れずにかけた私は、タキシード姿で荷物を持って、会場へと急ぐ。
あらかじめ渡された関係者のパスを見せて、私は関係者入り口から、ジェニファーのクラスが控える楽屋へと急いだ。
その間、ジェニファーのクラスの皆は、私をまだか、まだかと待っていたのだという。
「エリオットさん、まだかな??」
「ジェニファー? エリオットさんにメールを送った?」
「うん。今、渋滞に巻き込まれているみたい」
「最後に出番で良かったね」
「でも、エリオットさんは約束を破るような人じゃないから。ねえ? ジェニファー?」
「そうだよ。お父さんを信じて待っていてあげて?」
「何だか緊張してきたね」
「うん。そうだね」
「メアリー、大丈夫?」
「う、うん。ちょっと緊張してきたけど、大丈夫」
その時だった。私は急いで彼女たちと合流したのは。思わず駆け足で楽屋裏に姿を現したよ。
「みんな!」
「エリオットさん!」
「凄い。タキシード姿で来たよ!」
「格好いい」
「すまない。待たせたね。もう大丈夫だ」
私が現れたことで皆は一気に緊張から解けた様子だった。
クラスメイトの皆は、みんなで一緒に私のことを待っていてくれていたのだ。
しかも、ジェニファーのクラスメイトたちは私の格好に驚きと共に歓声もあげている。
演奏会のタキシード姿のまま、そのまま会場入りしたのだから。
だがその姿が余程引き立つのか、むしろそのまま聖歌隊の指揮を執って欲しいとも言われてしまった。
「すごい! タキシード姿だよ!」
「私、生で見たよ! タキシード姿のエリオットさん」
「エリオットさん。大丈夫ですか?」
「はは。演奏会が終わった後、飛ぶように来ましたよ」
「お父さん、お疲れ様」
「ああ。ジェニファーのクラスメイトたちは、みんな、私を待っていてくれていたんだな。良かったよ。間に合って」
私は思わずそこでため息をついたよ。本当に間に合って良かった。だが、そう安心もしていられない。
今度はこの子たちの舞台を演出しなければならない。指揮を任されたからには、中途半端にはしたくない。今度は私も歌って踊るくらいの気持ちでいかないと、な。
演奏会独特の緊張からは解放されたが、今度は別の緊張感が襲ってきた。
果たして、私の指揮でこの娘の通う中学校が優勝出来るかどうか。
でも、あれだけ、血のにじむような練習をしてきたのだ、クラスメイトたちは。なら、私がそれをぶち壊すわけにはいかない。
聖歌隊の指揮なのに、タキシード姿で良いのだろうか?とも思う。
確かにこの服も、男性の夜の礼服としては正しい。だが、聖歌隊の指揮をタキシード姿でするというのは聞いたこともない。大体、聖歌隊の指揮と言ったら、男性はいわゆる、ローブという要は神父の格好というのが定番だ。もしくば、普通の黒いスーツ。
その聖歌隊の指揮をタキシード姿でする中学校などあるのだろうか?
