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「……大丈夫か、ソニア」
しかしソニアは俯いて震えるばかり。リカルドは小さなため息をつき、いつもの優しい声に戻した。
「君はジラルディ侯爵夫人なのだ。軽々に頭を下げたりするものではない。わかるか」
こく、こくと何度も頷くソニア。リカルドはドレスについた芝を払ってやり、大広間へ戻ろうと促したが彼女は拒否した。
「いけません……私は、リカルド様の側にいるべき人間ではありません」
「……ソニア?」
「私は、リカルド様を裏切っていたのです。怖いと嘘をついて夜のお務めを断り、初恋の相手のために純潔を保とうとした、卑怯で自分勝手な人間なのです。そのことを知られたからにはもう、お側にいることはできません。どうか、このような人間は離縁なさってください」
「君は離縁したいのか? 実家にも帰れないのに行く所はあるのか?」
「それは、その……しゅ、修道院へ、そうです、私は修道院へ参ります」
「修道院も今は空きが無いと聞く。いいから私について来い。もうパーティーの用事は済んだから、ステッラに帰ろう」
「私も……一緒に帰っていいのですか」
「何度も言わせるな。さあ、帰るぞ」
ソニアは静かに涙を流していた。恋に恋していた自分、妻として夫を蔑ろにしていた愚かな自分に吐き気がするほどの嫌悪を感じて。だがそれでもリカルドは一緒にいてくれると言う。その包容力をソニアは初めて理解した。
(私は何て馬鹿な女だったんだろう。この一年お客様気分で過ごし、何もお役に立てていなかった。それでもリカルド様は私を許してくれていた。そして今もまた……このご恩を私は必ず返さなければ)
ステッラに帰る道すがら、ソニアはディーノとのことを洗いざらい話し、再び謝罪した。そしてこれからはステッラのために、領主の妻として仕事をすると誓った。
「そうだな。そろそろ読み書きや計算もマスターしたことだし、帳簿の扱いなども家令から学んでいくといい」
実はこの一年、リカルドの提案によりソニアは家庭教師をつけられていた。読み書きだけでなく語学、音楽、料理や裁縫、宝石の鑑定まであらゆるものを学び、農業に関しても一年かけて見て回ってきた。実家で家庭教師もつけられず学園にも通っていなかったソニアはすべての学びが新鮮で、貪欲に吸収していった。その下地がようやく整った頃だとリカルドは判断したのである。
「はい、わかりました。私はステッラのために全力を尽くします」
しかしソニアは俯いて震えるばかり。リカルドは小さなため息をつき、いつもの優しい声に戻した。
「君はジラルディ侯爵夫人なのだ。軽々に頭を下げたりするものではない。わかるか」
こく、こくと何度も頷くソニア。リカルドはドレスについた芝を払ってやり、大広間へ戻ろうと促したが彼女は拒否した。
「いけません……私は、リカルド様の側にいるべき人間ではありません」
「……ソニア?」
「私は、リカルド様を裏切っていたのです。怖いと嘘をついて夜のお務めを断り、初恋の相手のために純潔を保とうとした、卑怯で自分勝手な人間なのです。そのことを知られたからにはもう、お側にいることはできません。どうか、このような人間は離縁なさってください」
「君は離縁したいのか? 実家にも帰れないのに行く所はあるのか?」
「それは、その……しゅ、修道院へ、そうです、私は修道院へ参ります」
「修道院も今は空きが無いと聞く。いいから私について来い。もうパーティーの用事は済んだから、ステッラに帰ろう」
「私も……一緒に帰っていいのですか」
「何度も言わせるな。さあ、帰るぞ」
ソニアは静かに涙を流していた。恋に恋していた自分、妻として夫を蔑ろにしていた愚かな自分に吐き気がするほどの嫌悪を感じて。だがそれでもリカルドは一緒にいてくれると言う。その包容力をソニアは初めて理解した。
(私は何て馬鹿な女だったんだろう。この一年お客様気分で過ごし、何もお役に立てていなかった。それでもリカルド様は私を許してくれていた。そして今もまた……このご恩を私は必ず返さなければ)
ステッラに帰る道すがら、ソニアはディーノとのことを洗いざらい話し、再び謝罪した。そしてこれからはステッラのために、領主の妻として仕事をすると誓った。
「そうだな。そろそろ読み書きや計算もマスターしたことだし、帳簿の扱いなども家令から学んでいくといい」
実はこの一年、リカルドの提案によりソニアは家庭教師をつけられていた。読み書きだけでなく語学、音楽、料理や裁縫、宝石の鑑定まであらゆるものを学び、農業に関しても一年かけて見て回ってきた。実家で家庭教師もつけられず学園にも通っていなかったソニアはすべての学びが新鮮で、貪欲に吸収していった。その下地がようやく整った頃だとリカルドは判断したのである。
「はい、わかりました。私はステッラのために全力を尽くします」
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