私の心配はそれの一言に尽きた。
だが、担任のクリスチーナ先生はむしろその方が意表をつけるとアドバイスしてくれた。
「その心配は大丈夫だと思います。むしろ、エリオットさんが教えた聖歌は、普通の聖歌よりテンポのいい聖歌です。それにエリオットさんだって、合唱コンクール当日は服装にこだわらないで歌で勝負しようと言っていたんですよ? なら、エリオットさんがまず、そのこだわりを捨てた方がいいんじゃないでしょうか?」
確かに。そうだ。本番の前に私は、みんなにこう伝えた。
”合唱コンクールは格好で勝負するものではない。歌で勝負するんだ”、と。
なら、私からその固定観念を捨てないといけないよな。
なら、むしろこのタキシード姿で、ひとつ、やってみるか。
そう思った私は、すぐに吹っ切れた。みんなにも堅苦しいローブを脱ぐよう言ったよ。
「みんな。そのローブは脱いで、自由な服装で、思う存分、歌ってくれ?」
「私もこんなタキシード姿でするけど、いいよな?」
その言葉に、クラスメイトたちは歓声を上げた。
「して! エリオットさん」
「そのタキシード姿で指揮をするエリオットさん見たい!」
「みんな、さあ、ローブを脱いで。みんなの制服で、舞台に上がって思い切り歌おう!」
「はい!」
ジェニファーのクラスメイトたちはみんなで騒いで、堅苦しいローブを脱いで、あのどこかの私立中学ではないかという個性的で綺麗な制服姿を見せた。みんながみんな、それぞれ個性的な着こなしをしている。こうやって眺めてみるとみんな魅力的な女子生徒だった。
いつの間に私はロリコンになったのだ?ロリコンになった憶えはないのだが…。
そうこうしているとだんだん出番が近くなってきた。
一応、私もステージの場数は踏んでいる。そんなには緊張しないはずだと思っていたが、実はそうでもなかった。もしかして私が一番緊張しているのでは、とも思う。
だが、それは娘のジェニファーが私達の間でしかわからない合図で励ましてくれた。軽くジェニファーが私と似た瞳の輝きで頷いてくれた。軽く微笑んでくれた。
そうするとどうだろうか?今までの心臓の高鳴る鼓動がどんどんと普段の鼓動に落ち着いてきたんだ。
安心できた。心から、本当に。
「セントマリアンネ学院中学校の皆さん。スタンバイ、お願いします」
係員が私達の出番を知らせてくれた。私達は円陣を組んで、気合いを入れた。
「みんな! いいね! 泣いても笑っても最後の学年末だ! 後悔はしないようにして、歌おう!」
「はい!」
その頃、コンサートホールの方では、私達の出番が最後というアナウンスが流れていた。
「それでは、いよいよ第五十一回イギリス合唱コンクールの最後の中学校になりました。セントマリアンネ学院中学校の聖歌隊です!唄は「Hail Holy Queen」。指揮者はエリオット・レムさんです!」
舞台に上がる私達。みんなで一緒に最後の歌が流れた。沈黙がしばし流れる…。
ピアノ担当の愛娘に、私は瞳を向ける。そして合図した。
そして今までの練習の成果が試される約四分間が始まった。
Hail holy queen enthroned above
(天にて戴冠された聖なる女王よ)
Oh Maria
(おお、マリア)
Hail mother of mercy and of love
(慈しみと愛の母に幸いあれ)
Oh Maria
(おお、マリア)
Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)
一瞬の沈黙の後、タキシード姿で指揮を執る私はジェニファーに手で合図した。
そして、ここから、彼女達にも手拍子を打ってもらう。
そして、彼女達は波に乗るように明るい声でそのゴスペルバージョンの聖歌を歌いだす。
Hail holy queen enthroned above
Oh Maria
Hail mother of mercy and of love
Oh Maria
Triumph all ye cherubim
Sing with us ye seraphim
Heaven and earth resound the hymn
Salve, salve, salve, Regina
ジェニファーが奏でるピアノが小気味良い間奏を奏でる。
Our life, our sweetness here below
(この世には我らの命、我らの素晴らしき事ありて)
Oh Maria
(おお、マリア)
Our hope in sorrow and in woe
(悲しみ、苦しみの中にも、我らに希望あり)
Oh Maria
(おお、マリア)
Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)
メアリーが綺麗なソプラノを最高の声で響かせる。その間も私は身体をリズムに身を委ね、指揮をタキシード姿でする。私が笑顔でみんなを誘導していった。思わず踊るように指揮を執った。
A-lle-l-uia
(アレルヤ!)
Mater a mater in termerata
(最高の母性を持った、母の中の母)
Sanctus, sanctus, donimus
(聖なる主よ)
Virgo respice mater ad spice
(星々の冠をいただくマリア様)
Sanctus, sanctus, donimus
(聖なる主よ)
A-lle-l-uia
(アレルヤ!)
ミリアがハイトーンのソプラノを響かせた。綺麗だ。みんな、その調子!
私は腰でリズミカルに揺らし、そのままついでに一回転した。のってきた。私も。
Our life, our sweetness here below
(この世には我らの命、我らの素晴らしき事ありて)
Oh Maria
(おお、マリア)
Our hope in sorrow and in woe
(悲しみ、苦しみの中にも、我らに希望あり)
Oh Maria
(おお、マリア)
Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)
最後のReginaの部分でメアリーは最高のソプラノでついでにビブラートも効かせて歌いあげてくれた。そして最後の締めに相応しい最高の聖歌が終わった。
その瞬間、観客はスタンディングオベーションで、私達の演目を評価してくれた。
惜しみない観客の歓声、賛辞、拍手。
私も納得できる出来だった。
「みんな! 礼をして?」
最後に深く礼をした私達は、静かに舞台を去った。最高の笑顔と共に。
こうして、審査員による採点がされ、後は結果発表を待つだけだった。
みんなは胸をドキドキさせている。私も同様に。
第三位と第二位、第一位の発表がされ、最後の最優秀賞が発表されようとしている…。
「最優秀賞は、セントマリアンネ学院中学校聖歌隊です!」
その瞬間、みんなは弾けるように舞台に姿を現す。生徒一人一人にトロフィーが授与された。
最後に優勝トロフィーを代表で、私が受け取ることになった。
「素晴らしい指揮でした! エリオット・レムさん」
「いいのかな? 私が受け取って?」
「遠慮しないで受け取って! エリオットさん!」
トロフィーを受け取るなんて、人生初だったよ。
最後に優勝トロフィーを受け取った、タキシード姿の私は、そのトロフィーを天に掲げた!
こうして、私の忙しい一日は、最高の結果で幕を閉じる。
感動冷めないみんなで楽屋裏で話した。
「みんな! 今日は最高の出来映えだった。やったな!」
「凄い! 信じられない! 優勝だよ! 優勝!」
「私達、勝ったんだ!」
この結果には、担任のクリスチーナ先生も校長先生も満足してくれた。
「すごいな。さすが、世界に名前を知られるピアニストだな。エリオット君」
「ありがとうございます! エリオットさん!」
「エリオットさん! ありがとうございます!」
「ここまでこれたの、エリオットさんのおかげだよ!」
「いいや。私だけのおかげじゃない。君たちの努力の成果だよ?」
「私がいない間も、みんながずっと努力して歌を歌い続けた結果さ」
「何か、今日のエリオットさんはノリにノッていたよね。アレルヤの所で一回転した所、良かった!」
「何かあの部分で身体が勝手に動いてね」
「それに一緒に歌ってもくれていた」
「昔を思いだしたよ。私もあの聖歌は歌ったことがあるから」
「本当にありがとう! エリオットさん!」
私は役目を果たし終えると、興奮冷めないまま、ジェニファーと一緒に家路についた。
この日は、これで幕を閉じたわけではなかったんだ。実は。
「ふう…。何か…今日は目が回りそうな一日だったな」
「そうだね。お父さん」
赤いミニクーパーを運転しながら、車内で話す。
周囲はもう暗闇が支配していた。夜の街灯が私達を照らす。
狭い車内の中でとりあえずは約束を果たしたことは娘に言ったよ。
「でも、これで役目は果たした。約束通りに、な?」
「うん!」
「ねえ? お父さん?」
「何だ? ジェニファー?」
「今夜はそのまま、タキシード姿でいてくれないかな?」
「何でだ?」
「そのお父さんの姿、好きなの。私が小さい時からずっと。だから、その姿のままで、私を愛して?」
「つまり、コスプレか?」
「だって、お父さんのタキシード姿、格好がいいんだもん」
最後に娘はとどめの一言を言った。
そう…。まるで蠍が急所を一刺しするように、心に重くのしかかる言葉だった…。
「そのタキシード姿で、今夜、私の処女、奪って?」
「……十七歳まで、待てないか?」
「うん。どうしても、今夜、奪われたい。記念に」
「トロフィーがあるじゃないか?」
「これはみんなとの想い出。だけど、処女を奪われることはお父さんとしか共有できない想い出だよ?」
「……」
まだ彼女は中学一年生。だけど、記念日としては確かにいいか…。
「わかった…。今夜、奪ってやる。このタキシード姿で君を奪ってやる」
低いトーンで噛みくだくように私はジェニファーに囁いた…。
まずは、朝。朝食を食べたら、まずは娘の通う中学校に向かって、朝の最後の練習を。
一時間程の練習に付き合ったら、今度はロンドン市内のオーケストラ公演の為に、会場へ行き、時間ギリギリで会場入り、ピアノの調律師と共にチューニング作業にリハーサル。それが終わると、あっという間にランチの時間。そのランチの時間の間に、娘のスマホにメールを送信し、状況を訊く。
二時間後の十四時から、そのオーケストラ公演がスタートした。
今回はベートーヴェンが中心で、私はピアノソナタ第8番「悲愴」を演奏する。このピアノソナタ第8番「悲愴」は第2楽章が有名だ。第2楽章は”ゆっくりと歌うように”とよく教えられる。また”嘆きの歌”とも言われている。
大体、そのベートーヴェンのオーケストラ公演が二時間くらいあり、その後は十八時から、イギリス国内の中学が集結して、行われる、合唱コンクール大会がある。
これほど目が回りそうな一日というのも珍しい。
幸いだったのは、どちらもロンドン市内で行われるものだったという所か。しかし、いかんせん十八時から行われる合唱コンクールも歴史はそれなりに古く、格式も高く、由緒ある大会だった。故に結構、観客も多く来るわけで、道路の混雑が心配だった。
もしかしたらその道路の渋滞に引っかかって、少し遅れるかも知れない。一応、ジェニファーのスマホにはそうメールを送信しておいた。
今はそのベートーヴェンのオーケストラ公演の真っ只中。私はロンドンのオーケストラと共に、ピアノを弾いている。今はこれにとにかく集中だ。イギリス国内でも有名なオーケストラと共演している。
ここで下手な演奏をするわけにはいかない。まずはこれに集中しないと、な。
そうして音楽の世界へ、美しい旋律と共に浸って行く私は、あっという間と思える二時間のオーケストラ公演を無事に終わらせた。
だが、今日の本番はむしろこれから。
今の時間は十七時十五分。さすがにこれでは間に合わないので、今日だけは早めにあがらせてもらった。慌ただしく席を立つ私に、オーケストラの皆は少し笑っていた。
「どうしたのかな? 彼?」
「ああ、知らないんですか? 彼、この後、あの合唱コンクールに行くんですって」
「あの有名な合唱コンクール? 彼、審査員か何かしているの?」
「違うよ。彼の娘さんが通う中学校の応援があるからだって」
「相変わらず、娘さんには甘いな。彼」
「それに、噂じゃ、彼、その中学校の聖歌隊の指揮を執るらしいよ?」
「どんな指揮をするのか見てみたいな?」
「あれで意外とノリやすいタイプだからね。彼」
「でも、何だか今日のエリオットさんは活き活きと演奏していましたね」
「多分楽しみなんだよ。きっと」
「でも、間に合うかな…? ここから、合唱コンクールの会場まで車で十五分はかかるよ?」
「今日のエリオットさんは飛ぶようなスケジュールね」
私も少し焦っていた。道路はやはり思っていた通り、渋滞が発生していて意外と先に進まない。
既に合唱コンクールの開始が五分前に迫ってきている。これは、まずい。
運転中にスマホを見るわけにもいかないが、ジェニファーからの連絡のメールが来ている。
彼女の中学校の出番は最後だという。だが事前の準備や練習もしたいだろうから、急いだ方がいい。
カーナビゲーションシステムで、私は裏道を捜す。
そして裏道を見つけた私は、赤いミニクーパーをその裏道へと走らせた。
ちなみに服もそのままタキシード姿だった。着替えている余裕も無かったのだ。
でも、ここで警察にスピード違反で捕まるのも避けたいので、スピードには気をつけた。
違反切符を切られている時間もない。もしかして、これは結構まずいか?
そう思いかけたら、合唱コンクールの会場のホールの外観が、薄い暗闇から街灯に照らされて見えるのが確認できた。私は胸をなで下ろして、会場の駐車場に赤いミニクーパーを停めた。
鍵を忘れずにかけた私は、タキシード姿で荷物を持って、会場へと急ぐ。
あらかじめ渡された関係者のパスを見せて、私は関係者入り口から、ジェニファーのクラスが控える楽屋へと急いだ。
その間、ジェニファーのクラスの皆は、私をまだか、まだかと待っていたのだという。
「エリオットさん、まだかな??」
「ジェニファー? エリオットさんにメールを送った?」
「うん。今、渋滞に巻き込まれているみたい」
「最後に出番で良かったね」
「でも、エリオットさんは約束を破るような人じゃないから。ねえ? ジェニファー?」
「そうだよ。お父さんを信じて待っていてあげて?」
「何だか緊張してきたね」
「うん。そうだね」
「メアリー、大丈夫?」
「う、うん。ちょっと緊張してきたけど、大丈夫」
その時だった。私は急いで彼女たちと合流したのは。思わず駆け足で楽屋裏に姿を現したよ。
「みんな!」
「エリオットさん!」
「凄い。タキシード姿で来たよ!」
「格好いい」
「すまない。待たせたね。もう大丈夫だ」
私が現れたことで皆は一気に緊張から解けた様子だった。
クラスメイトの皆は、みんなで一緒に私のことを待っていてくれていたのだ。
しかも、ジェニファーのクラスメイトたちは私の格好に驚きと共に歓声もあげている。
演奏会のタキシード姿のまま、そのまま会場入りしたのだから。
だがその姿が余程引き立つのか、むしろそのまま聖歌隊の指揮を執って欲しいとも言われてしまった。
「すごい! タキシード姿だよ!」
「私、生で見たよ! タキシード姿のエリオットさん」
「エリオットさん。大丈夫ですか?」
「はは。演奏会が終わった後、飛ぶように来ましたよ」
「お父さん、お疲れ様」
「ああ。ジェニファーのクラスメイトたちは、みんな、私を待っていてくれていたんだな。良かったよ。間に合って」
私は思わずそこでため息をついたよ。本当に間に合って良かった。だが、そう安心もしていられない。
今度はこの子たちの舞台を演出しなければならない。指揮を任されたからには、中途半端にはしたくない。今度は私も歌って踊るくらいの気持ちでいかないと、な。
演奏会独特の緊張からは解放されたが、今度は別の緊張感が襲ってきた。
果たして、私の指揮でこの娘の通う中学校が優勝出来るかどうか。
でも、あれだけ、血のにじむような練習をしてきたのだ、クラスメイトたちは。なら、私がそれをぶち壊すわけにはいかない。
聖歌隊の指揮なのに、タキシード姿で良いのだろうか?とも思う。
確かにこの服も、男性の夜の礼服としては正しい。だが、聖歌隊の指揮をタキシード姿でするというのは聞いたこともない。大体、聖歌隊の指揮と言ったら、男性はいわゆる、ローブという要は神父の格好というのが定番だ。もしくば、普通の黒いスーツ。
その聖歌隊の指揮をタキシード姿でする中学校などあるのだろうか?
私の心配はそれの一言に尽きた。
だが、担任のクリスチーナ先生はむしろその方が意表をつけるとアドバイスしてくれた。
「その心配は大丈夫だと思います。むしろ、エリオットさんが教えた聖歌は、普通の聖歌よりテンポのいい聖歌です。それにエリオットさんだって、合唱コンクール当日は服装にこだわらないで歌で勝負しようと言っていたんですよ? なら、エリオットさんがまず、そのこだわりを捨てた方がいいんじゃないでしょうか?」
確かに。そうだ。本番の前に私は、みんなにこう伝えた。
”合唱コンクールは格好で勝負するものではない。歌で勝負するんだ”、と。
なら、私からその固定観念を捨てないといけないよな。
なら、むしろこのタキシード姿で、ひとつ、やってみるか。
そう思った私は、すぐに吹っ切れた。みんなにも堅苦しいローブを脱ぐよう言ったよ。
「みんな。そのローブは脱いで、自由な服装で、思う存分、歌ってくれ?」
「私もこんなタキシード姿でするけど、いいよな?」
その言葉に、クラスメイトたちは歓声を上げた。
「して! エリオットさん」
「そのタキシード姿で指揮をするエリオットさん見たい!」
「みんな、さあ、ローブを脱いで。みんなの制服で、舞台に上がって思い切り歌おう!」
「はい!」
ジェニファーのクラスメイトたちはみんなで騒いで、堅苦しいローブを脱いで、あのどこかの私立中学ではないかという個性的で綺麗な制服姿を見せた。みんながみんな、それぞれ個性的な着こなしをしている。こうやって眺めてみるとみんな魅力的な女子生徒だった。
いつの間に私はロリコンになったのだ?ロリコンになった憶えはないのだが…。
そうこうしているとだんだん出番が近くなってきた。
一応、私もステージの場数は踏んでいる。そんなには緊張しないはずだと思っていたが、実はそうでもなかった。もしかして私が一番緊張しているのでは、とも思う。
だが、それは娘のジェニファーが私達の間でしかわからない合図で励ましてくれた。軽くジェニファーが私と似た瞳の輝きで頷いてくれた。軽く微笑んでくれた。
そうするとどうだろうか?今までの心臓の高鳴る鼓動がどんどんと普段の鼓動に落ち着いてきたんだ。
安心できた。心から、本当に。
「セントマリアンネ学院中学校の皆さん。スタンバイ、お願いします」
係員が私達の出番を知らせてくれた。私達は円陣を組んで、気合いを入れた。
「みんな! いいね! 泣いても笑っても最後の学年末だ! 後悔はしないようにして、歌おう!」
「はい!」
その頃、コンサートホールの方では、私達の出番が最後というアナウンスが流れていた。
「それでは、いよいよ第五十一回イギリス合唱コンクールの最後の中学校になりました。セントマリアンネ学院中学校の聖歌隊です!唄は「Hail Holy Queen」。指揮者はエリオット・レムさんです!」
舞台に上がる私達。みんなで一緒に最後の歌が流れた。沈黙がしばし流れる…。
ピアノ担当の愛娘に、私は瞳を向ける。そして合図した。
そして今までの練習の成果が試される約四分間が始まった。
Hail holy queen enthroned above
(天にて戴冠された聖なる女王よ)
Oh Maria
(おお、マリア)
Hail mother of mercy and of love
(慈しみと愛の母に幸いあれ)
Oh Maria
(おお、マリア)
Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)
一瞬の沈黙の後、タキシード姿で指揮を執る私はジェニファーに手で合図した。
そして、ここから、彼女達にも手拍子を打ってもらう。
そして、彼女達は波に乗るように明るい声でそのゴスペルバージョンの聖歌を歌いだす。
Hail holy queen enthroned above
Oh Maria
Hail mother of mercy and of love
Oh Maria
Triumph all ye cherubim
Sing with us ye seraphim
Heaven and earth resound the hymn
Salve, salve, salve, Regina
ジェニファーが奏でるピアノが小気味良い間奏を奏でる。
Our life, our sweetness here below
(この世には我らの命、我らの素晴らしき事ありて)
Oh Maria
(おお、マリア)
Our hope in sorrow and in woe
(悲しみ、苦しみの中にも、我らに希望あり)
Oh Maria
(おお、マリア)
Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)
メアリーが綺麗なソプラノを最高の声で響かせる。その間も私は身体をリズムに身を委ね、指揮をタキシード姿でする。私が笑顔でみんなを誘導していった。思わず踊るように指揮を執った。
A-lle-l-uia
(アレルヤ!)
Mater a mater in termerata
(最高の母性を持った、母の中の母)
Sanctus, sanctus, donimus
(聖なる主よ)
Virgo respice mater ad spice
(星々の冠をいただくマリア様)
Sanctus, sanctus, donimus
(聖なる主よ)
A-lle-l-uia
(アレルヤ!)
ミリアがハイトーンのソプラノを響かせた。綺麗だ。みんな、その調子!
私は腰でリズミカルに揺らし、そのままついでに一回転した。のってきた。私も。
Our life, our sweetness here below
(この世には我らの命、我らの素晴らしき事ありて)
Oh Maria
(おお、マリア)
Our hope in sorrow and in woe
(悲しみ、苦しみの中にも、我らに希望あり)
Oh Maria
(おお、マリア)
Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)
最後のReginaの部分でメアリーは最高のソプラノでついでにビブラートも効かせて歌いあげてくれた。そして最後の締めに相応しい最高の聖歌が終わった。
その瞬間、観客はスタンディングオベーションで、私達の演目を評価してくれた。
惜しみない観客の歓声、賛辞、拍手。
私も納得できる出来だった。
「みんな! 礼をして?」
最後に深く礼をした私達は、静かに舞台を去った。最高の笑顔と共に。
こうして、審査員による採点がされ、後は結果発表を待つだけだった。
みんなは胸をドキドキさせている。私も同様に。
第三位と第二位、第一位の発表がされ、最後の最優秀賞が発表されようとしている…。
「最優秀賞は、セントマリアンネ学院中学校聖歌隊です!」
その瞬間、みんなは弾けるように舞台に姿を現す。生徒一人一人にトロフィーが授与された。
最後に優勝トロフィーを代表で、私が受け取ることになった。
「素晴らしい指揮でした! エリオット・レムさん」
「いいのかな? 私が受け取って?」
「遠慮しないで受け取って! エリオットさん!」
トロフィーを受け取るなんて、人生初だったよ。
最後に優勝トロフィーを受け取った、タキシード姿の私は、そのトロフィーを天に掲げた!
こうして、私の忙しい一日は、最高の結果で幕を閉じる。
感動冷めないみんなで楽屋裏で話した。
「みんな! 今日は最高の出来映えだった。やったな!」
「凄い! 信じられない! 優勝だよ! 優勝!」
「私達、勝ったんだ!」
この結果には、担任のクリスチーナ先生も校長先生も満足してくれた。
「すごいな。さすが、世界に名前を知られるピアニストだな。エリオット君」
「ありがとうございます! エリオットさん!」
「エリオットさん! ありがとうございます!」
「ここまでこれたの、エリオットさんのおかげだよ!」
「いいや。私だけのおかげじゃない。君たちの努力の成果だよ?」
「私がいない間も、みんながずっと努力して歌を歌い続けた結果さ」
「何か、今日のエリオットさんはノリにノッていたよね。アレルヤの所で一回転した所、良かった!」
「何かあの部分で身体が勝手に動いてね」
「それに一緒に歌ってもくれていた」
「昔を思いだしたよ。私もあの聖歌は歌ったことがあるから」
「本当にありがとう! エリオットさん!」
私は役目を果たし終えると、興奮冷めないまま、ジェニファーと一緒に家路についた。
この日は、これで幕を閉じたわけではなかったんだ。実は。
「ふう…。何か…今日は目が回りそうな一日だったな」
「そうだね。お父さん」
赤いミニクーパーを運転しながら、車内で話す。
周囲はもう暗闇が支配していた。夜の街灯が私達を照らす。
狭い車内の中でとりあえずは約束を果たしたことは娘に言ったよ。
「でも、これで役目は果たした。約束通りに、な?」
「うん!」
「ねえ? お父さん?」
「何だ? ジェニファー?」
「今夜はそのまま、タキシード姿でいてくれないかな?」
「何でだ?」
「そのお父さんの姿、好きなの。私が小さい時からずっと。だから、その姿のままで、私を愛して?」
「つまり、コスプレか?」
「だって、お父さんのタキシード姿、格好がいいんだもん」
最後に娘はとどめの一言を言った。
そう…。まるで蠍が急所を一刺しするように、心に重くのしかかる言葉だった…。
「そのタキシード姿で、今夜、私の処女、奪って?」
「……十七歳まで、待てないか?」
「うん。どうしても、今夜、奪われたい。記念に」
「トロフィーがあるじゃないか?」
「これはみんなとの想い出。だけど、処女を奪われることはお父さんとしか共有できない想い出だよ?」
「……」
まだ彼女は中学一年生。だけど、記念日としては確かにいいか…。
「わかった…。今夜、奪ってやる。このタキシード姿で君を奪ってやる」
低いトーンで噛みくだくように私はジェニファーに囁いた…。
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